ガルバリウム鋼板を検討している中で「デメリットは何だろう」と疑問を抱えている方は多いでしょう。ガルバリウム鋼板のデメリットをあらかじめ把握すれば、本当に自宅の屋根材・外壁材に適しているか判断できます。
本記事では、ガルバリウム鋼板のデメリットについて解説します。ガルバリウム鋼板に向いていない立地なども紹介するので、自分に合った屋根材・外壁材を選びたい方は参考にしてください。
この記事のポイント
- ガルバリウム鋼板は屋根材・外壁材として人気が高い
- ガルバリウム鋼板の耐用年数は25~30年
- ガルバリウム鋼板はサビにくく、防火性・耐震性も高い
- ガルバリウム鋼板は遮音性や衝撃に弱いデメリットがある
- 海沿いの地域・小動物や工場の汚れの影響を受けやすい地域などでガルバリウム鋼板の使用はおすすめしない
ガルバリウム鋼板とは?耐用年数は20〜25年
ガルバリウム鋼板とは、アルミニウムと亜鉛合金、ケイ素でコーティングされた金属系外壁材の1つです。金属系外壁材は非常に軽量で、ほかの外壁材である窯業サイディングの約3分の1の重さです。
ガルバリウム鋼板は亜鉛の防食作用や、アルミニウムの耐久性の高さから、優れた耐久性を持ちます。
外壁材はほかに種類があるの?
外壁材は金属系サイディングのほかに窯業系サイディング・木質系サイディング・樹脂系サイディングがあります。いずれのサイディングもメリット・デメリットがあるため、自分にあった外壁材を選びましょう。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
>>シェア80%!サイディング【全4種類】特徴と選び方を徹底解説
耐用年数が長く外壁や屋根に使用される
ガルバリウム鋼板の耐用年数は20~25年と長く、メンテナンスの回数が少ないため、ランニングコストの高さが期待できます。軽量で施工しやすいことから、外壁材として人気です。
屋根材では金属素材の需要が高く、今では半分以上が金属となっています。
スタイリッシュな見た目が人気
金属の素材感がシンプルな印象を与えるので、スタイリッシュな家に憧れている方におすすめです。
ガルバリウム鋼板のデザインパターンは6種類あります。自分の好みに近いデザインを選びましょう。
デザインの種類 | 特徴 |
---|---|
スパン柄 | 金属感の強いデザイン。メタルな印象を与える。 |
積石柄 | 色や大きさがバラバラな石を組み合わせたデザイン。つなぎ目が目立ちにくい。 |
細石積柄 | 細かい石を組み合わせたデザイン。 |
レンガ調 | あまり金属感が強くないデザイン。高級感を与える |
木目調 | 木の温かみを感じられるデザイン。黒色を選ぶとデザインオフィスのような雰囲気になる。 |
塗り壁調 | ナチュラルな雰囲気を感じられるデザイン。瓦屋根など和風な雰囲気の家と相性が良い。 |
金属感のあるデザインが苦手な方は木目調を選ぶと良いです。
ガルバリウム鋼板のメリット・デメリット
ガルバリウム鋼板が自宅に適しているかどうか判断するためには、メリット・デメリットを把握する必要があります。自宅の状況と照らし合わせながら確認しましょう。
メリット1:金属製なのに錆びにくく耐久性が高い
ガルバリウム鋼板は亜鉛とアルミニウムで表面をコーティングしています。サビの原因である酸化を防ぐため、ほかの金属外壁材と比べてサビにくい点がメリットです。
メリット2:軽量で耐震性に優れている
ガルバリウム鋼板は軽量な屋根材・外壁材なので、地震の揺れが建物に影響しにくいです。
家が重いほど揺れが大きくなる原因は、遠心力です。
手提げ袋を振り回す際、袋が重いほど引っ張られる感覚が強くなるのと同様に、地震発生時の遠心力は家が重いほど大きくなり、揺れが増大します。
ガルバリウム鋼板は軽量なので、ほかの屋根材・外壁材を使用した際と比べて家全体が重くありません。そのため、遠心力の影響が弱く、耐震性に優れています。
メリット3:熱の吸収率が小さく夏でも快適
ガルバリウム鋼板は、ほかの金属材の外壁材や窯業系サイディングと比べて熱を吸収しにくいメリットがあります。
熱の吸収率が低い利点
- エアコンが効きやすい
- 暗色系の色を安心して選べる
外壁の表面温度が上がりにくいと、室内まで熱がこもらずエアコンが効きやすいです。
また、ブラックやネイビーなどの暗色系は太陽の熱を吸収しやすい特徴があります。
そのため夏場は暑くなるデメリットがありますが、ガルバリウム鋼板の場合、暗色系の色を選んでも、比較的熱くなりづらいです。
気温が高い地域で、暗色系の色を使用したい方におすすめです。
メリット4:防火性が高い
ガルバリウム鋼板は防火性が高いため、万が一隣の家が火事になっても、延焼を防げます。そのため、下記の地域でガルバリウム鋼板は相性が良いです。
防火性の高い建材がおすすめの地域
- 火災被害が起こりやすい地域
- 木造住宅が密集している地域
なお、住んでいる地域によっては、火災の広がりを防ぐために、自治体から燃えにくい建材の使用を指定されている場合があります。
住んでいる地域が対象かどうか調べるためには自治体の都市計画課に問い合わせましょう。
ガルバリウム鋼板はどの地域でも対応できる製品があるため、安心して屋根材・外壁材として使用できます。
燃えやすい外壁材は何?
木質系サイディングは、本物の木を使用しているため燃えやすいです。木のあたたかみを感じられるデザインの外壁材を使用したい場合は、デザインが幅広い窯業系サイディングを検討しましょう。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
>>サイディングのメリットとデメリットを徹底比較|自宅に最適な外壁はどれ?
デメリット1:傷がつくと錆びる恐れがある
ガルバリウム鋼板はサビにくい性質があるものの、建材自体の表面が薄いため、傷つきやすい点がデメリットです。
サビは赤さび、白サビ、もらいサビと種類があり、傷が原因でできるサビは赤さびです。赤さびは一度発生すると広がり、そのまま放置しておくと厚みの減少や穴の発生につながります。
そのため、外壁を金属系サイディングにするなら傷に注意しましょう。特に、尖ったものが当たると傷が付きやすくなるため、スコップを自宅周辺で使用する際などに注意が必要です。
サビが発生したらどうすればいい?
サビは水で落とせないので、外壁塗装業者に部分補修してもらいましょう。専用の機械でサビを削り落とし、外壁を補修します。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
>>劣化した外壁を塗装しても大丈夫?正しい下地処理方法やよくあるトラブルを徹底解説
デメリット2:外部からの衝撃に弱い
ガルバリウム鋼板は軽い素材のため、外部からの衝撃に弱いデメリットがあります。外壁や屋根が凹む例は、下記のとおりです。
外壁や屋根が凹むケース
- 車をぶつける
- 飛来物にぶつかる
飛来物は、台風や地震などが発生した際に生じやすいです。そのため、台風や地震が発生した後日、外壁に凹みが無いか家を一周して確認しましょう。
外壁や屋根は経年劣化により外部からの衝撃を受けやすくなるため、築年数が経っている家は特に注意が必要です。
デメリット3:遮音性・断熱性が低い
ガルバリウム鋼板は薄いため、音が響きやすく、外気温度をシャットアウトする力が弱い点がデメリットです。
またガルバリウム鋼板は音が響くため、雨音が響きます。表面に細かい石粒をコーティングしたガルバリウム鋼板を使用すれば、雨音を分散させて音を小さくできるため、音に敏感な方は検討してみましょう。
ガルバリウム鋼板自体に遮熱効果がないため、ガルバリウム自体に断熱材を付けて販売するケースが一般的です。
もしくは断熱塗料を外壁材に塗布して、断熱効果を高める方法もあります。
ガルバリウム鋼板が錆びる原因と錆びやすい立地の例
ガルバリウム鋼板は鉄でできており、経年劣化や傷の発生でサビが発生する恐れがあります。塩分や鉄粉など、サビが発生しやすい条件があてはまる立地では、ガルバリウム鋼板がおすすめできないケースもあります。
ガルバリウム鋼板が錆びる原因
サビには種類があり、酸化が原因で発生する赤サビと白サビ、隣のサビが原因で発生するもらいサビがあります。
それぞれ注意点が異なるため、しっかりと抑えましょう。
サビの種類 | 原因 | 注意するポイント |
---|---|---|
赤サビ | 鉄部分の剥げてしまった箇所やキズが空気に触れて酸化する | 潮風・雨・鉄粉・キズ |
白サビ | 赤サビ同様、酸化して発生する湿気が多いところで発生しやすい | 雨・結露・潮風 |
もらいサビ | ほかの金属製品の錆から移って発生する | テレビアンテナの支柱・外壁に隣接している物置 |
白サビは赤サビよりも耐久性に深刻な影響を与えません。白サビ自体は、ガルバリウム鋼板の腐食を防ぎ、保護するために発生するからです。
とはいえ、白サビは美観上よくないため、気になる場合は除去しましょう。
赤サビが発生したら、放置しておくとサビが広がり、穴が開く恐れがあるため早めの対処が必要です。
例1:沿岸部や潮風の影響を受ける地域
ガルバリウム鋼板は、潮風に含まれている塩分でサビやすいため、沿岸部や潮風の影響を受ける地域はおすすめしません。
海岸から離れていても、自宅は潮風の影響を受けている可能性があります。下記の特徴がある場合、ガルバリウム鋼板を使用する際はサビに注意が必要です。
潮風の影響を受けていると考えられる地域
- 海のにおいがする
- 近隣の建物がサビている
塩害地域に住んでいて、金属の外壁材を使用したい方はステンレスがおすすめです。
例2:鳥や小動物が多く生息する地域
小動物などのふん尿がガルバリウム鋼板に付着し、時間が経過するとサビが発生しやすくなります。ふん尿が酸化するとサビの原因になるからです。
下記の地域でガルバリウム鋼板を使用する際は、小動物のふん尿に注意しましょう。
小動物に注意が必要な地域
- 森・山・河川敷が近い立地
- ゴミの日にカラスがあらわれる地域
小動物のふん尿が外壁に付いていると気づいたら、水で洗い流しましょう。
例3:ホコリやゴミがつきやすい地域
ホコリやゴミがガルバリウム鋼板に付着すると、ホコリやゴミが酸化してサビを発生させる原因になります。
また、電車や車がブレーキする際に舞う鉄粉もサビの原因です。下記の地域の方はホコリやゴミによるサビの発生に注意が必要です。
ホコリやゴミに注意が必要な地域
- 工場が近くにある立地
- 交通量が多く排気ガスが多い立地
- 線路が近くにある立地
ホコリやゴミが気になる方は、雨や日光の力を利用して汚れを落とすセルフクリーニング効果のある塗料を検討しましょう。
セルフクリーニング塗料の費用は?
セルフクリーニング塗料の費用は、材のみの場合3,500~8,000円です。耐用年数によって費用に差があり、耐用年数が長いほど費用がかかる傾向にあります。
ガルバリウム鋼板外壁のメンテナンス方法と費用相場
ガルバリウム鋼板の状態によって、適切なメンテナンス方法は異なります。耐用年数や劣化状況などを加味したうえで、メンテナンス方法を検討しましょう。
塗装【80万円~120万円】
ガルバリウム鋼板の外壁表面を塗装してメンテナンスする方法があります。塗装は、外壁自体の耐用年数はまだ先であるものの、耐久性や防水性の復旧に必要なメンテナンスです。
サビが複数箇所で確認できるが張替えほどではない、コケや色あせなど塗装で対応できる軽微な劣化がある場合は塗装を検討しましょう。
費用相場は、80万円~120万円です。
ガルバリウム鋼板を塗装する際は、塗料の種類に注意しましょう。塗料の種類によって費用が異なります。
将来引っ越す予定があるなら耐用年数の短いが費用の安い塗料、数年後子どもの進学を控えているならできるだけ長持ちするが費用のかかる塗料など、ライフプランにあった塗料を選びましょう。
張替え【300万円以上】
ガルバリウム鋼板自体の寿命が近づいてきたり、大きなひび割れなど劣化がひどく塗装で対応できなかったりする場合は、張替えを検討しましょう。
張替えとは、既存の外壁材を取り除き、新しい外壁材を付ける工法で、相場は300万円以上です。
張替えは既存の外壁材の撤去費用などがかかるため、費用がかかる点に注意しましょう。
重ね張り【200万円以上】
重ね張りは張替え同様、屋根材・外壁材自体の寿命が近づいたり劣化が酷い場合に必要なメンテナンスです。重ね張りは、既存壁の上に新しい外壁材を付ける工法で、相場は200万円以上です。
重ね張りは既存の外壁材を撤去しないため費用を抑えられる一方、建物が重くなり耐震性の向上に繋がらない点に注意しましょう。
補足:こまめに水をかけるお手入れが重要
ガルバリウム鋼板は汚れから酸化し錆びてしまうケースが多いので、定期的に水をかけて汚れを除去しましょう。サビだけでなく、ホコリなどの汚れがあると建物がくすんで見えて美観上良くありません。
水だけで落ちない場合は食器用洗剤や外壁塗装用の洗剤を使用しても良いですが、高圧洗浄機はガルバリウム鋼板の表面に傷をつける恐れがあるためおすすめしません。
ガルバリウム鋼板屋根のメンテナンス方法と費用相場
外壁塗装同様、屋根のメンテナンス方法も状況に応じて選ぶ必要があります。
塗装【約40万円~50万円】
屋根塗装は30坪の家でシリコン塗料を使用して施工する場合、40万円~50万円の費用がかかります。
塗装メンテナンスの費用は、同じ塗料を使用しても業者により総額費用が異なる場合があります。中には施工費用に見合わない高額な費用を請求する業者もいるため、2~3社から相見積もりをとってから依頼しましょう。
相見積もりとは?
相見積もりとは複数の業者から見積りをとって、施工費の相場を把握したうえで依頼する業者を選ぶために必要です。相見積もりはただ依頼するのではなく、条件を統一するなど、ポイントがあります。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
>>外壁塗装の相見積もり|賢い業者選びから比較すべきポイントまで徹底解説
葺き替え【約85~120万円】
葺き替えとは、既存の屋根材を全て取り除き、新しい屋根材に交換する工法で費用は2階建て30坪の場合約85~120万円です。
屋根材の下にある下地の補修もあわせて施工するため、下地補修が屋根全体に及ぶ場合、費用が高額になる点に注意が必要です。
葺き替えのタイミングは、屋根材の下地が傷む築30~40年のタイミングでおこないましょう。
下地が傷んだまま放置しておくと、雨漏りの発生に繋がります。
重ね張り【約72~95万円】
重ね張りは、既存の屋根材を除いて上から新しい屋根を重ねる工法で、2階建て30坪の場合費用は72~95万円です。
既存の屋根材の上に重ねるため、遮音性の向上が期待できます。ただし、下地が傷んでいる場合、屋根が重みに耐えきれないため施工できないと断られる恐れがあります。
下地の痛みがひどい場合は、葺き替えを検討しましょう。
ガルバリウム鋼板のデメリットでよくある質問
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ガルバリウム鋼板の外壁や屋根だと雨の音がうるさいですか?
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ガルバリウム鋼板は薄いため、雨音が響きやすいです。気になる方は、メンテナンスの際に重ね張りを検討しましょう。
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ガルバリウム鋼板の外壁で人気色はありますか?
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ガルバリウム鋼板の人気色はグレー・アイボリー・ブラウンです。人気の理由は汚れが目立ちにくい点です。白サビなどの汚れが見えづらく、美観を損ないづらいメリットがあります。
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ガルバリウム鋼板以外にも金属系サイディングはありますか?
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ガルバリウム鋼板以外の金属系サイディングは、塗装溶融亜鉛メッキ鋼板、アルミニウム合金塗装板、塗装ステンレス鋼板があります。海沿いに住んでいる方は塩害に強い塗装ステンレスなど、それぞれの特徴にあった外壁材を選びましょう。
ガルバリウム鋼板のデメリットまとめ
ガルバリウム鋼板は軽量で耐用年数も長く、防火性や耐震性に優れた外壁材です。しかし、サビやすいデメリットがあるため、立地や天災による衝撃などに注意が必要です。
自宅の状況と照らし合わせて、ガルバリウム鋼板を検討しましょう。
この記事のポイント
- ガルバリウム鋼板は屋根材・外壁材として人気が高い
- ガルバリウム鋼板の耐用年数は25~30年
- ガルバリウム鋼板はサビにくく、防火性・耐震性も高い
- ガルバリウム鋼板は遮音性や衝撃に弱いデメリットがある
- 塩害地域・小動物や工場の汚れが発生する地域などでガルバリウム鋼板の使用はおすすめしない