「外壁塗装の乾燥時間はどの程度必要なのだろう」と疑問に感じていませんか。外壁塗装の乾燥時間を適切に確保しないと、施工不良を招く恐れがあります。
そこで本記事では、外壁塗装で必要な乾燥時間について解説します。乾燥時間が変わる要因についても紹介するので、適切な乾燥時間で外壁塗装してほしい方は参考にしてください。
この記事のポイント
- 外壁塗装の乾燥時間を適切におこなわないと品質低下に繋がる
- 乾燥時間が必要な工程は高圧洗浄、シーリング、下塗り・中塗り・上塗り
- 乾燥時間は4段階あり最終段階までいかなくても次の工程に進める
- 気候・立地によって適切な乾燥時間は異なる
外壁塗装で必要な乾燥時間とは?
乾燥時間とは外壁塗装の塗料を乾かす時間のことです。乾燥時間が不足していると、外壁塗装の品質が下がり、塗料の耐用年数を迎える前に劣化症状を引き起こす恐れがあります。
品質保持のために必ず必要な工程
外壁塗装の乾燥時間は、適切に確保しないと塗料の性能を充分に発揮できないため、必須の工程です。
外壁塗装の塗料は油性塗料と水性塗料があり、多くの現場では水性塗料が使用されています。水性塗料は、塗料に含まれている水分を蒸発させて塗膜を作ります。
塗料の水分が残った状態で次の工程にうつると、塗膜の形成不良に繋がるため、しっかり水分を蒸発させなければなりません。
塗料の性能を充分に発揮できないと、耐久性や美観に影響する恐れがあります。
乾燥不足で生じる劣化症状
外壁塗装の乾燥時間が足りないと、塗料の性能を発揮しきれなくなり、外壁に下記の劣化症状がおこる恐れがあります。
乾燥不足で生じる劣化症状
- 塗膜の膨れ
- 塗膜の剥がれ
- 色のムラ
乾燥不足による劣化症状は、施工後2~3年以内に生じます。劣化症状は再塗装での補修が必要になるので、乾燥時間をしっかり守って、塗料の耐用年数を保持しましょう。
塗料の耐用年数はどのくらい?
塗料の耐用年数は種類により異なります。詳しくはこちらの記事で解説しています。
>>外壁塗装の耐用年数は何年?塗装タイミングと寿命を伸ばすポイント
外壁塗装で乾燥が必要な【5工程】と乾燥時間の目安
外壁塗装で乾燥時間が必要な工程は高圧洗浄・シーリング・下塗り・中塗り・上塗りの5工程です。工程表を確認して、乾燥時間をしっかり設けているか確認しましょう。
下塗りから上塗りまでを1日で完了させるスケジュールは、乾燥時間が足りていません。施工不良の恐れがあるので避けましょう。
きちんと乾燥時間を確保しないのは悪徳業者?
乾燥時間を確保しない業者は、悪徳業者の可能性が大いにあります。
安い価格で契約して、工期を短くし人件費を削る手口が考えられるので、乾燥時間を確保しない業者に依頼した場合はクーリングオフを検討しましょう。
高圧洗浄の乾燥は24時間が目安
高圧洗浄の必要な乾燥時間は最低でも24時間です。乾燥しづらい季節や天候でも、48時間あれば確実に乾燥できます。高圧洗浄は外壁に高圧な水をかけて古い塗膜や汚れを落とし、外壁と塗料の密着性を高める作業です。
作業終了後にすぐ塗装すると、外壁に残った水を塗料が吸い込み、気泡を含む恐れがあるため、しっかり乾燥する必要があります。
シーリングの乾燥は2〜3時間が目安
シーリングとは、外壁同士の間を埋める部分を補修する作業です。
シーリングは下記の硬化段階に沿って工程を進めます。各段階で必要な乾燥時間は、使用する塗料によって異なります。
硬化段階 | 状態 | 必要な乾燥時間 |
---|---|---|
表面硬化 | 触っても塗料が付着しない | ウレタン系:約2時間 シリコン系:約1時間 |
被膜硬化(次の工程に進める段階) | 表面が硬化している | ウレタン系:約4時間 シリコン系:約1.5時間 |
完全硬化 | 内部まで硬化している | ウレタン系:約3~7日 シリコン系:約3日 |
シーリングを補修しないとどうなる?
シーリングの劣化を補修しないと、雨漏りやひび割れの原因に繋がります。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
>>【超重要】サイディングのシーリングは放置NG!補修方法や注意点まで徹底解説
下塗りの乾燥は4時間程度が目安
下塗りは、塗膜と外壁を密着させるために必要な工程です。使用する塗料により乾燥時間が異なります。
塗料の種類 | 乾燥時間 |
---|---|
シーラー系 | 水性:3~4時間 油性:30~60分 |
フィーラ系 | 4〜6時間 |
防水系 | 16時間 |
シーラー系塗料は下地と上塗り塗料の密着性を高めるために使用する塗料です。
フィラー系はひび割れや外壁表面の凸凹を平らにするために使用する塗料で、サイディングには使用できません。
中塗りの乾燥は2~4時間が目安
中塗りの乾燥時間は下記のとおりです。
塗料の種類 | 乾燥時間 |
---|---|
水性塗料 | 2~4時間程度 |
油性塗料 | 12~24時間程度 |
中塗りは、塗り漏れや表面の凸凹を無くし、完成度を高めます。上塗りだけの場合は塗りムラが起きる恐れがあるため、中塗りは必要な工程です。
塗料メーカーが設けている適切な乾燥時間を守ることで、防水性や遮熱性など、塗料の性能を発揮させます。
上塗りの乾燥は4~24時間が目安
上塗りの乾燥時間は塗料により異なります。
塗料の種類 | 乾燥時間 |
---|---|
水性塗料 | 4~24時間程度 |
油性塗料 | 24~48時間程度 |
上塗りは、塗装の仕上げです。中塗り塗料に上乗せすることで、外壁の仕上がりを美しくして、塗料の耐久性を更に高めます。
塗装で次の工程に進むための乾燥と完全乾燥は別物
乾燥の段階は下記の4ステップに分けられており、完全乾燥の前段階で次の工程に進められます。
乾燥段階 | 状態 | 乾燥時間 |
---|---|---|
指触乾燥 | 塗装面を指で触っても塗料が付着しない | 塗装後1〜2時間程度 |
半硬化乾燥(この段階で次の工程に進める) | 軽く押しても塗料が付着しない | 塗装後3~24時間程度 |
硬化乾燥 | 指で押しても塗料が付着しない | 塗装後1週間程度 |
完全乾燥 | 完全に乾燥している | 塗装後2週間以上 |
使用する塗料によって、半硬化乾燥までに要する時間は異なります。
乾燥させすぎると汚れやほこりが付着し品質低下の原因に
乾燥時間を設けすぎると、その間に塗膜に汚れやほこりが付着して、次に塗る塗膜との密着度が下がる恐れがあります。品質確保のために、規定時間を守って乾燥させましょう。
乾燥させすぎると塗料が固くなり、塗装同士の密着度が下がる場合もあります。
外壁塗装で乾燥時間が変わる【3つの】要因
外壁塗装の乾燥時間は一律ではなく、条件によって変わります。業者が状況に応じて、適切な乾燥時間にしているかどうか確認しましょう。
季節によって乾燥時間に差が出る
寒い季節や湿度の高い季節は、乾燥時間が長くなります。塗料の乾燥時間の基準は23度と設定されており、気温が下回る分時間がかかるからです。
また湿度が高いと、その分乾燥時間がかかります。そのため下記の季節は乾燥時間がかかりやすい傾向にあります。
乾燥時間がかかる季節
- 雪が降りやすい季節
- 梅雨の季節
- 台風の来る季節
乾燥に時間がかかると工期延長になるため、充分な乾燥時間を設けた工程表になっているかどうか確認しましょう。
寒い季節は硬化不良を防ぐため冬用のシーリングを使用します。
気候によって乾燥時間に差が出る
雨の日や、湿度が高い気候の日は乾燥時間が長くなります。
また、下記の気候で外壁塗装をおこなうとひび割れなどの硬化不良に繋がるため、外壁塗装できません。そのため、作業中止になります。
外壁塗装できない気候
- 気温5℃以下の日
- 湿度が85%以上の日
雨の日が続いたら延長費用はかかる?
業者は雨の日を考慮したスケジュールを立てているので、工期延長による追加費用は請求されません。
立地によって乾燥時間に差が出る
乾燥するために必要な熱と風が伝わりづらい立地の場合、乾燥時間が長くなる恐れがあります。具体的には下記の立地です。
乾燥時間がかかる立地
- 日当たりがよくない箇所
- 風通しの悪い箇所
家の周りに高い建物や木が立っていると、日や風が遮られているため乾燥しづらくなります。
施工箇所の風通しを良くする工夫は、こちらで解説しています。
塗料によって乾燥時間に差が出る
塗料によって含まれている成分が異なるため、乾燥時間の基準に差が生じます。乾燥時間を知りたい場合は、使用する塗料メーカーのカタログから確認しましょう。
また外壁塗装で使用される塗料の種類を大きく分けると水性塗料と油性塗料があり、油性塗料は比較的時間がかかります。
塗料 | 乾燥時間 |
---|---|
水性塗料 | 1~2時間程度 |
油性塗料 | 4~24時間程度 |
塗料の性能を高める強化剤を油性塗料と混ぜると、3時間程度で乾燥する場合もあります。
外壁塗装で乾燥時間を短縮する【4つの】方法
外壁塗装の乾燥時間を短縮したい方は、依頼するタイミングや塗料などに配慮すると良いです。また、業者の塗装方法でも乾燥時間を短縮できます。
乾燥しやすい季節・気候に外壁塗装を行う
塗料の乾燥時間は気候に左右されるため、天気の良い日や夏に外壁塗装をおこないましょう。カラッと晴れた日や春~秋は、気温・湿度が低いため、比較的乾燥時間を短くできる傾向にあります。
対して、梅雨の時期は雨が降りやすく、乾燥時間がかかることも。
外壁塗装は年中おこなえるものの、乾燥時間を短縮させたい場合は冬を避けましょう。
乾燥しやすい塗料を使用する
乾燥時間を短くするために、メーカーのカタログなどを見て、乾燥時間の短い塗料を選ぶ方法があります。乾燥時間が比較的短い商品の一例は下記のとおりです。
メーカー | 製品名 | 乾燥時間 |
---|---|---|
関西ペイント | アレスダイナミック TOP | 2時間 |
日本ペイント | 水性シリコンセラUV | 3時間 |
アステックペイント | シリコンREVO1000 | 2時間 |
乾燥時間が短い水性塗料の商品以外に、油性塗料は水性塗料よりも乾燥時間がかからないためおすすめです。ただし、油性塗料はニオイや発火の危険性もあるので、メリット・デメリットを比較してよく検討しましょう。
施工箇所の風通し・日当たりをよくする
外壁塗装は風通しが良いと乾燥時間が短くなるので、物置など風・日を遮るものをなるべく移動させる方法がおすすめです。
また、外壁塗装をおこなった部分がブルーシートで覆われている場合は、撤去するとより早く乾燥できます。
風で塗料が乾くとはいえ、扇風機などで意図的に塗料を乾かすと塗膜が動いてしまいかえって逆効果なので、自然に乾燥させましょう。
塗料を厚塗りしない
同じ塗料を使用しても、塗り方によって乾燥時間が異なるため、厚塗りしない方法を選びましょう。塗装方法はローラー塗装と吹き付け塗装のいずれかです。
ローラー塗装は厚塗りの仕上がりになるため、スプレーガンで塗料を吹きかけて塗装する吹き付け塗装よりも、乾燥時間がかかります。とはいえ、ローラー塗装の方が主流な塗装方法です。
吹き付け塗装は、スプレーする際に騒音が響くため、近所からクレームが来る恐れがあるので、乾燥時間以外の視点も含めて塗装方法を検討しましょう。
外壁塗装の乾燥時間でよくある質問
-
塗料が乾燥しているか確認する方法はありますか?
-
指で軽く押して、塗料が乾燥しているか確認する方法があります。軽く押しても塗料が付着しない状態になれば、次の工程に進めます。
-
外壁塗装の乾燥時間が不足したことはどのようにわかりますか?
-
外壁塗装の乾燥不足は、施工2~3年後に剥がれやひび割れなどの劣化が現れたときに分かります。乾燥不足でも塗料同士は多少密着しているため、施工後すぐに劣化症状は現れません。
-
外壁塗装の乾燥中に雨が降ったらどうなりますか?
-
各工程の乾燥中に雨が降ってしまった場合、晴れの日よりも乾燥時間がかかります。また雨天時に塗料を乾燥させると、塗膜に雨水が付着するリスクがあります。そのため、雨が降りそうな日は作業中止する場合が一般的です。
-
乾燥不足で施工不良が起きた場合、無償で補修してもらえますか?
-
乾燥不足による施工不良は業者の責任なので、無償で対応してもらえる可能性があります。ただし、保証範囲は業者によるため、劣化症状が発生した時点では既に保証期間外の場合もあります。施工不良を補修してもらいたい場合は、契約書に記載されている保証の有無や、保証期間を確認しましょう。
外壁塗装の乾燥時間まとめ
外壁塗装の乾燥時間は、適切に確保しないと施工不良を招く恐れがあります。気候・立地によって乾燥時間は異なるため、短縮させたい場合は、依頼するタイミングや、使用する塗料を考慮しましょう。
この記事のポイント
- 外壁塗装の乾燥時間を適切におこなわないと品質低下に繋がる
- 乾燥時間が必要な工程は高圧洗浄、シーリング、下塗り・中塗り・上塗り
- 乾燥時間は4段階あり最終段階までいかなくても次の工程に進める
- 気候・立地によって適切な乾燥時間は異なる