「外壁塗装を少しでも安く抑えるために助成金を活用したい」「助成金の利用方法が分からない」と悩んでいませんか。
助成金を受け取るためには、支給要件や申請のタイミングを把握しなければなりません。
本記事では、外壁塗装の助成金の支給要件や流れについて解説します。助成金以外に外壁塗装を安くする方法についても解説するので、外壁塗装の費用を抑えたい方は参考にしてください。
助成金を受けるための要件が自治体ごとに厳しく定められており、要件を満たしておらず、助成金が降りないケースが多いです。業者に「助成金が降りる」と言われて契約しても助成金がでない場合もあるので、必ず要件を各自治体に確認してください。
この記事のポイント
- 助成金は20万円程度が上限で、支給のタイミングは工事後
- 工事前に助成金を申請しなければ却下される場合がある
- 助成金の利用が初めて・税金を滞納していない・遮熱塗料の利用などが助成金の支給要件
- 支給後に返金を求められるケースがある
- 外壁塗装を安くするために助成金以外に火災保険や相見積もりを実施する方法がある
外壁塗装でもらえる助成金・補助金とは?
外壁塗装の助成金とは、都道府県・市町村が実施している制度です。助成金を受け取るには審査が必要ですが、返済は不要なので安く外壁塗装をおこないたい方に向いています。
ただし自治体によって予算の上限や期限、タイプが異なるので、住んでいる自治体のホームページから詳細を確認しましょう。
助成金の金額は〜20万円が一般的
助成金の金額は自治体によって異なり、一般的な目安は20万円以下です。助成金額は自治体ごとに定められている補助率・上限額に基づいて算出されます。
10分の1の補助率で上限額が20万円と定めている自治体で、300万円の外壁塗装を行う場合、300万円に10分の1の補助率をかけると、300万×10分の1 =30万円になります。しかし、上限金額が20万円なので受け取れる金額は20万円です。
また、助成金額の支給要件に、「工事費用は○万円以上」と定めている自治体もあるため、工事費用が少額の場合は助成金を受け取れない恐れがあります。
上限額や補助率については自治体のホームページから確認可能です。
助成金の受け取りは工事後|一旦は支払いが発生する
助成金は工事完了後に給付されるので、一時的に工事代金を全額立て替えなければなりません。工事完了前に支払うと、外壁塗装以外の用途に使われるリスクが発生するからです。
自治体は実際に工事を行った人に支払うために、請求書や報告書などを確認したうえで助成金を支払います。
工事代金を自費で払えない方は、リフォームローンや家族の援助を検討しましょう。
リフォームローンとは?
リフォームローンとは、リフォームを対象にしたローンです。今利用している住宅ローンと併用すれば、金利優遇を受けられるなどメリットもあります。詳しくはこちらの記事で解説しています。
外壁塗装で補助金・助成金をもらう5つの条件
助成金の支給要件は自治体により異なるため、確認する必要があります。自治体が指定している一般的な条件について解説するので、自分の状況と照らし合わせてみましょう。
条件1:外壁塗装の助成金の利用がはじめて
助成金制度は、初めて利用する方のみ対象にしている自治体がほとんどです。ただし、条件付で2回以上助成金を利用できる自治体もあるため、お住まいの自治体を確認してみましょう。
2回以上助成金を受けられるケースと条件は下記のとおりです。
自治体 | 制度名 | 条件 |
---|---|---|
茨城県 石岡市 | 住宅・店舗等リフォーム支援事業費補助金 | 助成金の交付を受けた翌年度から5年あける |
岐阜県 本巣市 | 住宅リフォーム助成事業 | 1回の助成で限度額まで達していない場合は限度額に達するまで利用可能 |
住んでいる自治体のホームページを見ると、利用回数の上限を確認できます。
条件2:外壁塗装の着工前であること
自治体によっては、利用条件の中に工事着手前であることが含まれている場合があります。そのため、工事に取りかかる前に自治体に助成金を申請しましょう。
交付決定が降りてから工事着工しなければならないと定めている自治体もあります。
条件3:施工する建物が助成金を申請する自治体の管轄
申請する自治体の管轄エリアに外壁塗装を行う建物がないと、助成金を受け取れません。
外壁塗装の助成金は、自治体の税金を利用して発行するからです。自治体の税金は、管轄エリア内に住んでいる人のために使用するため、エリア外に住んでいる人のためには利用できません。
施工する建物が自治体の管轄エリアに該当する証明するために、登記事項証明書を提出する場合があります。登記事項証明書は、管轄エリアの法務局で発行してもらいましょう。
法務局が自宅から遠い場合は、登記事項証明書を郵送で送ってもらえます。
条件4:税金の滞納をしていない
助成金は自治体の税金から賄われているので、税金などの支払いが滞っている場合、助成金を受けられません。市民税、介護保険料などの自治体に納める税金が当てはまり、滞納していると申請資格がないとみなされます。
また、本人だけでなく、世帯全員の納税状況も審査されるため、同居している家族の状況も確認しましょう。
過去に滞納したものの既に追納しており、申請時点で滞納している税金がなければ申請できる場合がありますが、自治体によります。今滞納している税金がある方は早急に対応しましょう。
条件5:遮熱・断熱塗料を使った外壁塗装
自治体によってはエコ・省エネリフォームに助成金を限定しており、塗料の種類も遮熱・断熱塗料に制限をつけているケースがあります。
国が省エネを推進している背景から、自治体は省エネに繋がる工事を補助の対象にしやすいからです。断熱性を高めてエアコンの消費量を抑える効果が期待できるため、遮熱・断熱塗料を使用した外壁塗装は助成金の対象になる場合があります。
しかし、一般的な外壁塗装の塗料で使用されるシリコン塗料と比べて遮熱・断熱塗料は費用がかかります。1㎡あたり2,500~3,200円のシリコン塗料に対して、遮熱・断熱塗料は4,000~5,000円です。
塗装面積が150㎡の建物だと差額が20万円以上になり、助成金込みでも予算オーバーする恐れがあります。
外壁塗装で助成金をもらう申請の流れ
外壁塗装の助成金を受け取るためには、正しい手順を踏む必要があります。順番を間違えると助成金の支給対象から外される恐れがあるため、流れを確認したうえで助成金の手続きをおこないましょう。
ステップ1:助成金を給付している自治体を調べる
外壁塗装を行う建物の地域で、助成金を実施しているかどうか調べましょう。自治体によっては、そもそも助成金制度を実施していない場合があります。
自宅が助成対象の地域か調べる手段は下記のとおりです。
助成金制度の有無を調べる手段
- 自治体のホームページ
- 地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト
自治体のホームページから調べる際は、ホームページ内の検索窓から調べるとスムーズです。もしくは検索エンジンから「自治体名 補助金 外壁塗装」で検索すると制度が見つかる可能性があります。
また「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」から、助成金制度の有無を調べられます。ホームページが見つからない方や、他の助成金を調べたい方におすすめです。
インターネットで調べられない方は、外壁塗装業者に尋ねてみましょう。
ステップ2:必要な書類を準備する
外壁塗装を行う建物の地域で助成金制度を実施していると確認できたら、申請時に必要な書類を準備します。必要書類は自治体により異なりますが、一般的な必要書類は下記のとおりです。
助成金の必要書類
- 本人確認書類
- 登記事項証明書
- 市税納税証明書
- 外壁塗装の見積書
- 自治体の外壁塗装申請書
外壁塗装申請書は自治体のホームページからダウンロード可能です。また、自治体によっては外壁塗装の見積書作成日を規定している場合があるため確認しましょう。例えば、東京都品川区は見積書の作成日は提出日の3ヶ月以内と規定しています。
ステップ3:絶対に工事前に申請する
助成金の申請は工事前に必ず申請しましょう。助成金制度は工事着手前が条件であるケースが多いため、申請のタイミングを間違えないように注意しましょう。
また、自治体によって工事の何日前に申請すべきか規定が異なります。下記に申請日を規定している助成金制度の例をあげました。
自治体 | 制度名 | 申請日 |
---|---|---|
東京都 品川区 | 品川区住宅改善工事助成事業 | 工事着手日から1ヶ月以内 |
兵庫県 加古郡稲美町 | 稲美町住宅リフォーム補助金制度 | 工事着手日から2週間前程度 |
申請後、助成金の対象者と認められた場合、交付決定通知が送られます。
ステップ4:工事が完了したら報告書を提出する
工事が無事完了したら、報告書を自治体に提出します。
自治体によっては工事後30日以内など、報告書の提出期を設けています。遅れると助成金の給付が取り下げられるケースもあるため、遅れずに提出しましょう。
また、報告書以外に提出物を求められるケースがあります。内容は自治体によりますが、一般的な例は以下のとおりです。
報告書以外に求められる提出物の例
- 請求書内訳
- 性能証明書
- 現場に搬入した資材の写真
- 外壁の写真
- 検査済証の写し
自治体によっては、報告書の提出後、職員が実際に住宅の確認をする場合があります。
ステップ5:助成金の給付を受ける
報告書が受理されると、助成金が給付されます。給付のタイミングは、完了報告から1ヶ月前後が一般的です。受け取りのタイミングは自治体により異なるため、詳細を知りたい方は直接問い合わせましょう。
また受け取りまでには期間を要します。まとまった金額が手元にない方は、給付の待機期間中に車検や子どもの進学など、急な出費がないかどうかあらかじめ確認しておきましょう。
助成金は現金支給ではなく指定口座に振り込まれます。
外壁塗装の助成金で起きるトラブル
申請者による手続きのミスなどのトラブルにより、外壁塗装の助成金を受け取れないケースもあります。あらかじめどのようなトラブルがあるのか把握したうえで、確実に受け取れるように対策しましょう。
申請条件を満たしておらず却下された
先述した申請条件を満たしておらず、申請要件が無いと判断され却下されるケースがあります。
具体的なケースは以下のとおりです。
却下されるケース
- 自分ではなく家族が税金を滞納していた
- 以前同じ助成金制度を利用していた
- 自治体が指定した外壁塗装業者以外の業者を依頼していた
自治体によっては、外壁塗装業者の指定をしている場合があります。依頼する外壁塗装業者を決める前に、確認しましょう。
必要な書類が不足して却下された
必要書類が不足して申請が却下されるケースがあります。下記の場合、必要書類を追加で求められる場合があるので、当てはまる方は自治体に書類の必要性を確認しましょう。
追加書類を求められるケース | 必要書類の例 |
---|---|
外壁塗装業者に申請代行する | 委任状 |
相続予定の家を工事する予定 | 戸籍謄本・同意書など |
二世帯住宅の場合 | 続柄入りの住民票・戸籍全部事項証明書など |
自治体によっては図面を求める場合があります。用意する場合、時間がかかるため早めに準備しましょう。
助成金の受付がすでに締め切られていた
助成金の予算が上限に達していたり、期限が過ぎていて、受付が締め切られており申請できない恐れがあります。助成金の受付を4月にしている自治体は多く、中には開始から一ヶ月で募集終了するケースも少なくありません。
確実に助成金を受け取るためには、募集開始日時と逆算して外壁塗装工事の予定を立てましょう。
受付開始する月の2ヶ月前~当月には外壁塗装業者を決定しておくと良いです。
助成金の返金を求められる場合がある
自治体の助成金制度の規定を破ると、助成金の給付後に返金を求められる場合があります。実際に助成金の返金を規定している自治体の例を下記にまとめました。
自治体 | 制度名 | 返金要件 |
---|---|---|
北海道 増毛町 | 住宅リフォーム等補助事業 | 居住期間が5年未満で居住しなくなる |
千葉県 横芝光町 | 横芝光町住宅リフォーム補助金 | 給付確定の日から10年以内に居住しなくなる |
千葉県 匝瑳市 | 住宅リフォーム補助事業 | 給付後10年以内に下記を行った場合転居所有権移転(相続以外)滞納(家族も含む) |
給付後に引っ越しや、家を売る予定のある方は返金要件を確認しましょう。
助成金以外で外壁塗装の価格を安くする方法
外壁塗装の価格を抑える方法は、助成金以外にもあります。住んでいる自治体で助成金制度が設けられていない方や、支給要件を満たしていない方は参考にしてください。
優良業者で契約・施工をする
優良業者に依頼すると適正価格で契約・施工してくれます。外壁塗装業者の中には、適正価格よりも高い金額を請求する悪徳業者がいるため、業者選びは重要です。
優良業者かどうか見極めるためには、下記のポイントを抑えましょう。
優良業者の選び方
- 事前調査を丁寧におこなうか
- 施工実績が豊富か
- 外壁塗装に関する資格があるか
- 見積書の内容が分かりやすいか
悪徳業者に依頼した場合キャンセルできる?
悪徳業者に依頼してもキャンセルできる場合があります。詳しくはこちらの記事で解説しています。
相見積もりをとる
相見積もりを取ると、より安い価格で外壁塗装ができる場合があります。同じ施工内容でも外壁塗装業者によって金額が異なるため、2~3社から相見積もりをとって比較しましょう。
相見積もりを取る際、同じ工事内容で見積を作成してもらう点がポイントです。同じ条件でなければ、金額が違っていてもどの業者が一番お得か判断できません。
使用する塗料や塗装面積、希望予算の内容を統一して業者に伝えましょう。
台風被害などは火災保険が適応になる場合がある
台風などの災害によって外壁や屋根が破損した場合、火災保険が外壁塗装でも適用できる場合があります。火災保険を適用できるかどうかは、加入している保険会社に確認しましょう。
ただし、火災保険を利用する際は下記の点に注意が必要です。
火災保険の注意点
- 審査が通らなければ火災保険を利用できない
- 審査が通っても満額貰えるとは限らない
- 申請手続きの申請代行はできない
注意点を把握したうえで、火災保険の利用を検討しましょう。
火災保険が災害以外に適用されるケースはある?
車の衝突や、外壁に落書きされたケースでも火災保険を利用できる可能性があります。詳しくはこちらの記事で解説しています。
外壁塗装の助成金でよくある質問
-
助成金の申請は自分で行う必要がありますか?
-
自分ではなく、外壁塗装業者に申請代行を依頼できます。その際は委任状が必要になる場合があるため、自治体に確認しましょう。
-
助成金の申請期限はいつですか?
-
申請期限は自治体によって異なりますが、一般的には予算が上限に達した時点です。早い場合は1ヶ月で申請受付が終了する恐れがあります。
-
助成金の金額はどの程度ですか?
-
助成金の金額は一般的には20万円以下が目安です。他にも上限額を設けているケースがあります。自治体により異なるため確認しましょう。
-
工事後に追加費用が発生すると助成金に影響がありますか?
-
追加費用分の支給は認められない場合があります。申請時の支給額のみ支給されます。
外壁塗装の助成金まとめ
外壁塗装の助成金は、支給要件を満たさなければ申請できません。自治体によっては締め切り前に予算の上限に達して受付できない恐れがあるため、適切なタイミングで外壁塗装業者に依頼しましょう。
また、支給された後に返金を求められるケースがあります。トラブルを防ぐために、規定を確認したうえで制度を利用しましょう。
この記事のポイント
- 助成金は20万円程度が上限で、支給のタイミングは工事後
- 工事前に助成金を申請しなければ却下される場合がある
- 助成金の利用が初めて・税金を滞納していない・遮熱塗料の利用などが助成金の支給要件
- 支給後に返金を求められるケースがある
- 外壁塗装を安くするために助成金以外に火災保険や相見積もりを実施する方法がある