外壁の汚れが気になっていても、忙しく掃除が追いつかないと悩んでいませんか。塗装業者に相談すると光触媒塗料を勧められる場合も多いようです。
光触媒塗料とは、紫外線の力を利用して雨水で汚れを流してくれる、セルフクリーニング機能がある塗料のことです。
今回は、光触媒塗料のメリットやデメリット、おすすめな建物の特徴について解説します。光触媒塗料を採用した人の声も紹介するので、外壁塗装を検討している人はぜひ参考にしてください。
おさえておくべきこと
- 光触媒塗料とは、外壁についた汚れを落とすセルフクリーニング機能がある塗料のこと
- 光触媒塗料は、一般的な塗料より耐用年数が長く、外壁の耐久性が高くなる
- 光触媒塗料は紫外線で効果を発揮するため、日陰になる外壁には向いていない
- 降水量が多い地域ではセルフクリーニング機能を発揮しやすい
外壁塗装で採用できる光触媒塗料は、紫外線を利用して化学反応を起こし、外壁に付着した汚れを浮かして雨水で洗い流す機能を持った塗料です。光触媒塗料には酸化チタンが含まれ、酸化チタンが紫外線を浴びると汚れを分解してくれます。
外壁塗装で使われる光触媒塗料とは
本来紫外線は塗膜を劣化させる原因となりますが、光触媒塗料を採用すればセルフクリーニング機能に利用できます。
外壁の汚れは外観の美観を損ねるだけでなく、防水・遮熱など塗料の機能を低下させる原因にもなるため、光触媒塗料はこまめに外壁の掃除ができない人におすすめです。
酸化チタンは食品や化粧品の着色料として使用されるものなので、人体への悪影響はありません。
光触媒塗料を使用するメリット・デメリット
光触媒塗料は外壁の汚れを落とすだけでなく、他にもメリットが存在します。使用する建物や人によってはデメリットになることも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
メリット
デメリット
メリット1:耐用年数が長く外壁の耐久性が高くなる
光触媒塗料は約15年〜20年と、フッ素塗料と同じくらい耐用年数が長いです。耐用年数が長いと防水や外壁の保護といった塗膜の機能が長期間失われないため、耐久性が上がります。
下記が光触媒塗料とほかの塗料の耐用年数で、アクリル塗料と比べると4〜5倍もの差があります。
耐用年数が短い塗料は価格も安く設定されていますが、メンテナンス頻度が高くなります。メンテナンス頻度を減らしたい人は耐用年数が長い光触媒塗料がおすすめです。
光触媒塗料もほかの塗料同様、種類やメーカーによって性能や価格が変わります。
メリット2:外壁についた汚れを除去する
光触媒塗料は、外壁についた汚れを紫外線が分解し雨水で洗い流すセルフクリーニング機能があります。汚れが雨水で洗い流されると自分で掃除をする手間が省けるので、こまめに掃除できない人や、外観の美観を保ちたい人におすすめです。
外壁の汚れは、放置すると劣化により耐久性が落ち、変色やひび割れにつながります。ひび割れは雨水を侵入させて内部を腐食させる原因になるため、外壁の汚れを放置しがちな人は光触媒塗料のセフルクリーニング機能を利用しましょう。
ただし、サビや黄砂など無機質系の汚れには対応していません。樹液や鳥のフンなど過度の汚れも分解する力が追いつかず除去できない場合があるため、落ちにくい汚れは自力での洗浄が必要です。
メリット3:空気をきれいにする
光触媒塗料は、車の排気ガスや工場の排煙に含まれる窒素酸化物を除去する役割があります。光触媒塗料に紫外線が当たると活性酵素が発生し、窒素酸化物を酸化させるためです。
戸建て1件でテニスコート約4面分の緑地と同じ空気浄化効果があります。小さなお子様がいる家庭や、車の通行量が多い地域に住んでいる人に向いています。
デメリット1:日陰では効果を発揮しにくい
光触媒塗料は紫外線を利用して汚れを分解するため、陽の当たらない場所では効果を発揮しにくくなります。光触媒塗料に含まれる酸化チタンが、日陰だと化学反応を起こせないためです。
建物全体に日が当たりにくい場合は光触媒塗料の使用は難しいですが、日陰になる面が一面のみなど決まっていれば、そこを避けて採用することはできます。
自宅の外壁が光触媒塗料に適しているかどうか不安な場合は、専門業者に相談しましょう。
デメリット2:使用できる外壁色が限られる
光触媒塗料は白っぽい色をしているため、原色系やブラック系の外壁色の上に塗ると白が混ざった色に見えてしまう場合があります。光触媒塗料に含まれる酸化チタン本来の色が白であるためです。
したがって、光触媒塗料でコーティングする際は外壁色の選定に十分注意しましょう。使用したい色が決まっている場合は専門業者に相談し、仕上がりの色味に差異がないかも確認しましょう。
デメリット3:施工が難しく施工業者が限られる
光触媒塗料の塗装は技術が必要で、取り扱う業者が多くありません。光触媒塗料は非常に粘度が低くサラサラとしており、一般的な塗料より垂れやすいためです。
また、ほかの塗料より乾燥に時間がかかり、施工日の天気や気温も重要です。職人の経験や技術力に左右されやすいので、光触媒塗料を採用する場合は、施工業者の実績を確認してから依頼しましょう。
施工業者の実績は何で確認すればいいの?
施工業者の実績はHPの下記事項に着目してください。
・塗装技能士や建設業許可証を取得しているか
・施工事例が写真付きで掲載されているか
・自社施工を行っている業者か
施工業者は特別な資格がなくとも開業できるため、資格を取得している業者は技術への信頼が増します。また、実際の施工を下請業者に任せていると、HPの実績と差異があったり、粗悪な工事を行う恐れがあります。
そのほか、アフターフォローがしっかりしていたり、保険や保証が充実している業者は技術への自信を感じます。優良業者の特徴でもあるため、HPは欠かさずチェックしましょう。
デメリット4:価格が高い
光触媒塗料は高い専門性が必要なため、施工価格が高くなります。セルフクリーニング機能や空気清浄・耐用年数の長さなど性能面でもほかの塗料より優れているため、採用するときは施工価格が上がることを想定しておきましょう。
耐用年数も価格相場もフッ素塗料と同じくらいと考えておきましょう。
デメリット5:塗膜が固くひび割れやすい
光触媒塗料は塗膜が固く、ひび割れが生じやすい塗料です。塗膜は弾性が低いと揺れや衝撃に弱くなるため、固い塗膜はひび割れを発生させます。
ひび割れは放置すると隙間から水が浸入し、雨漏りや外壁内部の腐食に繋がります。幹線道路や線路沿いに自宅がある場合は振動でひび割れやすくなるため、光触媒塗料の使用はおすすめできません。
光触媒塗料がおすすめな建物の特徴
光触媒塗料は紫外線による化学反応を利用した仕組みであるため、下記のように、採用するのにおすすめな建物や立地条件があります。
光触媒塗料がおすすめな建物の特徴
- 日当たりが良い建物
- 降水量が多い地域の建物
- 交通量の多い道路沿いの建物
- 外壁色が白・ベージュ・グレーの建物
日当たりが良い建物
光触媒塗料は日光による紫外線の力を利用して効果を発揮する塗料なので、日当たりの良い立地にある建物は光触媒塗料がおすすめです。南向きや東向きの建物であれば、光触媒塗料の採用を検討できます。
西向きや北向きの建物は日が入りにくいため、光触媒塗料の採用をおすすめできません。採用したい場合は、日が当たる面のみ光触媒塗料を採用しましょう。
隣家と接近していて外壁が常に影になっている面も、光触媒塗料の使用は向きません。
降水量が多い地域の建物
光触媒塗料は紫外線で分解した汚れを雨で洗い流すため、雨が多い地域だとセルフクリーニング機能を発揮しやすくなります。四国や九州、沖縄などが降水量が多いとされていますが、台風の影響を受けやすい地域も同様です。
雨は経年劣化の原因となりますが、光触媒塗料を使用すればメリットに変わります。光触媒塗料は防カビ効果もあるため、湿気が発生しやすい地域にもおすすめです。
交通量の多い道路沿いの建物
交通量の多い道路沿いの建物は、排気ガスなどで外壁が汚れやすい建物です。光触媒塗料は排気汚れに対応しているため、採用すると効果を実感しやすく、外壁の美観を保てます。
排気ガスだけでなく、チリや埃・雨だれのあとなどの有機質の汚れに対応しているので、工場が近くにある人にもおすすめです。
外壁色が白・グレー・ベージュなどの建物
白・グレー・ベージュなどホワイト系や無彩色の外壁の建物は、光触媒塗料の使用がおすすめです。塗料に含まれる酸化チタンの色が白っぽいため、外壁色を妨げず使用できます。
外壁色がブラック系や原色の場合は、光触媒塗料を使用すると白が混ざったような色味に仕上がる恐れがあります。自宅の外壁色は光触媒塗料に向いているかどうか判断できない場合は、塗装業者に相談しましょう。
光触媒塗料を扱う人気メーカー |費用と耐用年数も確認
光触媒塗料の採用を検討している人は、人気のメーカーを知っておくと採用するときに選びやすくなります。メーカーによって費用や耐用年数が変わるため、総合的に見て自宅に合う光触媒塗料を選びましょう。
塗料 | メーカー | 費用(材のみ) | 耐用年数 | 保証 |
---|---|---|---|---|
スーパーチタンプロテクト | PGSホーム | 8,000円/㎡ | 約15〜20年 | 塗膜剥離保証最長15年 |
エヌティオ | 日本特殊塗料株式会社 | 7,300円/㎡ | 約16〜22年 | 記載なし |
ピュアコート | 株式会社ピアレックス・テクノロジーズ | 3500円~4500円/㎡ | 20年~ | 記載なし |
外壁塗装の見積もりでは、光触媒塗料の材料費に施工費が上乗せされます。
pgsホーム「スーパーチタンプロテクト」
PGSホームのスーパーチタンプロテクトは、特許を取得しているPGSホームオリジナル光触媒塗料です。防水・防汚・防カビ・防藻・抗菌に優れ、空気洗浄効果もあります。
費用(材のみ) | 8,000円/㎡ |
耐用年数 | 約15〜20年 |
特徴 | 高いセルフクリーニング機能 |
保証 | 塗膜剥離保証最長15年 |
スーパーチタンプロテクトは高いセルフクリーニング機能が人気です。有機物を分解し雨水で汚れを流してくれるのはもちろんですが、注目すべきは性能の高さです。
汚れの分解力は、光触媒工業会が定めている5.0nmol/minという基準があります。この数字が高ければ高いほど分解力が強いということですが、スーパーチタンプロテクトは約4倍の19.6nmol/minです。
また、本来の光触媒塗料はひび割れに弱い塗料ですが、スーパーチタンプロテクトは弾性に富んでいるためひび割れに強く、防水効果も高い性能があります。
日本特殊塗料「エヌティオ」
日本特殊塗料株式会社のエヌティオは、光触媒100%の塗料です。光触媒の効果を最大限発揮するので、防汚性・抗菌性・脱臭性に優れています。
費用(材のみ) | 7,300円/㎡ |
耐用年数 | 約16〜22年 |
特徴 | ツヤありとツヤなしを選べる |
保証 | 記載なし |
エヌティオはツヤ消しカラー仕上げのエヌティオPA-1工法と、ツヤありクリヤー仕上げのPC-10工法があります。ツヤありクリアー仕上げは無機塗料と配合するクリヤータイプの塗料なので、意匠性のある外壁でもデザインを損ねず使用できます。
また、エヌティオはガラスの光触媒コーティングも可能です。外壁と同時にガラスに塗布すれば美しいガラスが長期間維持され、メンテナンスコストも削減します。
ピアレックス「ピュアコート」
株式会社ピアレックス・テクノロジーズのピュアコートは、外壁表面を超親水性にするため、水が玉のようにならず表面に馴染みます。太陽光が当たりにくい北側の外壁でも汚れがつきにくい点が特徴です。
費用(材のみ) | 3500円~4500円/㎡(ピュアコート水性の場合) |
耐用年数 | 20年~(促進耐侯試験の結果) |
特徴 | 柔軟性があり、弾性塗料やシーリング材に追従する |
保証 | 記載なし |
ピュアコートは光触媒塗料では珍しい柔軟性が高いタイプで、弾性塗料やシーリング材の挙動に追従します。下地塗装の柔軟性も損なわないため、ひび割れやすいモルタル外壁にも使用可能です。
また、ピュアコートはフッ素樹脂が骨格となっているため優れた耐候性を発揮します。促進耐候試験では20年以上の耐候性が証明され、耐久性も抜群です。
UVカット効果もあるので、外壁の色褪せも防げます。
光触媒塗料を採用した施主の声【実際の評判】
さまざまな利点がある光触媒塗料ですが、実際に使用した人はどのように感じたかをまとめました。良い口コミと悪い口コミ両方を紹介します。
光触媒塗料を採用した施主の声
- 掃除頻度が減った
- カビや苔が生えにくくなった
- 外壁塗装の総額が高くなってしまった
- 日の当たらない北側には塗っても意味がないと言われてしまった
掃除頻度が減った
光触媒塗料を採用した結果、外壁の水洗いなど掃除をする頻度が減ったという声があります。外壁は放っておくと排気ガスやチリ・埃によって黒ずんだ汚れがついてしまうので、美観を保つための手間が減る点は大きなメリットです。
また、2階部分など手が届かない場所は洗浄が大変ですが、光触媒塗料を使用すれば汚れが気にならなくなります。脚立を用いた大掛かりな掃除は危険なので、セルフクリーニング機能が大いに役立ちます。
カビや苔が生えにくくなった
光触媒塗料はカビや苔などの緑汚れにも対応しているので、緑汚れに悩まされなくなったという声があります。緑汚れは不潔さを感じる人もいるため、こまめに掃除していた人はその手間がなくなります。
カビやコケは湿気が溜まりやすい場所に発生します。風通しが悪い場所や樹木が近接している場所・川や森の近くに住んでいる人は効果を実感しやすいです。
日当たりが悪い場所のコケはどうしたらいい?
日当たりが悪い場所は光触媒塗料が効果を発揮しにくいため、コケを除去するスプレーで対処しましょう。広範囲のコケや根を張っているような頑固なコケは業者によるバイオ洗浄がおすすめです。
コケの除去方法についてはこちらで詳しく解説しています。
>>外壁のコケはキレイにできる?除去方法から原因まで徹底解説
外壁塗装の総額が高くなってしまった
光触媒塗料は通常の塗料より高額なため、外壁塗装全体の費用も上がります。アクリル塗料と比較すると3〜4倍の価格差があるため、塗料選びは慎重に行いましょう。
外壁塗装の工事費用を安くするには?
外壁塗装の工事費用を安くするには、助成金や火災保険の利用・地域密着型の塗装業者への依頼・キャンペーンの利用・閑散期に施工するなどの方法があります。
安くしたいと思っても、塗装回数を減らしたり、点検や補修作業を削ると施工不良を起こす恐れがあるため注意しましょう。
外壁塗装の工事費用を安くする方法はこちらで詳しく解説しています。
>>外壁塗装を最安で施工する方法と【絶対に削ってはいけない費用】を徹底解説
日の当たらない北側には塗っても意味がないと言われてしまった
光触媒塗料は紫外線の力を利用するため、日の当たらない北側に塗っても意味がないと言われる場合があります。効果を発揮しない場所に高額な塗料を塗る必要はないため、業者に反対された場所は塗装を諦めましょう。
光触媒塗料は日が当たる外壁面のみに塗装し、日が当たらない面には防汚効果のある塗料や防カビ機能のある塗料がないか、業者に相談して対策しましょう。
業者から何も言われない場合は、全ての面で光触媒塗料が効果を発揮するか確認してから採用を決めましょう。
外壁塗装の光触媒塗料でよくある質問
外壁塗装の光触媒塗料でよくある質問をまとめました。まだ光触媒塗料に疑問がある人はぜひ参考にしてください。
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光触媒塗料を導入する最大のメリットはなんですか?
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光触媒塗料の最大のメリットは、セルフクリーニング機能により、汚れが落ちやすくなる点です。こまめな洗浄をしなくても外壁をきれいに保ち、外観の美観を損ねません。
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光触媒塗料は何色ですか?
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光触媒塗料は、塗料に含まれる酸化チタンが白色なので、白ベースの淡い色味が基本です。原色や黒などの濃い色を希望している人は、光触媒塗料の使用はおすすめできません。
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光触媒塗料を扱う業者が少ないのはなぜですか?
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光触媒塗料を扱う業者が少ないのは、サラサラとしていて垂れやすく、一般的な塗料より施工が難しいためです。詳しくはこちらを確認してください。
外壁塗装の光触媒塗料まとめ
光触媒塗料は塗料に含まれる酸化チタンと紫外線の力を利用して汚れを分解する防汚機能が高い塗料ですが、採用すると下記のようなメリットがあります。
光触媒塗料のメリット
- 耐用年数が長く外壁の耐用年数が高くなる
- 外壁についた汚れを除去する
- 空気をきれいにする
また、光触媒塗料はセルフクリーニング機能に優れていますが、下記のようなデメリットもあります。
光触媒塗料のデメリット
- 日陰では効果を発揮しにくい
- 使用できる外壁色が限られる
- 施工業者が限られる
- 価格が高い
- 塗膜が硬くひび割れやすい
光触媒塗料を採用する際は立地条件や価格をよく確認し、業者のアドバイスを参考にしながら検討しましょう。