今回は屋根の葺き替え工事をおこなった施工事例です。以下のような方はとても参考になります。
この記事が参考になる人
- 屋根が和瓦になっている人
- 耐震性を高めたい人
- 軽い屋根に葺き替えたい人
築年数 | 40年(2階建て) |
使用材料 | ケイミュー 遮熱ノアガードⅡ(防水シート) ケイミュー ROOGA雅(屋根材) |
工事費用 | 278万円 |
相談内容 | 屋根に色褪せがあり葺き替えをしたいとご相談いただきました。また、数年前に耐震工事をされていましたが屋根はまだ対処していないとのこと。そのため、今回は耐震性を考慮し和風の見た目を残したまま屋根の重量を軽くできる屋根材「ROOGA雅」での葺き替えをご提案しました。 |
施工の流れと内容
屋根 | 今回は和瓦から厚型スレートであるROOGA雅への葺き替えをおこないました。ROOGA雅は和瓦の1/2の重さのため耐震性の向上につながります。防水シートには遮熱性能があるものを採用し断熱性を向上させました。また、棟には屋根裏の湿気を逃がす換気棟を取付けています。なお、今回の棟は和風の家に似合うように高さのある高棟仕様にしました。 |
モルタル | 外壁と下屋根の取り合い部分の防水性を高めるために、防水層を形成する必要がありました。そのため、取り合い付近のみモルタルを解体し防水層を形成した後、新しいモルタルに作り替えをしました。 |
施工の流れ
- 依頼・点検
- 足場組立
- 既存屋根解体
- 新規野地板張り
- 防水シート張り
- 板金設置
- 屋根材張り
- 換気棟(高棟)設置
- モルタル補修
- 完成点検
外装診断の結果
お客様から屋根の葺き替え工事のご相談を受け、屋根の調査をしたところ以下のことが判明しました。
外装診断の結果
- 瓦に色褪せがみられる
- 新耐震基準(1981年)になる前の建物の可能性がある
- 耐震性を考慮し軽い屋根材に葺き替えることが最適
今回の建物は、1981年の新耐震基準になる前に建てられた可能性がありました。
数年前に耐震工事を実施されたとのことでしたが、屋根は重い和瓦のままになっており色あせなどの劣化も見られました。
そのため、和瓦よりも軽量な屋根材に葺き替えて耐震性を向上させることが最適と判断。そこで今回は、和風の雰囲気を活かしつつ屋根の軽量化ができるケイミューのROOGA雅での葺き替えをご提案しました。
既存屋根解体
屋根の頂部の棟を解体。
上から順番に瓦を撤去。
瓦を固定していた桟木(瓦桟)を撤去。
既存屋根の解体は屋根の頂上部から順に瓦を剥がしていくことが基本です。
なぜなら、上の瓦が滑り落ちてくる危険を最小限に抑えるためです。もし軒先(下)から解体すると上の瓦が滑り落ちて屋根から瓦が落下したり、作業者の事故を誘発したりと安全を脅かす可能性があります。
瓦を剥がし終えたら桟木とシートを撤去し、解体は完了です。
葺土とは、瓦のずれ防止や防水の役割をする土のことです。近年は屋根の軽量化が重要視されているため、葺土ではなく防水シートの施行が主流です。しかし、古い家の場合は葺土が施されている場合があります。その場合、瓦の重さに加えて葺土の重さも加わるため非常に重い屋根となってしまいます。
新規野地板張り(下地材)
新しい野地板を設置。
野地板張り完了。
野地板の張り替え作業は、基本的に増し張りをおこないます。増し張りとは、古い野地板の上に新しい野地板を張る施工方法のことです。
増し張り作業の際は、屋根の構造や耐荷重性を考慮しながら作業を進めます。そのため、野地板の材質や厚み、重量、取付け方法は非常に重要な要素です。
適切な板材を選択して確実に取付けることで、屋根の耐久性と安定性を確保します。
古い野地板が腐食している場合は腐食部を撤去して新しい野地板で補修します。
新規ルーフィング張り(防水シート)
使用建材:ケイミュー 遮熱ノアガードⅡ
ルーフィング(防水シート)を張る。
下屋根と外壁の取り合い部分はシートを立ち上げる。
防水シートの施工は屋根の防水性を高める重要な工程です。今回は、ケイミューの遮熱ノアガードⅡという防水シートを採用しました。
遮熱ノアガードⅡを使用することで外からの熱を遮断し、建物内部の温度上昇を抑制してくれます。
また、今回は下屋根と外壁の取り合い部分のモルタルをあらかじめ解体し、屋根の防水シートを外壁の立ち上がり部分まで張りました。
屋根板金工事
ケラバ、軒先、谷、取り合いなどに水切り板金を設置。
屋根の板金施工は、屋根の接合部を強化し雨漏りを防ぐための工程です。
屋根の谷やケラバ、軒先などの接合部は水の流れが集中しやすく雨漏りのリスクが高い場所です。そこで、これらの接合部を保護するために板金を設置します。
新規屋根材張り
使用屋根材:ケイミュー ROOGA雅
軒先から上に向かって順番に屋根材を葺く。
途中に雪止め部材を取付けた瓦を使用。
瓦は軒先から棟に向かって順番に設置していきます。また、軒先付近には雪止めを取付けました。
今回はケイミュー社のROOGA雅という屋根材を使用しました。ROOGA雅は、和瓦のような外観を持ちながらも軽量かつ高い耐久性を備えたセメント瓦(厚型スレート)です。
和瓦の約半分の重量であるため、屋根への負荷が軽減され耐震性が向上します。
また、ROOGA雅は非常に硬く破損しにくいうえ、一枚一枚を野地板に釘でしっかりと固定するため強風による飛散のリスクが低い特徴があります。
屋根の雪止めは、雪が屋根から一度に落下することを防ぎ、周囲の安全を確保する役割があります。雪が一気に落ちると屋根の下の物や人に被害を及ぼす可能性があります。そのため、積雪量の多い地域は雪止めが欠かせません。
屋根換気棟工事
防水部材(捨水切・防水シーラー)や高棟部材を取付ける。
金属面戸や換気棟用パーツを取付ける。
換気棟の施工完了。
今回の施工では屋根裏の湿気を逃がすために換気棟を設置し、屋根裏の結露を防げるようにしています。また、高棟仕様を採用しており、和風の家らしい重厚感や高級感のある仕上がりになりました。
モルタル部の補修
モルタルを定着させるためのラス網を張る。
モルタルを塗り、乾燥後に塗装する。
今回は下屋根と外壁の取り合い部分の防水性を高める必要がありました。そのため、モルタルの内側に防水シートと雨押えを埋め込む施工方法を実施しました。
手順としては、あらかじめ既存のモルタルを解体し、防水シートと雨押えを取り付けます。
そして、モルタルが壁にしっかり定着するようにラス網という金網を取り付け、新しいモルタルを形成しました。
最後に、周囲の色に合わせて塗装して取り合い部分をきれいに仕上げています。
施工完了・ビフォーアフター
今回の工事のポイント
- 屋根の重量を軽くすることで耐震性を向上させた
- 下屋根と外壁の取り合いの防水性を高めるためにモルタルの内側に防水層を設けた
- 屋根裏に湿気がたまらないように換気棟を取付けた
- 重厚感や高級感が演出できる高棟仕様を採用した
今回は和瓦から軽量瓦への葺き替え工事と、防水処理に伴うモルタルの作り替え工事をおこないました。
築40年程度であることから建築当時の耐震基準が古い可能性があったため、屋根を軽くすることが重要でした。
耐震基準は1981年6月1日を境に改正されており、それより前に建てられた家は旧耐震基準が採用されている可能性があります。
もし自宅が旧耐震基準で建てられている可能性がある場合は、早めに専門家へ相談して安全性に問題がないか確認してもらいましょう。
また、和瓦は屋根材の中でも特に重たいため、耐震性を求める方は軽い屋根材への葺き替えを検討してみてはいかがでしょうか。