神奈川県に空き家を所有する方は、本記事を最後までご覧ください。空き家は地域の治安や景観などに悪影響を及ぼすほか、老朽化や耐震基準を満たしていない場合は倒壊する危険性があります。
そうはいっても「住む人がいない」「遠方に住んでいて管理ができない」などの理由で自分自身では手入れや見回りができず、どうしたらよいのかと悩む方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、神奈川県の空き家対策とともに外壁・屋根点検ができるふるさと納税の返礼品を4つ紹介します。ふるさと納税のやり方も解説するので、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
- 神奈川県が実施する空き家対策
- 秦野市、茅ヶ崎市が実施する空き家対策
- 秦野市・二宮町・茅ヶ崎市の外壁・屋根点検を代行してくれるふるさと納税の返礼品
- ふるさと納税のやり方
神奈川県の空き家件数は全国で3番目に多い
神奈川県の空き家件数は全国で3番目に多く、約48万戸もあります。財務省が実施した「住宅・土地統計調査結果」によると空き家の数は増加傾向にあり、1988年から2018年までの30年間で約2.6倍に増加。特に、別荘や賃貸用・売却用ではない「その他の住宅」の空き家の数が増えています。
適切に管理されていない空き家には、倒壊や悪臭、不審者が出没しやすいといったさまざまなリスクがあり、地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼすことが問題となっています。
今後一層空き家が増加すると懸念される神奈川県では、次に紹介する空き家対策に取り組んでいます。
神奈川県が行っている【4つの空き家対策】
以下は神奈川県が実施する空き家対策です。
対策名 | 概要 |
---|---|
空き家総合相談窓口 | ・公益社団法人かながわ住まいまちづくり協会が開設する空き家所有者向けの相談窓口 ・電話やFAX、メールにて受付 |
空き家にしない「わが家」の就活ノート | ・空き家発生を予防するため、住まいに重点を置いたエンディングノートを提供 ・民事信託や任意後見人制度など、終活の参考となる各制度や相続の手続きについてもわかりやすく解説している |
リーフレット「空き家を未来へつなぎましょう」 | ・空き家の利活用のながれや空き家活用事例についてまとめたリーフレット |
空き家バンクの設置 | ・空き家の利活用を目的とし、土地家屋の所有者から集めた情報をホームページなどで公開 ・購入・居住希望者に提供している |
神奈川県や市町村では、空き家に対してさまざまなサポートや取り組みをおこなっています。空き家の管理や活用に困っている方は、各自治体の対策と取り組みを確認してください。
ふるさと納税とは?節税にもつながる寄付金
ふるさと納税とは、本来住んでいる自治体に納めるはずの税金を生まれ故郷や応援したい自治体に寄付することです。ふるさと納税をするメリットは以下の3つです。
ふるさと納税をするメリット
- 税金の控除(還付)
- お礼の品(返礼品)がもらえる
- 寄付金の使い道を指定できる
1つ目のメリットは、税金の控除(還付)です。
寄付金のうち2,000円を超えた部分に対し、所得税および住民税が控除(還付)されます。例えば、50,000円のふるさと納税をした場合、2,000円を引いた48,000円分が翌年の住民税や所得税から減額されることになります。ただし、税金の控除額には上限があるため注意が必要です。
2つ目のメリットは、お礼の品がもらえることです。
寄付した自治体から寄付額の30%以内に相当する地域の名産品がもらえます。50,000円のふるさと納税をした場合、15,000円相当の返礼品を受け取れます。
お礼の品数は57万点以上(2024年3月時点)あり、返礼品から寄付先を探すことも可能です。
3つ目のメリットは、寄付金の使い道を指定できることです。
自身の寄付金をどう使ってほしいか、その使い道を選べます。教育や子育て、まちづくり、自治体の問題解決、災害の復興支援などさまざまな使用目的が用意されおり、使い道を選ぶことで自分の意思を反映できます。自分の興味・関心のある分野から寄付先を選ぶことも可能です。
神奈川県の外壁・屋根点検ふるさと納税【4選】
令和6年4月時点で利用できる、神奈川県の外壁・屋根点検ができるふるさと納税の返礼品を4つ紹介します。秦野市や二宮町、茅ヶ崎市に空き家を所有する方で、遠方に住んでいたり長期間留守にしていたりしてなかなか空き家を訪問する時間がないといった方におすすめです。
秦野市|シルバー空家見守り隊
秦野市の基本情報
総人口は約16万人、世帯数は約7.2万世帯の秦野市。(令和6年4月時点)神奈川県内で5番目の広さを誇り、市の中心部には秦野盆地があります。自然が豊かなこと、また地下水が豊富に湧出していることでも有名です。
名産品は風味豊かな「落花生」、栽培に適した最高の環境から作られる「丹沢茶」、全国名水百選で1位に選ばれた良質な水と厳選された材料を使って作られる「そば」です。
秦野市のふるさと納税返礼品の1つに「シルバー空家見守り隊」があります。公益社団法人秦野市シルバー人材センターが秦野市にある空き家の状況を確認・報告してくれるサービスです。基本的に空き家の確認は外観から目視でおこなわれ、以下の項目を確認し、写真に収めてくれます。
チェック項目
- 軒裏、外壁、雨どい、基礎、土台のシミ、ハガレ、ヒビ、腐食など
- 窓・ドアのガラスの割れ、ヒビ、開閉の不具合、落書きなど
- 塀の傾き、割れ、ヒビなど
- 庭の雑草・植木の繁茂
- その他、有害生物の発生、ゴミなどの不法投棄、チラシ等の投函状況、悪臭など
シルバー空家見守り隊は秦野市の空き家に限り、1回のみのサービスです。詳しくは下記ホームページをご覧ください。
秦野市の空き家対策
秦野市では公益社団法人秦野市シルバー人材派遣センターと協定を結び「空き家管理代行」という空き家対策をおこなっています。空き家の適切な管理を促進するため以下のサービスを代行し、空き家が管理不全になることを防いでいます。
空き家管理代行サービス
- 家の見回り
- 庭木の剪定
- 除草
- ハチの巣の撤去
- 大工修繕・塗装
ただし、高所作業、大規模修繕、その他危険を伴う作業は対応できません。詳しくは、公益社団法人秦野市シルバー人材センターの資料をご覧ください。
秦野市|ドローンで屋根を点検する
秦野市の2つめの返礼品は、かながわ自主防災航空が屋根の台風被害状況や普段の状態を、ドローンを使い撮影・点検してくれるサービスです。撮影した写真や画像データなどはCDで渡してくれるため、自宅でじっくりと確認できます。
本サービスは秦野市内にある物件に限り、1回のみのサービスです。詳しくは下記ホームページをご覧ください。
屋根の劣化を放置していると、雨漏りしたり屋根材が傷んで滑落したりする危険性があります。近隣住民に迷惑がかかることもあるため、自分で確認ができない場合は代行サービスなどを使い点検してもらいましょう。
二宮町|空き家等見回り作業/代行サービス管理・点検
二宮町の基本情報
二宮町は総人口は約2.6万人、世帯数は約1.1万世帯。(令和6年4月時点)海と山の自然に恵まれ温暖で寒暖差が少ないため、1年を通して過ごしやすいといった特徴があります。
二宮町では温暖な気候で育まれた「湘南みかん」、風味かな「落花生」、二宮町を中心に栽培・収穫される「湘南オリーブ」といった名産や、瀬の海と呼ばれる二宮沖では多種多様な魚が育つことで知られています。
二宮町のふるさと納税返礼品の1つに「空き家等見回り作業/代行サービス管理・点検」があります。二宮町シルバー人材センターが空き家を外から見回りをおこない、以下の項目を確認後、写真にて報告してくれるサービスです。
主なチェック項目
- 建物の外壁、ドア、サッシ、雨戸、雨樋、屋根等
- 擁壁、塀、フェンス、門扉、外水道の蛇口、郵便受け等
- 雑草、植木の繁茂状態、隣家や道路境の草木等の状態
本サービスは外からの見回りのみとなり、二宮町の空き家に限り1回のみ有効です。ただし、老朽化の著しいものや大規模な修繕が必要なもの、二宮町の条例に反した所有者が所有する物件は利用できません。詳しくは以下のホームページをご覧ください。
二宮町の空き家対策
二宮町では令和2年度の実施した「空き家実態調査」の結果を基に空き家件数を減らす対策を講じています。対策内容は以下のとおりです。
二宮町の空き家件数を減らす対策
- 空き家化の予防:所有者への空き家抑制啓発や高齢者への贈与・相続などについて啓発活動などをしている
- 空き家の適正管理の促進:相談窓口の設置や所有者への管理を促す
- 空き家の流通・利活用の促進:空き家バンク制度の活用や空き家相談会の開催している
- 補助金・交付金制度:「空き家再生等推進事業」や「空き家対策総合支援事業」への補助金制度の活用
- 空き家の除却:「空き家等解体工事補助」の活用を案内し、除去を促す
- 空き家対策月間の実施:毎年10月に「住生活月間」を設けて広報活動や各種イベントを実施している
詳しくは「二宮町空家等対策計画」の資料をご覧ください。
茅ヶ崎市|空き家管理お試しセット
茅ヶ崎市の基本情報
茅ヶ崎市は約6㎞四方のコンパクトな街で、令和6年4月時点で人口は約24.5万、世帯数は約10.7万世帯の市です。海に近く豊かな自然環境があること、商業施設が充実していること、公共交通の利便性がよいことから、都内からの転入者が増加傾向にあります。
相模湾で漁獲されるしらすは茅ヶ崎市の名産品のひとつであり、生のしらすは鮮度が落ちやすく原産地でしか味わうことができない逸品として知られます。釜揚げしらすやたたみいわしといったしらすの加工品も人気です。
茅ヶ崎市のふるさと納税返礼品の1つに「空き家管理お試しセット」があります。茅ヶ崎市に本社を構える株式会社裕山の1級空き家管理士と補助員の2名が空き家の外回りを巡回・管理し、報告してくれるサービスです。巡回時に以下の管理を代行してくれます。
代行してくれるサービス
- 玄関回りの簡易掃除と草抜き
- 屋根瓦や雨樋の確認
空き家管理お試しセットは茅ヶ崎市内の空き家に限り、年に4回実施。修繕や庭木の剪定、庭の草刈りなどの必要がある場合は見積もりを提出してくれます。詳しくは下記のホームページをご覧ください。
茅ヶ崎市の空き家対策
また、茅ヶ崎市では以下の3つの空き家対策をおこなっています。対策内容は以下のとおりです。
対策名 | 概要 | 詳細ページ |
---|---|---|
空き家活用等マッチング制度 | ・「市場に流通していない」または「市場での借り手のつかない」空き家の所有者と地域活性化を目的に空き家を活用したいと思っている人をマッチングする制度 | https://www.city.chigasaki.kanagawa.jp/machidukuri/1034650/1043606/index.html |
住まいの相談窓口 | ・空き家だけでなく住まいに関する悩みを相談できる ・電話やFAX、メールでの相談が可能 | https://www.city.chigasaki.kanagawa.jp/sumai/1034651.html |
空き家管理 | ・茅ヶ崎市のシルバー人材センターが空き家の現状を確認、管理をしてくれる | https://www.city.chigasaki.kanagawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/034/651/silver.pdf |
空き家活用等マッチング制度を利用するには登録申請をする必要があり、登録できる建物の条件は以下のとおりです。
空き家活用等マッチング制度に登録できる建物
- 茅ヶ崎市内に所在する空き家である
- 老朽化が著しくない
- 新耐震基準を満たしている
- 登録後2年以内に売却・賃貸予定がない
- 不動産業者等を通じて営利目的での売却・賃貸の募集をしていない
空き家の活用内容に制限はありませんが、地域の子育てママや高齢者の支援、地域の自治体活動の支援、子どもの生活・教育支援などでの活用が想定されています。詳しくは下記のホームページをご覧ください。
>>茅ヶ崎市ホームページ「空き家活用等マッチング制度への登録」
そして、空き家管理は外観から建物の破損や植栽の状況、不法侵入や不法投棄の有無を確認・報告したり、ポスティングされたチラシを回収・廃棄したりしてくれるサービスです。
庭の除草や植木の剪定作業と、作業時に発生したごみの回収・廃棄も依頼できます。ただし、3mを超える高所や斜面での作業、その他危険を伴う作業は対応できません。詳しくは下記の資料をご覧ください。
>>公益社団法人 茅ヶ崎市シルバー人材センター「空き家の適正管理について」
人の気配や人の出入りがない空き家は、不法侵入といった犯罪を誘発させるリスクを高めます。そのため、自分で対応できない場合は代行サービスなどを利用し、定期的に敷地内に異常が起こっていないか確認することが大切です。
ふるさと納税のやり方【簡単4STEP】
この章では、ふるさと納税のやり方を紹介します。ふるさと納税の手順は以下のとおりです。
ふるさと納税の手順
- 寄付金控除上限額を調べる
- 寄付をする自治体を決めて申し込む
- お礼品と寄付金受領証明が届く
- 寄付金控除の申請をおこなう
STEP1.寄付金控除上限額を調べる
まずは、寄付金控除上限額を調べましょう。ふるさと納税では住民税や所得税の控除が受けられますが、年収や家族構成、住んでいる地域などによって税金控除の上限額が異なります。
控除上限額を超える寄付をしてしまうと、自己負担分が2,000円から増えてしまうため注意が必要です。寄付する前に、自分の税金がいくらまで控除されるのかを把握しておくことが重要です。
寄付金控除上限額は、ふるさと納税を取り扱っているサイトで簡単に調べられます。
STEP2.寄付をする自治体を決めて申し込む
応援したい地域や返礼品などから自分が寄付したいと思う自治体を選び、申し込みましょう。自治体や返礼品を選ぶ際は、ふるさと納税の情報を取りまとめたポータルサイトが探しやすくておすすめです。
寄付金を全額自治体の事業に使ってほしい場合は、返礼品を辞退することもできます。また、居住地の自治体への寄付は可能ですが、お礼の品を送らない自治体があるため注意しましょう。
STEP3.お礼品と寄付金受領証明が届く
ふるさと納税を申し込み後、決済が確認できたら自治体から寄付のお礼の品と寄付したことを証明する「寄付金受領証明書」が届きます。「寄付金受領証明書」は確定申告時に必要となるため、大切に保管しておきましょう。
返礼品の到着時期は、自治体や品によって異なります。おおよその到着時期は申込画面などで確認できます。
STEP4.寄付金控除の申請をおこなう
ふるさと納税をしたら、寄付金控除の申請をおこないましょう。申請手続きには以下の2つの方法があります。
税金控除の手続き方法
- 確定申告
- ワンストップ特例制度
寄付先が年間5自治体まで、かつふるさと納税以外の確定申告が不要な人であれば、手続きが簡単な「ワンストップ特例制度」での申請がおすすめです。確定申告をしなくても税金控除が受けられます。
確定申告で申請をおこなう
確定申告とは、前年1年間(1月1日~12月31日)の所得に対する納税額を計算し、税務署に申告・納税をおこなうことです。以下の条件にひとつでも当てはまる人は、確定申告での申請が必要です。
確定申告が必要な人
- 1年間でふるさと納税の寄付先が6自治体以上
- ワンストップ特例制度が利用できなかった自治体がある
- ふるさと納税以外の確定申告が必要な人(本業以外の収入がある人や高額医療控除の対象となる人など)
また、確定申告時に必要なものは以下のとおりです。
確定申告時に必要な書類など
- 寄付金受領証明書
- 対象期間の源泉徴収票
- 還付金受取用口座番号
- マイナンバーカードまたは番号が確認できる書類+本人証明書類
上記を準備のうえ、確定申告書を作成し、納税書に提出します。確定申告書の提出期限は、寄付した翌年の2月16日~3月15日までとなります。
ワンストップ特例制度を利用する
ワンストップ特例制度は、ふるさと納税をした後に確定申告をしなくても税金控除が受けられる制度です。「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」に必要事項を記入し、寄付先の自治体に郵送します。
ワンストップ特例制度を利用するには、以下の条件を満たす必要があります。
ワンストップ特例制度を利用できる人
- 1年間でふるさと納税の寄付先が5自治体以内
- ふるさと納税以外は確定申告をする必要がない給与所得者等である
申請に必要なものは以下のとおりです。
ワンストップ特例制度申請時に必要な書類など
- 寄付金税金控除に係る申告特例申請書
- 本人証明書類の写し
寄付金税金控除に係る申告特例申請書は、各自治体から郵送されるほか、自治体や総務省、ふるさと納税申込に利用したホームページなどから入手できます。
提出期限は寄付した翌年の1月10日必着です。寄付先が複数ある場合は、その都度申請書と本人証明書類を各自治体に郵送する必要があります。
本人証明書類の写しは、マイナンバーカードの表裏または個人番号通知カードと写真付き身分証を用意します。どちらもない場合は、マイナンバーが記載された住民票と顔写真付きの身分証を提出しましょう。
ふるさと納税でよくある質問と回答
-
複数の自治体に寄付することは可能ですか?
-
可能です。寄付する自治体数に制限はありませんが、5自治体を超えるとワンストップ特例制度は利用できません。また、複数の自治体に寄付する場合は、寄付金控除上限額を超えないよう注意しましょう。
-
寄付する金額に上限はありますか?
-
寄付する金額に上限はありませんが、控除上限額を超える額を寄付した場合は自己負担金が2,000円より増えてしまいます。控除上限額は年収や家族構成などにより異なるため、寄付する前に必ず確認しましょう。
-
返礼品はいつ頃届きますか?
-
返礼品の到着時期は自治体や品によって異なります。おおよその到着時期は申込画面で知ることができます。
神奈川県の外壁・屋根点検ふるさと納税まとめ
神奈川県の外壁・屋根点検ができるふるさと納税と、ふるさと納税の手順を紹介しました。以下の被害をもたらす危険性があることから、増え続ける空き家が問題となっています。
空き家がもたらす被害
- 老朽化による倒壊
- 地域景観の悪化
- 放火による火災
- 不審者による治安悪化
空き家を所有している方は、定期的に見回りや手入れをしましょう。遠方に住んでいるなどの理由により自分自身だけで問題を解決することが難しい場合は、今回紹介した自治体の空き家対策や紹介したふるさと納税の返礼品などを利用し、お得かつ適切に管理することをおすすめします。