今回は、屋根の全面葺き替えを行なった事例です。
以下のような方はとても参考になります。
この記事が参考になる人
- 築20年以上の住宅に住んでいる
- 屋根の劣化が気になる
- 天井付近にカビやシミといった雨漏りのサインが見られる
- 屋根の葺き替えタイミングを知りたい
築年数 | 40年(2階建て)20年程前に屋根と外壁塗装メンテナンス済 |
使用材料 | ニチハ アスファルトシングル アルマ(屋根) 12㎜ベニヤ(野地) 田島ルーフィング PカラーEX(ルーフィング) 三菱電機 ダクト用換気扇 VD-10ZC12(換気扇交換) |
工事費用 | 80~90万円 |
相談内容 | 2階の天井からポタポタと雨漏りするようになったとご相談を受けました。20年ほど前に屋根と外壁の塗装メンテナンスを行なったものの、当時の業者はもう経営しておらず、心配になったとのご相談です。現場を調査したところ、屋根が劣化し小屋裏に雨水が染み出している状況を確認しました。屋根の全面葺き替えを提案し、施工しました。 |
施工の流れと内容
上屋根 | 屋根塗膜の劣化、棟板金の継ぎ目シーリングの劣化などから、野地板と小屋裏に浸水しています。経過年数と雨漏りしている状況から、野地板・ルーフィング・屋根・棟板金の全面葺き替えを提案しました。 |
小屋裏 | 一部に、浸水によるシミ・白カビが確認できました。腐食はみられませんでした。屋根の葺き替えによって浸水を止め、適切な湿度状態に戻るよう、小屋裏換気扇を設置しました。 |
下屋根 | 塗膜の劣化が見られるものの、上屋根と比較しても軽微な状況。葺き替えの必要まではないと判断しました。 |
施工の流れ
- 依頼・点検
- ドローンによる上空調査
- 小屋裏調査
- 既存屋根の解体
- 野地張り
- ルーフィング張り
- 屋根葺き替え
- 棟板金の交換
外装診断の結果
お客様から雨漏りのご相談を受け、上空からと小屋裏内部から調査をしたところ以下のことが判明しました。
外装診断の結果
- 雨漏りが発生している天井の上部周辺に野地板への浸水
- 小屋裏に、雨水浸水が原因と考えられる、シミ・白カビ
- 棟板金の継ぎ目シーリングの劣化
- 屋根表面で塗膜の劣化、全体的な錆の発生
- 屋根の棟板金の釘が浮いている
ドローン調査からは、屋根全体で塗膜が劣化している状況や、棟板金の釘が浮いてきていることが確認できました。下地材が老朽し屋根の固定が緩んでいる恐れがあります。さらに小屋裏では、構造の一部がぬれた状態で、白カビが発生していました。
調査の結果、経年劣化により屋根の内部に雨水が浸水していることが分かりました。そのままにしておくと浸水が広がり、構造の腐敗につながる恐れもあることから、屋根の全面葺き替えを提案しています。
全面葺き替えとは、屋根材、防水の役割を担うルーフィング、屋根材を支える下地である野地板を、全て撤去し新しく施工する作業です。小屋裏への浸水を食い止め、構造の劣化を防ぎます。
既存屋根解体
既存ルーフィングの破れを確認。
野地板の継ぎ目には浸水した跡が。
野地板の下の状況。
ところどころ隙間も目立ちます。
屋根を剥がすと、下地である野地板が大きく傷んでいることが確認できました。
特に、雨漏りが発生していた部屋の真上は、木材がボロボロと朽ちている状態です。防水シートであるルーフィングも、触るだけで破れてしまうほど劣化していました。
全ての屋根材を撤去してみると、全面的に傷んでいる下地が露わになりました。経年劣化と雨水の浸水で、本来の役目を果たせなくなったとわかります。
新しい屋根に吹き替えるため、劣化した下地を全て撤去します。
野地張り
使用材料:12㎜ベニヤ
野地張り施工、棟部分。
野地張り施工、傾斜部分。
劣化した野地板を撤去し、新しく12㎜ベニヤ板を張りました。
屋根材を固定する野地板は、建物の柱など構造部分と屋根をつなぐ重要箇所です。
個人ではメンテナンスしづらい箇所のため、屋根の劣化が気になったときは速やかに外装業者に依頼点検しましょう。
ルーフィング張り
使用材料:田島ルーフィング PカラーEX
雨の流れに逆らうルーフィング。
ルーフィング施工。
ルーフィングとは、防水シートのことです。雨水を屋根内に染みこませず、軒先の雨樋に流す役割があります。
ルーフィング張りのポイントは、雨の流れに逆らうように、下から上に被さるように貼っていくことです。上から貼ってしまうと、隙間から浸水する原因になります。
屋根葺き替え
使用材料:ニチハ アスファルトシングル アルマ
隙間なく施工されたルーフィング。
屋根材も下から重ねて張ります。
続いて、ルーフィングの上から、屋根材を施工していきます。
アスファルトシングル屋根材とは、アスファルトを浸透させたガラス基材の表面に石粒を吹き付け接着した屋根材です。軽量で柔らかい素材のため、ひび割れのリスクが少なく、防水性と耐久性に長けています。
アスファルトシングルは新築でもよく採用される屋根材。
カラーバリエーションが豊富で、家の外観やスタイルを問わずにマッチします。
今回のお宅では、予算や下屋根との外観バランスから、ニチハのアスファルトシングル屋根材、アルマを選択しました。
表面の石粒にはセラミックコーティングされた天然石が使われており、耐久性と意匠性にすぐれた人気の屋根材です。
棟板金の交換
シロアリの侵入を防ぐ。
しっかり固定します。
屋根材の設置後、最後に棟板金を設置します。
棟とは、建物の最も高い部分。最も雨風を受ける部分からの浸水を防ぐために、金属製のカバーである棟板金を取り付けます。
棟板金と屋根の間に置くのは、防蟻剤が注入された木材です。棟板金を固定させ、棟の隙間を埋めてシロアリの侵入経路を遮断します。
施工完了・ビフォーアフター
今回の工事内容は、雨漏りするほど劣化した屋根の全面葺き替えです。既存の屋根を撤去し、野地板・ルーフィング・屋根材・棟板金を全て交換しています。
屋根は新品に生まれ変わり、構造への浸水は止まりました。工事を最小限に抑えられたポイントは、雨漏りに気付いてすぐにご相談いただけたことです。
雨漏りを放置していると、建物構造の腐食につながり、耐久性が落ちます。最悪の場合、建物の崩落や天井の抜け落ち被害が発生します。
雨漏りのサイン
- 壁や天井に濡れたようなシミが見える
- 壁や天井にカビが生えている
- 部屋がカビ臭い
上記の雨漏りサインがあった場合は、早急に外装業者に相談してください。
工事を検討する際は、信頼できる知識と丁寧な調査ができる業者を選んでくださいね。