初めて自宅の外壁塗装を検討するときに「外壁塗装ってどんな作業内容で、どのくらいの期間がかかるものなんだろう……」と疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。
外壁塗装の正しい作業内容や必要な期間を知らないと悪徳業者に騙されたり、施工不良によって外壁塗装の寿命が短くなったりする可能性があります。
そこでこの記事では、外壁塗装の塗り替えにはどれくらい期間がかかるのか、どんな作業があるのかなどを紹介します。
この記事でわかること
- 外壁塗装にかかる期間は約14日間
- 外壁塗装に必要な作業内容
- 外壁塗装の期間中に注意するべき5つのこと
外壁塗装にかかる期間は30坪住宅で約14日
外壁塗装にかかる期間は、30坪住宅で約14日間です。塗装する範囲や環境によって多少の誤差はあるかと思いますが、極端に長すぎる・短すぎる場合は注意が必要です。そこでこの章では、外壁塗装の作業工程とそれぞれの日数について解説します。
外壁塗装の工程と日数【一覧表】
外壁塗装の工程と日数は以下のとおりです。
作業内容 | 期間 |
---|---|
近隣挨拶・現場確認 | 1日 |
足場設置 | 1日 |
高圧洗浄 | 1~3日 |
下地処理 | 1~2日 |
養生 | 1日 |
外壁塗装下塗り | 1日 |
外壁塗装中塗り | 1日 |
外壁塗装上塗り | 1日 |
付帯部塗装 | 1~2日 |
点検・見直し | 1日 |
足場解体・清掃 | 1日 |
それぞれの作業内容については後述しますが、上記の表にまとめた作業内容は外壁塗装で必ずおこなう作業です。外壁塗装をする際には、塗装業者から渡された工程表や見積書をよく見て、省かれている作業がないか確認しましょう。
天候によっては14日以上かかる場合もある
外壁塗装は天候の影響で14日よりも長引く場合があります。たとえば、雨天の日は塗装できないほか、気温5度以下、湿度85%以上の場合は塗料が硬化しないため塗装できません。
そのため、雨が多く湿度の高い梅雨や気温の低い冬場に塗装工事をおこなうと、塗装できる環境になるまで待つ必要があります。
外壁塗装を14日間で終わらせたい場合は、気候が安定している春や秋におこなうのがおすすめです。
外壁塗装にかかる期間が短すぎる業者には要注意
先述したとおり、外壁塗装は複数の工程を経て完成するものです。それぞれの工程には日数が決まっているため、外壁塗装にかかる期間が短すぎる塗装業者は作業を省いている可能性があります。
手抜き工事の例
- 高圧洗浄後の乾燥時間が不十分
- 適切な下地処理がされていない
- 塗料の乾燥時間を守らない
短期間で外壁塗装が完成するのは魅力的に感じるかもしれませんが、外壁塗装を長持ちさせるためにはしっかりと各工程をこなすことが大切です。14日以下で終わらせようとする業者には注意しましょう。
天候や気候によって工期が延びた場合、余分に費用がかかることはありません。もしも余分に費用を請求された場合、それは悪徳業者の手口です。十分に注意してください。
外壁塗装にかかる期間と作業内容を工程別に詳しく解説
前章では外壁塗装にはどんな作業があってどれくらいの期間がかかるのかを簡単に説明しましたが、この章ではそれぞれどんな作業内容なのかを詳しく解説します。
1.近隣挨拶・現場最終確認【期間:1日】
近隣挨拶とは、近隣住民に対して塗装工事をおこなう旨を伝える作業のことです。塗装業者が「〇〇日から〇〇日まで塗装工事をおこないます」という書面を準備して挨拶に回ります。その際、自身も業者と一緒に挨拶に行くのがベストです。
現場最終確認とは、見積もりをする際に確認した内容と違いがないか施工前に最終確認する工程です。事故や施工ミスにつながらないよう、外壁や付近の状況を改めて確認します。
外壁塗装はトラブルの多い工事になります。汚水や塗料の飛散、騒音、塗料の臭いなどで近隣トラブルになることも珍しくありません。工事前の近隣挨拶や現場確認はしっかりおこなってもらうようにしましょう。
近隣挨拶についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
>>外壁塗装がうるさい!?騒音が発生する期間と音量を解説。近隣への説明は必須
2.足場設置【期間:1日】
足場設置とは、労働安全衛生規則によって2m以上の高所作業で設置が義務付けられている作業のことです。職人が安全かつ効率よく作業するために欠かせないものになります。
足場は金属の部材を用いて組むため、足場設置時は大きな金属音が響きます。また、足場材を運ぶトラックの停車場所も確保しなければいけません。
家の立地条件によっては、足場材の仮置き場が必要になる場合もあります。
3.高圧洗浄【期間:1~3日】
高圧洗浄とは、高圧洗浄機を使用して外壁を水洗いする作業のことです。外壁に付着している汚れや、剥がれかけている古い塗膜(塗装した部分や面)を除去することで、上から塗る塗料の密着性を高めます。
高圧洗浄には以下の3種類があり、外壁の状態によって使い分けます。
高圧洗浄の種類 | 特徴 |
---|---|
ストレート噴射 | 強力な水圧の水がまっすぐに出る。一般的な外壁に多く使用されている |
トルネード噴射 | ノズルの先端が回転することでストレート噴射よりも威力のある水を噴射する |
バイオ洗浄 | バイオ洗浄液を散布して汚れを浮かせたあとに高圧洗浄をおこなう カビや藻を落とす効果がある |
また、外壁は濡れていると下地処理や塗装ができないため、高圧洗浄後にはしっかりと乾かす必要があります。乾いていないまま次の工程に進んでしまうと施工不良につながるため、乾燥時間も含めて1~3日の期間が必要です。
4.下地処理【期間:1~2日】
下地処理とは、古くなった塗膜の除去やひび割れ・コーキングの補修、凹みや段差のパテ処理などをおこなう作業のことです。外壁塗装の仕上がりをよくするだけではなく、耐久性や密着性を高めるためにも重要な作業になります。
また、ひび割れやコーキングの劣化を補修せずに塗装すると外壁内部に雨水が侵入し、雨漏りや躯体の腐食、カビ・シロアリの発生につながります。
見積書や工程表に下地処理の項目があるか必ず確認してください。
外壁のひび割れ補修について詳しく知りたい!
外壁のひび割れには、幅0.3mm以下・深さ4mm以下の「ヘアークラック」と、幅0.3mm以上・深さ5mm以上の「構造クラック」の2種類があります。
ヘアークラックの場合は早急な補修は必要ありませんが、外壁塗装をする時期が来た目安として考えておくとよいでしょう。一方、構造クラックは、早急な補修が必要です。最悪の場合、建物の倒壊につながる恐れもあるため、早めに専門業者に相談しましょう。
外壁のひび割れ補修方法や費用、原因についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
>>外壁のひび割れは補修が必要?症状別の補修方法から費用、原因まで徹底解説【写真付き】
5.養生【期間:1日】
養生とは、塗装しない箇所を保護するためにおこなう作業です。養生に使用する道具には、以下のようなものがあります。
養生に使われる道具
- メッシュシート(飛散防止ネット)
- マスカー
- ノンスリップシート
- 室外機カバー
- カーシート
- マスキングテープ
養生をしないで外壁塗装すると、塗装しない箇所や隣家に塗料が付着したり、窓枠などの端部がきれいに仕上がらなかったりする恐れがあります。
6.外壁塗装下塗り【期間:1日】
下塗りとは、外壁と塗料の密着度を高めるために下塗り塗料を塗布する作業のことです。下塗りに使用する塗料には、以下のようなものがあります。
下塗り塗料 | 特徴・用途 |
---|---|
プライマー | 外壁材と塗料の密着を高めるほか、傷んだ外壁材に塗料が吸い込まれないようにする役割を担っている |
シーラー | 外壁材と塗料の密着を高めるほか、傷んだ外壁材に塗料が吸い込まれないようにする役割を担っている 錆止め効果を持つものもあるため、金属外壁に用いられるケースもある |
フィラー | ひび割れなど凹凸の激しい外壁材を滑らかにする役割を担っているほか、外壁の表面に模様や柄を付けるために塗布する場合もある |
下塗り塗料を塗布してから完全に乾くまでには、プライマーやシーラーで2~3時間ほど、フィラーで4~6時間ほどかかります。作業時間と乾燥時間を合わせると、丸1日はかかると覚えておきましょう。
7.外壁塗装中塗り【期間:1日】
中塗りとは、下塗り後に塗装する作業のことです。上塗りの前段階として凹凸のない滑らかな下地を作ることや、塗膜の強度や美観性を高める役割を担っています。
中塗りには上塗りと同じ塗料を使用するのが一般的ですが、中塗りをちゃんとしている証明として上塗りと違う色の塗料を使用する業者もいます。しかし、色を変えて塗装をすると中塗りと上塗りの密着度が低下し、耐久性が下がってしまいます。
一見すると色を変える行為は誠実な対応のように思えますが、塗料本来の耐久性を発揮するためには中塗りと上塗りで同じ色の塗料を使ってもらうのがベストです。中塗りをきちんとおこなっているかどうかは、施工写真などで証明してもらいましょう。
また、中塗り材が完全に乾くまでには最低でも3~4時間ほどかかります。作業時間と乾燥時間を合わせると、上塗りをするのは中塗りの翌日以降が適しています。
8.外壁塗装上塗り【期間:1日】
上塗りとは、最後に外壁を塗装する仕上げ作業のことです。外壁を美しく仕上げるために欠かせない作業であり、均一かつ滑らかに塗装しなければいけません。色むらや塗り残しは絶対に許されない作業になります。
上塗りが乾くまでには、最低でも3~4時間はかかります。塗料は完全に乾かないと本来の色味にはなりません。そのため、完全に乾いた後に自分で確認することをおすすめします。
万が一、イメージとかけ離れすぎた仕上がりになっていたり、色むらができていたりする場合は、もう一度上塗りできるか塗装業者に相談してみましょう。
9.付帯部塗装【期間1~2日】
付帯部塗装とは、軒天や破風板、雨どいなどの外壁以外の部分に塗装を施すことです。付帯部塗装は2回塗りが基本です。さらに、1回の塗装につき乾燥時間は最低でも3~4時間かかるため、トータルでかかる期間は1~2日になります。
付帯部塗装なんて必要ないのではと考える方もいるかもしれませんが、結論から言うと付帯部塗装は必要です。せっかく外壁がきれいになっても付帯部だけ劣化したままだと悪目立ちしますし、何より付帯部の耐久性を保つために欠かせません。
また、別で付帯部だけ塗装するとなると足場代が別途必要になるため、余計な出費が発生します。そのため、外壁塗装する際は付帯部塗装も一緒におこなうとよいでしょう。
10.点検・見直し【期間:1日】
すべての塗装が完了したら養生を剥がしつつ、全体の点検と見直しをおこないます。塗り残しや色むらがないか、塗料の飛散はないかなどを重点的に確認します。
外壁塗装の点検・見直しには、施主も同行するのが一般的です。不備や気になる点がある場合は、その場で業者に伝えるようにしてください。
また、塗装時に外した配線・配管カバーなどは、点検・見直しのタイミングで復旧してもらいましょう。
11.足場解体・清掃【期間:1日】
足場解体ではまず周りのメッシュシートを取り除き、上から順に足場を解体していきます。足場設置のときと同じく、大きな金属音が響いたり足場上のゴミやホコリが飛散したりするため、足場解体の3日~1日前までには近隣住民に伝えておくことが大切です。
足場解体後には足場に乗っていたゴミが落ちているため、周辺の清掃をおこないます。風で遠くに飛散している可能性もあるため、近隣トラブルにならないためにも敷地外まで確認してもらいましょう。
それぞれの作業の内容を知っていれば、工程表と見比べて進捗の確認ができます。塗装業者がしっかりと作業をしているのか、自分の目でも確認するようにしましょう。
外壁塗装をしている期間中に注意すべき5つのこと
ここまで外壁塗装の作業内容や期間について紹介してきましたが、初めての外壁塗装だと作業内容以外にもわからないことが多くて不安かと思います。そこでこの章では、外壁塗装をしている期間中に注意すべき5つのことを紹介します。
1.工事期間中の洗濯物は室内干しのみ
外壁塗装の期間中は洗濯物は部屋干しするようにしましょう。外壁塗装するうえで汚水や塗料の飛散は防げません。そのため、洗濯物を外に干していると汚れや塗料の臭いが付着する恐れがあります。
また、工事期間中に洗濯物が外に干してあると、職人は気を遣って作業しなければなりません。作業効率も悪くなるため、予定より工期が延びることもあるでしょう。
大切な衣類を汚れや臭いから守るだけでなく、作業をスムーズに進めるためにも、外壁塗装期間中は室内干しをしましょう。
2.毎日の進捗状況を確認する
毎日の進捗状況は、業者任せにせず自分で確認することが大切です。一般的には外壁塗装をする前に塗装業者から工程表が渡されます。工程表とは、何日から何日までどの作業をおこなうか記載してある表のことです。
通常の業者であれば、その日の始まりと終わりに作業の進捗状況を報告してくれますが、工程表を見て自分で確認することも大切です。
それぞれの作業にかかる期間は決まっているため、工程よりも早く進んでいる場合には乾燥が十分でない状態で塗装していたり、作業を省いたりしている可能性があります。
外壁塗装は仕上がりを見てもすぐに手抜き工事されているかどうかわかりません。作業の進捗に少しでも不安や疑問を抱いた場合は、その場で業者に尋ねるようにしましょう。
3.足場仮設時は車の移動が必要になる可能性がある
足場工事の間は車を移動してほしいと頼まれるケースがあります。なぜなら、部材の搬入・搬出、設置・解体時に邪魔になる恐れがあるからです。
また、駐車場に足場を設置しなければいけない場合は、工事期間中ずっと自宅に車を停めておくことができません。一時的に駐車場を借りることになるのですが、この場合、駐車料金は基本的に施主負担となります。
足場仮設時だけ車を移動してほしいのか、それとも工事期間中ずっと他の場所に駐車しなければいけないのかは、見積もりの段階でわかることです。契約前にしっかりと確認しておきましょう。
4.臭い、チリ・ホコリの侵入対策として窓が開けられない
外壁塗装の期間は塗料の臭いやチリ・ホコリが屋内に入り込んでしまうため窓が開けられません。そもそも養生がしてあるため簡単には開けられませんし、無理に開けてしまうと養生が剥がれる可能性があります。
どうしても換気をしたい場合は、換気扇を活用しましょう。ただし、換気扇を活用する場合は、業者にその旨を伝えてください。養生の種類によっては換気扇が使用できない場合があります。
また、換気扇を使用した場合、塗料の臭いが室内に入ってくることは避けられません。臭いの少ない水性塗料を使用する、家の中でマスクをする、日中は外出するなどして、窓が開けられない状況を乗り越えましょう。
5.足場をつたって空き巣に侵入されないように注意する
足場を組んでいる家は、空き巣に狙われやすいため注意が必要です。足場をつたって簡単に2階に侵入できるため、空き巣にとっては好都合な環境になります。
空き巣対策として有効なものは、以下のとおりです。
空き巣対策に有効な方法
- すべての窓を常に施錠しておく
- カーテンやシャッターを閉めておく
- センサーライトを取り付ける
- センサーアラーム(防犯アラーム)を取り付ける
- 防犯カメラを取り付ける
業者によっては、センサーライトや防犯カメラを貸し出ししている場合もあります。同時に「防犯センサー作動警戒中」といった内容が書かれたターボリン(垂れ幕)を設置してくれる場合もあるため、打ち合わせの段階で確認しておくと安心でしょう。
このような注意点をあらかじめ知っておけば、外壁塗装をおこないうえでの不安要素が減らせます。
外壁塗装の期間でよくある質問と回答
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雨などで工事期間が長引くと追加費用は発生しますか?
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雨などの天候で工事期間が延びた場合には基本的に追加費用は発生しません。
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工事中は留守にしても大丈夫ですか?
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外壁塗装の工事は屋外での作業しかないため、留守にしても問題ありません。防犯のためにすべての窓と扉を施錠してから出かけましょう。
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工事前の近隣挨拶はしないとダメですか?
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一般的には塗装業者が近隣挨拶をおこなうため、必ずしないといけないわけではありません。しかし、塗装工事は臭いや騒音、飛散物などで近隣に迷惑をかけてしまう可能性があるため、未然にトラブルを防ぐためにも塗装業者と一緒に挨拶周りをすることをおすすめします。
外壁塗装の期間のまとめ
本記事では、外壁塗装の作業内容や期間、注意すべき点などについて紹介しました。
この記事のまとめ
・外壁塗装にかかる期間は約14日間
・それぞれの作業ごとに期間が決まっている
・作業期間が短すぎる塗装業者には注意する
・洗濯物の干し方や車の移動、空き巣対策など気をつけるべき点がある
外壁塗装は頻繁におこなう工事ではありません。そのため、いつどんな作業が必要なのか、どれくらいの期間がかかるのかなんて知る人は多くないと思います。
しかし、作業の進捗を業者任せにすることは良くありません。工程表と照らし合わせて、自身の目でもしっかりと確認しましょう。進捗状況を確認することで、手抜き工事をされるリスクも減らせます。
外壁塗装にかかる期間は約14日です。業者との打ち合わせの段階で工程をしっかり確認するようにしましょう。