サイディングは大きく分けて4種類あります。適切なサイディングを選ばないと、次の外壁リフォームまで不満な状態が続きます。この記事ではサイディングの種類や適切な選び方を紹介します。
幅広いデザインや機能があるので、どのサイディングが自分にとって最適か知りたい方は参考にしてください。
この記事の押さえておくべきポイント
- 窯業系サイディングは耐久性やデザインの幅広さに優れているが断熱性に劣る
- 金属系サイディングは断熱性に優れているがサビやすい
- 樹枝系サイディングは耐候性に優れているが施工可能な業者が少ない
- 木質系サイディングはデザイン性に優れているが防火性に劣る
低価格で高耐久!定番の外壁材サイディングとは?
サイディングは住宅全体の外壁材のうち、70~80%のシェア率を誇る外壁材です。サイディングの特徴は低価格でデザインが豊富なところ。
理由は施工方法や工場での大量生産によるコスト削減です。サイディングが採用する乾式工法は手間が少なく、かつ短い工期で施工可能なため費用を抑えることができます。
一方湿式工法は手作業でモルタルや土壁を塗るなど手間がかかり、施工費がかかります。
乾式工法の特徴
- 塗り方など特殊な技術が必要ない
- 工期が湿式工法よりも短い
- 工場で大量生産している
サイディングのメンテナンスを詳しく知りたい!
施工が低価格で取り入れやすいサイディングにも、メンテンスは必要です。具体的なメンテンス方法や費用についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
サイディング【全4種類を比較】見た目や特徴をチェック
サイディングは全部で4種類あり、見た目やメリット・デメリットなどの特徴は以下のとおりです。
サイディングの種類 | 見た目 | メリット | デメリット | 費用 |
---|---|---|---|---|
窯業系サイディング | タイル調や木目調などさまざま | 耐久性に優れている | 断熱性に劣る | 3,000~8,000円 |
金属系サイディング | シャープなデザイン | 断熱性に優れている | 費用が高い | 5,000~9,000円 |
樹脂系サイディング | シンプルなデザイン | 耐候性に優れている | 施工業者が少ない | 7,000~12,000円 |
木質系サイディング | 本物の木を使用している | デザイン性に優れている | 耐火性に劣る | 9,000~20,000円 |
窯業系サイディング
人気度 | ★★★★☆ |
相場価格(1㎡あたり) | 3,000~8,000円 |
メンテナンス目安 | 10~15年 |
特徴 | デザインの種類が豊富で防火性能や耐久性に優れている |
メリット | 衝撃に強く、耐火性に優れている |
デメリット | 夏は室温が上がりやすい |
窯業系(ようぎょうけい)サイディングは、サイディング全体の75%をシェア。木目や石柄などの豊富なデザインがあり、好みに合わせた製品を選べます。
窯業系サイディングの原料はセメントで、衝撃からの強さと、耐火性の高さがメリットです。一方で、熱を吸収しやすい性質を持っているため、夏は室温が上がり光熱費がかさむデメリットがあります。
金属系サイディング
人気度 | ★★★☆☆ |
相場価格(1㎡あたり) | 5,000~9,000円 |
メンテナンス目安 | 10~15年 |
特徴 | 表面が金属でできている |
メリット | 浸水する心配なく、断熱性に優れている |
デメリット | 費用が高い、施工技術が必要 |
金属系サイディングは、窯業系サイディングの次にシェア率の高い外壁材です。シャープなデザインが特徴で、落ち着いた雰囲気の外観に仕上がります。
表面が金属でできているため、雨や雪などの水分を吸収する心配がありません。また内部構造が表面、断熱材、裏面の三層で構成されているため断熱性が高い点がメリットです。
ただし、費用が高いのがデメリット。窯業系サイディングの倍近い金額になるケースもあります。これは金属サイディングを設置するためにシーリングだけでなく金属部材を使います。また、施工も難しく、専門的な技術と経験のある職人に施工してもらう必要があります。
樹脂系サイディング
人気度 | ★☆☆☆☆ |
相場価格(1㎡あたり) | 7,000~12,000円 |
メンテナンス目安 | 30年 |
特徴 | 塗装・シーリングメンテナンスが不要 |
メリット | 色あせなどの劣化がしづらい |
デメリット | 施工できる業者を探すのに手間がかかる |
樹脂系サイディングは、プラスチックの一種である塩化ビニルを板状に加工した外壁材です。シンプルなデザインで、時代に左右されない外観に仕上がります。金属系サイディングや窯業系サイディングは、ボードの表面を塗装しているのみです。対して、樹脂系サイディングは内部まで顔料を浸透させています。そのため色褪せしづらい点がメリットです。
しかし、樹脂系サイディングのシェア率は1%。施工できる業者が少なく、実績のある業者を探すのに時間がかかるデメリットがあります。
木質系サイディング
人気度 | ★★☆☆☆ |
相場価格(1㎡あたり) | 9,000~20,000円 |
メンテナンス目安 | 8~12年 |
特徴 | 本物の木を使用している |
メリット | デザインが被らない |
デメリット | メンテナンス費用がかかる |
木質系サイディングは、本物の木を塗装した外壁材です。木の温もりを感じられる外観が特徴で、高級感のある外観に仕上がります。
木質系サイディングのメリットは、本物の木を使っており、他の家と外壁のデザインが被らない点です。また熱を吸収しづらく、断熱性に優れているので夏は快適に過ごせます。一方、木は雨の水分によって腐食しやすく、他のサイディングと比べてメンテナンス費用がかかるデメリットがあります。
何で選ぶ?サイディングの選び方
自分の求めるサイディングは一体どれなのか、機能に合わせたおすすめのサイディングを紹介します。
耐久性なら窯業系サイディング
高い耐久性を求めるなら窯業系サイディングがおすすめです。窯業系サイディングは日本産業規格で定められた耐久性をクリアしており、衝撃に強い特徴があります。ただし、窯業系サイディングは比較的重量があり、建物に負担をかけてしまう恐れがあるので、カバー工法を採用するなら金属系サイディングの方が適しています。
窯業系サイディングは蓄熱する特徴を持っているため、塗料は遮熱性のある塗料との組み合わせが最良です。
断熱性なら金属系サイディング
断熱性の高いサイディングを選ぶなら金属系サイディングがおすすめです。金属系サイディングは内部構造が表面、断熱材、裏面の三層で構成されています。そのため断熱性が高く、モルタルと比べると50~60倍の断熱効果に期待でき、夏も快適に過ごせます。
ただし、金属サイディングはデザインが少なく全体的にシャープな印象を与える製品がほとんど。幅広いデザインから選びたい方は、窯業系サイディングがおすすめです。
金属系サイディングはシリコン塗料を一般的に使用しています。塗料のこだわりが無ければシリコン塗料が最良です。
耐候性なら樹脂系サイディング
耐候性の強いサイディングを選びたい方は樹脂系サイディングがおすすめです。樹脂系サイディングはひび割れや凍結する不安がないため、潮風の吹く地域や寒冷地に住んでいる方と良い相性です。
ただし、樹脂系サイディングの形状は薄く遮音性に劣っており、外の音が気になる恐れがあります。遮音性を重視したい場合は金属系サイディングの方が最適です。
樹脂系サイディングなら塗料は、紫外線からの影響を防ぐ機能を持つ遮熱塗料との組み合わせが最良です。
デザイン性なら木質系サイディング
デザインにこだわりたいなら木質系サイディングがおすすめです。木質系サイディングは木の温もりを感じられ、高級感があります。また本物の木を使っているので他の人とデザインが重なりません。
ただし、窯業系サイディングや金属系サイディングと比べると素材の値段が割高。くわえて本物の木を使用しているため耐火性は劣ります。費用が気になるなら、耐久性が高くランニングコストに優れた窯業系サイディングを選びましょう。
木質系サイディングなら塗料は耐用年数が長く、メンテナンス頻度が少ないフッ素塗料が最適です。
サイディングを扱う主なメーカー
サイディングを扱う主なメーカーについてまとめました。
サイディングを扱う主なメーカー
- ケイミュー
- 旭トステム外装株式会社
- ニチハ株式会社
- アイジー工業株式会社
それぞれ商品に特徴があるため、こだわりたい性能やデザインに合わせて確認しましょう。
ケイミュー
ケイミューは独自の開発をおこない、デザイン性と機能性にこだわったサイディングを取り扱っています。
商品名 | サイディングの種類 | 特徴 |
---|---|---|
光セラ | 窯業系サイディング | 太陽の光で汚れを分解し、雨で流すセルフクリーニングができる |
Legerair | 窯業系サイディング | 光セラに藻の発生を防ぐ効果のある銅を配合している |
フラットデザインパネル | 窯業系サイディング | 豊富なデザインから選べる |
はる一番 | 金属系サイディング | 遮熱・高耐候性能。紫外線をはじくフッ素樹脂を含んでいる |
ケイミューが開発した、セルフクリーニング機能をもつサイディングは業界初です。
旭トステム外装株式会社
旭トステムは、壁内部の結露や雨漏りの防止に期待できる外壁通気工法を採用しています。また樹脂系サイディングを取り扱っているメーカーです。
商品名 | サイディングの種類 | 特徴 |
---|---|---|
AT-WALL | 窯業系サイディング | 色褪せを抑える独自の塗料を使っている |
SHiZEN | 窯業系サイディング | 内壁にも対応可能。内壁と一緒に合わせると統一感が出る |
Danサイディング | 金属系サイディング | ビ割れを防止する独自の塗料を使っている |
WALL-J | 樹脂系サイディング | 水洗い、洗いで汚れを落とす程度のメンテナンスで済む |
WALL-Jは風速の強い沖縄県、鹿児島県の一部地域では施工できないので注意してください。
ニチハ株式会社
ニチハ株式会社は窯業系サイディングの最大手メーカーです。次世代インクジェット工法を採用し、素材の質感をよりリアルに表現することに成功しました。
商品名 | サイディングの種類 | 特徴 |
---|---|---|
プレミアムシリーズ | 窯業系サイディング | 色あせや塗膜のひび割れに強い超高耐候塗料を使っている |
Fu-ge | 窯業系サイディング | 外壁どうしの継ぎ目を目立ちにくくするように施工している |
COOL | 窯業系サイディング | 鏡面仕上げを施している |
モエンエクセラード | 窯業系サイディング | 国産木材チップでリアルな質感を表現している |
モエンサイディング | 窯業系サイディング | 凹凸感のある深彫りデザインを表現している |
無塗装製品 | 窯業系サイディング | 下塗り処理のみをおこなった外壁材。好きな色を塗れる |
センターサイディング | 金属サイディング | ボードの長さを特注できるため接合部をなくせる |
鏡面仕上げで鏡のような光沢のある仕上がりになります。COOLが開発されるまでは、窯業系サイディングでは不可能だと言われていました。
アイジー工業株式会社
アイジー工業株式会社は、金属系サイディングのシェア率が最も高いメーカーで、取り扱っている商品は通常の窯業系サイディングの約2倍の断熱性を誇ります。
商品名 | サイディングの種類 | 特徴 |
---|---|---|
シンプルモダンシリーズ | 金属系サイディング | 金属の質感を活かしたシャープなデザイン |
ナチュラルシリーズ | 金属系サイディング | 石・タイル・木目などの、自然素材の質感を表現したデザイン |
ベーシックシリーズ | 金属系サイディング | シンプルでスタンダードなデザイン |
アイジー工業株式会社の商品はデザインが豊富です。80種類以上のデザインから選べます。
サイディングの種類でよくある質問
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目地の目立たないサイディングはありますか?
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目地の目立たないサイディングはあります。たとえば、ニチハのFu-geやCOOLは「四合いじゃくり」という独自の施工方法で目地を目立たなくしています。
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サイディングの厚みの違いはなんですか?
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サイディングの厚みの違いによって表現できるデザインが異なります。厚みがあるほど、深みを活かしたデザインが可能になります。ただし厚くなるほど費用は増すので注意が必要です。
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新築時に違う外壁を採用していてもリフォームでサイディングに変更できますか?
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新築時に違う外壁を採用していても問題ありません。外壁交換(張り替え)や元々ある壁の上に新しい壁を貼るカバー工法を採用すれば、サイディングを新たに外壁にできます。
サイディングの種類のまとめ
サイディングは大きく分けて4種類あり、それぞれ特徴やデザイン性が異なります。
種類ごとの特徴は以下のとおりです。
サイディングの種類ごとの特徴
- 窯業系サイディングは耐久性やデザインの幅広さに優れているが断熱性に劣る
- 金属系サイディングは断熱性に優れているがサビやすい
- 樹枝系サイディングは耐候性に優れているが施工可能な業者が少ない
- 木質系サイディングはデザイン性に優れているが防火性に劣る
サイディングで納得いくリフォームにするためには特徴と自分の希望を照らし合わせることが大切です。