サイディングのひび割れをすぐに補修するべきなのか悩んでいませんか。
結論から言うと、幅0.3mm以上のひび割れは早急にパテ補修が必要です。ひび割れから雨水が浸入し、雨漏りする危険性があるからです。
しかし、サイディングのひび割れをパテ補修する場合、費用がどのくらいかかるのか気になる方も多いでしょう。
そこでこの記事では、サイディングのひび割れをパテ補修する手順と費用を紹介します。ひび割れを放置するリスクも紹介するので、パテ補修をするべきか悩んでいる人は最後までご覧ください。
この記事でわかること
- 幅が0.3mm以上のひび割れは早急に補修が必要
- 素人が補修すると外壁を傷めてしまうリスクが高いためおすすめしない
- パテ補修の費用相場は20,000円/箇所で、高所作業は足場代が約20万円/式が別途必要
- パテ補修で対応できないひび割れは、新しいサイディングを張り替えまたは重ね張りする
サイディングのひび割れをパテ補修する手順
パテ補修が必要となるのは、幅0.3mm以上のひび割れです。
一口に「ひび割れ補修」と言っても、外壁材の種類やひび割れの大きさ、劣化度合いにより補修方法が異なります。この章では、サイディングのひび割れをパテ補修する一般的な工事の手順を紹介します。
ひび割れをパテ補修する手順
- ひび割れ箇所のカビや藻、汚れを落とす
- プライマー(下塗り材)を塗布して表面を固める
- マスキングテープを貼り、ひび割れ部分を弾性パテで埋める
- パテが乾いたらペーパーなどで削る
- 既存外壁と同色の塗料で塗装する
サイディングのひび割れについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
>>サイディングがひび割れる理由は?補修方法や費用相場、放置リスクを徹底解説
1.ひび割れ箇所のカビや藻、汚れを落とす
補修前にサイディングのひび割れ箇所のカビや藻、汚れを洗い落とします。
布や柔らかいスポンジなどを使用して汚れを落とし、軽く水洗いします。上向きに散水すると接合部から漏水する恐れがあるため、散水は上から下に向かっておこなうのが基本です。水洗いで落ちない汚れには中性洗剤を使って洗ったのち、洗剤が残らないように水で洗い流します。
そして、カビや藻、汚れを落としきったらしっかりと乾燥させます。
サイディングに汚れが残っていると、次に塗布するプライマーやパテが密着しません。せっかくパテ補修しても剥がれやすくなってしまうため、洗浄は補修前に欠かせない工程といえます。
塗膜を傷める恐れがあるため、硬いブラシなどで強くこすることや洗浄に高圧洗浄機やシンナーなどの溶剤は使用しません。
2.プライマー(下塗り材)を塗布して表面を固める
サイディングの汚れを落とし乾かしたら、プライマー(下塗り材)を刷毛で塗布して表面を固めます。プライマーで表面を固めるのは、補修箇所の表面が劣化しており、ボロボロと剥がれる可能性があるからです。
また、密着性に優れたプライマーには、サイディングとパテを十分に接着させる役割があります。さらに小さなひび割れ程度であれば補修することも可能です。
プライマーは主に以下の2種類あります。
種類 | 特徴 |
---|---|
水性プライマー | ・臭いが少ない ・軽度劣化に適している ・乾燥時間が油性プライマーより長い |
油性プライマー | ・臭いが強い ・浸透性が高く、劣化が著しいひび割れに適している ・乾燥時間が短い |
サイディングの劣化状態や使用するパテとの相性を考慮して、適切なプライマーを選ぶことが重要です。そして、プライマー塗布からパテ充填までの時間は使用するプライマーによって決まっているため、効率良く進めていく必要があります。
3.マスキングテープを貼り、ひび割れ部分を弾性パテで埋める
プライマーが固まったら補修箇所の周りにマスキングテープを貼り、ひび割れ箇所を弾性のパテで隙間なく埋めていきます。この際、弾性パテは均等に充填すること、ヘラ等を用いてサイディングの表面が平らになるように形成することがポイントです。
弾性パテはサイディングの動きに追従して伸縮することから、サイディングのひび割れ補修に最適です。また、割れにくいためひび割れ再発のリスクを減らせます。
そして、マスキングテープを貼る理由は、補修箇所以外の汚れを防ぎ、きれいに仕上げるためです。粘着力が弱いため剥がしたあとに接着部の塗装が剥がれたり傷がついたりする心配がありません。
充填後はパテを乾燥させて、完全に固まるまで待ちます。マスキングテープはパテが完全に乾く前に剥がします。
4.パテが乾いたらペーパーなどで削る
パテが乾いて固まったら、表面が平らになるように目の粗いサンドペーパーなどで削ります。表面を削る理由は、つるつるだと塗料は密着しにくいからです。表面を削り凹凸をつけることで塗料が密着しやすくはがれにくくなります。
5.既存外壁と同色の塗料で塗装する
最後に、補修箇所が目立たないよう既存外壁と同じ色の塗料で塗装をおこないます。基本的に通常の塗装同様、下塗り、中塗り、上塗りの3回塗りをおこないます。塗料を塗り重ねることで防水性が高まり、ひび割れも再発しにくくなります。
サイディングのひび割れをパテ補修せずに放置しておくとどうなるの?
サイディングのひび割れをパテ補修せずに放置すると、ひび割れから雨水が外壁内部へと浸入。そして、以下の被害をもたらします。
ひび割れの放置リスク
- ひび割れから雨水が侵入して躯体が腐食する
- 外壁内部が湿った状態になりカビやシロアリが発生する
- 防水シートが傷んで雨漏りにつながる
サイディングのひび割れは自然に治るものではありません。放置することで被害が拡大してしまうため、早めに対処することが重要です。
ひび割れから雨水が浸水して躯体が腐食する
サイディングのひび割れから雨水が染み込んで建物内部まで到達すると、柱や壁、土台といった躯体が腐食する可能性が高くなります。躯体が腐食すると建物の耐久性や強度が大きく失われ、地震が発生した際には破損、倒壊する原因となり非常に危険です。
躯体の腐食は少しずつ進行するため、初期段階で気づくことは困難でしょう。また、雨漏りに気づいたときには、すでに腐食が進行しているケースがほとんどです。
躯体の腐食が進行してしまうとひび割れの補修や外壁塗装では対応できなくなり、大規模な修繕や建て替えをしなければいけません。そのため、サイディングのひび割れを見つけたら早急な対応を心がけましょう。
外壁内部が湿った状態になりカビやシロアリが発生する
ひび割れから雨水が侵入してしまうと外壁内部が湿った状態になり、カビやシロアリが繁殖しやすくなります。
カビは住人の健康に被害を及ぼす恐れがあるため注意が必要です。カビを吸うことで頭痛や吐き気、アレルギーといったシックハウス症候群を発症するリスクが高まります。
また、シロアリは雨漏りで腐食した木材を食い荒らしてしまい、建物の耐久性や強度を大きく低下させる危険性があります。
カビやシロアリの繁殖を防ぐには、外壁内部に水分を侵入させないことが重要です。そのため、サイディングにひび割れを見つけた際は早急に対処することが大切となります。
高温多湿の環境を好むカビは、温度25度、湿度90%の場合、たった2日で繁殖すると言われています。
防水シートが傷んで雨漏りにつながる
ひび割れ箇所から雨水が侵入すると防腐防蟻処理された胴縁が濡れ、溶けだした薬剤が防水シートを傷めてしまいます。防水シートは薬剤に弱く、付着すると防水性が低下します。
サイディングにひび割れがあったとしても、防水シートが本来の役割を果たせていれば雨漏りすることはありません。しかし、適切な補修をおこなわなければ防水シートの劣化は早まります。
雨漏りは前述したカビやシロアリの発生と躯体の腐食につながるため、ひび割れは早めの修繕がおすすめです。
サイディングのひび割れをパテ補修する際の費用相場
サイディングのひび割れをパテ修繕する際の費用相場は20,000円/箇所です。ひび割れの大きさや深さ、劣化度合いによって費用は上下し、劣化が進行しているほど費用は高くなります。
また、高所作業の場合は足場の設置が必要となり、足場代として20万円ほど別途必要です。そのため、ひび割れ箇所が高所だったり修繕箇所が多かったりすると、30~50万円かかることも少なくありません。
塗膜や外壁自体が劣化していたりひび割れ箇所が多かったりする場合は、外壁全体の塗り替えやサイディングの張り替えを勧められるケースもあります。
見積書が提示されたら、足場代も含まれているか確認をしましょう。
サイディングのひび割れ補修は市販のパテでDIYできるの?
基本的に、サイディングのひび割れをDIYで補修することはおすすめしません。
市販でもパテは販売されていますが、補修方法や使用するパテが不適切だとひび割れが悪化したり補修に失敗したりする可能性があるからです。
また、DIYで補修したことにより、補修前よりサイディングが傷んでしまうこともあります。再度業者に補修してもらうとなると、結果的に補修費用が高くなります。
ひび割れ補修は劣化の状態を正確に診断し、適切な補修方法をおこなうための専門的な知識と技術が必要です。また、一般の人が脚立などで高所作業をおこなうと転落事故などの危険も伴うため、ひび割れ補修はプロに依頼することをおすすめします。
ひび割れには、緊急性の高いものと低いものがあります。正しい知識を持っていないと適切に補修することは難しいため、DIYは控えましょう。
パテ補修で対応できないサイディングのひび割れはどうするの?
サイディングの劣化が激しかったり破損していたりする場合は、パテ補修では対応できません。
パテ補修で対応できない劣化は外壁内部にまでひび割れが到達している場合が多く、雨水が浸入している可能性もあり緊急性の高い危険な状態です。パテ補修で対応できないひび割れは、以下の方法でサイディングを一新する必要があります。
パテ補修で対応できないときの補修方法
- サイディングを張り替える
- 既存サイディングの上に新しいサイディングを重ね張りする
また、新築から30~40年経過していたりサイディングの耐用年数を超えていたりする場合は、サイディングの耐久性や強度が低下している可能性が高いです。そのため、小さなひび割れであってもパテ補修ではなく張り替えや重ね張りを検討しましょう。
1.既存外壁を撤去して新しい外壁材を張る【張り替え】
張り替えとは、既存の外壁材を撤去して新しい外壁材を張る工事です。
張り替えの費用相場は15,000~30,000円/㎡です。既存サイディングの撤去・処分代が必要なため、部分補修や重ね張りよりも費用は高くなります。
ただし、既存の外壁材を解体するため、ボードや防水シートといった下地も補修が可能です。外壁だけでなく下地も一新することで、建物の耐久性や防水性が格段に向上します。
2.既存外壁の上に新しい外壁材を張る【重ね張り】
重ね張りとは、傷んだ既存サイディングの上に新しいサイディングを重ねて張る工事です。
重ね張りの費用相場は10,000~20,000円/㎡です。既存サイディングの撤去が必要ないため、張り替えよりも費用は安く済みます。しかし、既存サイディングを解体しないため、下地が傷んでいたとしても補修はできません。
外壁が二重になり断熱性や防音性が高まる一方で重さが増すため、建物の耐震性は低下します。そのため、重ね張りをする際は、金属系など軽いサイディングがおすすめです。
サイディングのパテ補修によくある質問と回答
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パテ補修と外壁塗装(全面)は同時におこなったほうがよいですか?
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前回の外壁塗装から数年しか経っていなければ、同時におこなう必要はありません。パテ補修を伴うひび割れは緊急性が高いため、次の外壁塗装を待たず先に補修をおこないましょう。
一方、前回の外壁塗装から10年以上経過している場合は、パテ補修と同時に外壁塗装も検討しましょう。
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パテ補修はどのくらいの大きさのひび割れに必要ですか?
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幅0.3mm以上のひび割れは外壁内部までひび割れている可能性が高く、早急なパテ補修が必要です。一方、幅0.3mm以下は外壁表面に生じたひび割れのため、パテ補修は必要ありません。
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サイディングがひび割れる原因は何ですか?
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サイディングは、劣化したり衝撃を受けたりするとひび割れを起こします。
ひび割れが起きる主な原因は以下のとおりです。
・雨風や紫外線による塗膜やサインディングの劣化
・寒暖差によるサイディングの伸縮
・地震などの揺れの衝撃
サイディングのパテ補修のまとめ
サイディングにひび割れを見つけたら早めに業者に相談しましょう。ひび割れを補修せず放置していると、以下のトラブルが起こります。
ひび割れを補修しないと起こるトラブル
- ひび割れから外壁内部に雨水が侵入する
- 防水シートが傷んで雨漏りが起きる
- カビやシロアリが繁殖する
- 躯体の腐食が進むと、建物の耐久性や強度が低下する
ひび割れは一見自分で補修できそうですが、知識や技術がないとサイディングを傷めることになりかねません。素人が適切に補修や塗装をおこなうことは難しいため、ひび割れの補修は業者への依頼がおすすめです。