窯業系サイディングは、日本でもっとも多く使用されている外壁材です。外壁材の中でも比較的安価なうえ、デザイン性にも優れているため、多くの人々から人気を博しています。
そのため、自宅外壁を窯業系サイディングに交換しようと考えている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、窯業系サイディングの特徴や価格、デザインの種類、おすすめメーカーなどを紹介します。外壁工事を検討中の方は、ぜひ最後までお読みください。
この記事でわかること
- 窯業系サイディングの特徴
- 窯業系サイディングを採用するメリット・デメリット
- 窯業系サイディングのデザイン7種類
- 窯業系サイディングのおすすめメーカー3選
- 窯業系サイディングの価格相場や耐用年数
窯業系サイディングとは?デザインの種類が豊富で安価な外壁材
窯業系サイディングとは、セメントと木材繊維などを混ぜ合わせたものを板状に形成し、高温で焼き固めた外壁材のことです。
窯業系サイディングの重さは1枚あたり24kgと軽く、ALCやモルタルと比べると非常に軽いことが特徴。耐火性にも優れているため、地震大国である日本にピッタリの外壁材です。
デザインの種類は「タイル調」「レンガ調」「石積柄」「木目柄」「ライン柄」「コンクリート柄」「無地・フラット柄」「塗り壁調」と多種多様。どんな住宅にも合わせやすいため、取り入れやすい点も魅力です。
また、他の外壁材に比べて価格もリーズナブルで、初期費用をおさえながらも高クオリティな仕上がりが期待できます。
窯業系サイディングのデザインの種類【全7種類】を紹介
この章では、7種類の窯業系サイディングのデザイン性や特徴を解説します。
窯業系サイディングのデザイン7種類
- タイル・レンガ調
- 石積柄
- 木目柄
- ライン柄
- コンクリート柄
- 無地・フラット柄
- 塗り壁調
自宅外壁を窯業系サイディングにリフォームしたいけどデザインに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
1.タイル・レンガ調
タイル・レンガ調サイディングは、本物のタイルやレンガのような重厚感のある外観を演出できるデザインです。
塗装や印刷でタイルやレンガを表現しているものの、1枚1枚の風合いがしっかり表現されているため、欧風の伝統的な住宅が手軽に再現できます。
また、本物のタイルやレンガよりも安価かつ軽量なため、初期費用をおさえたい方や耐震性を重視したい方にも適しているデザインです。
2.石積柄
石積柄サイディングは自然の石かのような風合いで、温かみのあるデザインが特徴の外壁材です。
さまざまな大きさや形の石を組み合わせて造られているため、全面張りでも単調に見えないところが特徴。住宅街だけでなく、郊外や山間部にもマッチするデザインです。
彫りが深めなものから細めのものもあるため、和風住宅にも洋風住宅にも合わせやすい点もポイント。ワントーンでも陰影があるため、シンプルだけど重厚感のある外観に仕上げたい方に適しているデザインです。
3.木目柄
木目柄サイディングは、工場で生成したサイディング板に印刷や塗装で木目柄に仕上げた外壁材です。
木質系サイディングと違って天然素材を使用していないため、腐食しづらいうえに害虫が発生する心配もありません。
シックな外観に仕上げたい方は黒色や茶色を、ナチュラルな外観に仕上げたい方は黄みがかった薄い色を選ぶことをおすすめします。
全体的にナチュラルな雰囲気に仕上げたい方はもちろん、アクセントとして外壁の一部に木目柄サイディングを採用しておしゃれな雰囲気に仕上げたい方に適しているデザインです。
4.ライン柄
ライン柄サイディングは、金属外壁かのようなスタイリッシュなデザインが人気の外壁材です。
シンプルかつ洗練された外観を実現し、建物の形状や構造をより際立たせる効果があります。横張りにすると落ち着いた印象に、縦張りにするとスマートな印象に仕上がります。
シャープで現代的な外観に仕上げたい方に適しているデザインです。
5.コンクリート柄
コンクリート柄サイディングは、サイディング板の表面にコンクリートの質感を施した外壁材です。
パッと見はまるで本物のコンクリート外壁そのもの。しかし、本物のコンクリート外壁と違って非常に軽量なため、建物にかかる負担も最小限で済みます。
都市的かつスタイリッシュな外観に仕上げたい方に適しているデザインです。
6.無地・フラット柄
無地・フラット柄サイディングは、どんな建築スタイルにも合わせやすい万能型の外壁材です。
凹凸が少なくシンプルな設計のため、すっきりとした外観を好む方に人気があります。よりシンプルに見せたい方は、ワイドタイプのサイディングを採用すると良いでしょう。
とにかく外観をすっきり見せたい方や、タイル・レンガ調や石積柄などのように意匠性を求めていない方に適しているデザインです。
7.塗り壁調
塗り壁調サイディングは、和風住宅から洋風住宅まで幅広いスタイルにマッチするデザイン性の高い人気の外壁材です。
本物の塗り壁よりも耐候性に優れており、雨風や紫外線による損傷がおさえられるといったメリットがあります。また、本物の塗り壁は高額なのに対し、塗り壁調サイディングは安価な点もポイントです。
自然な質感と温かみを好む方や、落ち着いたデザインにしたい方に適しているデザインです。
窯業系サイディングおすすめメーカー【3選】
この章では、国内における代表的な窯業系サイディングメーカーを3社紹介します。各メーカーの特徴や強みは以下のとおりです。
メーカー | 特徴 |
---|---|
ニチハ | ・デザインが豊富 ・耐久性が高い |
ケイミュー | ・環境に優しい製品開発に力を入れている ・カラーバリエーションが豊富 |
旭トステム株式会社 | ・ラインナップが幅広い ・耐候性に優れている |
1.ニチハ
ニチハは窯業系サイディングの先駆者であり、建材業界の中で主導的地位にある企業です。
幅広いデザインと機能を持つ革新的な技術と高品質な素材を使用し、住宅から商業施設まで多様な建築ニーズに応える製品を提供しています。
特に「PREMIUM SERIES」や「Fu-ge」シリーズは、美観と耐久性を兼ね備えている窯業系サイディングです。
ニチハから販売されている窯業系サイディングの商品と特徴は以下のとおりです。
商品名 | 特徴 |
---|---|
PREMIUM SERIES | 高級感ある質感と美観を整え、色あせ・塗装のひび割れに強いデザインニーズに対応。 |
Fu-ge | 独自の連結システムを採用し、耐久性と取り付けの容易さを向上させた新世代の外壁材。 |
COOL | 熱遮熱特性を備え、省エネルギー性能を改善。鏡面仕上げのデザイン。 |
モエンエクセラード16 | 優れた衝撃耐性とプレミアムな感触を提供する16mm厚のサイディング。 |
モエンサイディングS18 | 高耐久性と洗練された外観を実現する18mm厚のサイディング。 |
モエンサイディングM14・W14 | 多様な建築スタイルに適応する中(M)と広(W)プロファイルの14mm厚サイディング。 |
無塗装品(シーラー品) | ペイント前提で、基本的な保護を提供しつつカスタマイズが可能。 |
2.ケイミュー
ケイミューは、環境に優しい窯業系サイディングを提供している企業です。
光触媒コーティングを施した「光セラシリーズ」など自浄作用と空気浄化機能を持つ製品を展開しており、低メンテナンスで持続可能な外壁材を求める方に適しています。
ケイミューから販売されている窯業系サイディングの商品と特徴は以下のとおりです。
商品名 | 特徴 |
---|---|
光セラ | 光触媒コーティングで自浄作用と空気浄化の利点を提供。 |
親水パワーコート | 光を利用して汚れを分解する進化した親水コーティングで、お手入れが簡単。 |
親水コート | 自浄能力を向上させる親水コーティング。 |
無塗装(シーラ) | 塗装またはコーティングの準備ができており、仕上げの柔軟性を提供。 |
3.旭トステム株式会社
旭トステム株式会社は、革新的な壁システム「AT-WALL」や自然素材をヒントにした「SHiZEN」シリーズを通じて、美学と機能性を追求した窯業系サイディングを提供している企業です。
これらの製品は住宅から商業施設まで幅広い用途に対応し、環境との調和を重視した設計が特徴となっています。
旭トステム株式会社から販売されている窯業系サイディングの商品と特徴は以下のとおりです。
商品名 | 特徴 |
---|---|
AT-WALL | 美学と機能性を兼ね備えた革新的な壁システム。住宅から商業建築まで幅広く対応。 |
SHiZEN | 自然素材に着想を得た環境に優しいサイディング。環境との調和を考えた設計。 |
窯業系サイディングの価格相場と耐用年数
窯業サイディングの価格相場は1㎡あたり3,000〜8,000円ほど、耐用年数は30~40年ほどになります。
窯業系サイディングは構造と素材の特性から長寿命な外壁材ですが、定期的なメンテナンスを怠ると耐用年数に達する前に寿命を迎えてしまうため注意が必要です。
そのため、7~10年を目安に塗装メンテナンスをおこないましょう。
ただし、沿岸地域や寒冷地域などは通常よりも劣化が進行しやすいため、色あせやひび割れといった劣化症状が見られたらすぐに業者に相談してください。
窯業系サイディングのメンテナンス時期と方法・価格相場
窯業系サイディングは、施工後7~10年に一度の頻度でメンテナンスをおこなう必要があります。特に下記の劣化が発生している場合は、早急なメンテナンスが必要です。
窯業系サイディングの劣化サイン
- 色あせ
- チョーキング(手で触れると粉が付く状態)
- 幅0.3mm以上のひび割れ
- 塗膜の膨れ
- 塗膜の剥がれ
- カビや藻の発生
1.外壁塗装
窯業系サイディングのメンテナンスに欠かせない外壁塗装。外壁塗装は美観の向上だけでなく、紫外線や雨風などの外的要因から外壁を保護する役割があります。
防水効果も高まるため、雨漏りの予防にもつながります。また、機能性塗料を採用すればシリコンやフッ素といった一般的な塗料には無い効果が得られ、より安全快適な暮らしが期待できるでしょう。
例えば、遮熱・断熱塗料を採用すれば室温を下げる効果が、低汚染性塗料を採用すれば外壁の汚れを雨水で洗い流すセルフクリーニング効果が付加価値として得られます。
ただし、一般的な塗料と比べて高額になるため、塗料選びの際は業者とよく相談してから決めるようにしましょう。
外壁塗装のメンテナンス時期は7~10年に一度、価格相場は一般的な塗料で1㎡あたり6,000~10,000円ほどです。
2.シーリング増し打ち・打ち替え
窯業系サイディングの繋ぎ目には、シーリングと呼ばれるゴム状の防水材が充填されています。外壁内部に雨水が侵入するのを防ぐだけでなく、サイディング同士がぶつかり合わないように緩衝材としての役割を担っています。
シーリング工事には「増し打ち」と「打ち替え」の2種類があり、それぞれの工事内容は以下のとおりです。
シーリング増し打ち | ・既存シーリングの上にシーリング材を充填し厚みを出す ・ひび割れや剥がれがない場合に適している |
シーリング打ち替え | ・既存シーリングを撤去して新しいシーリング材を充填する ・ひび割れや剥がれなど劣化が激しい場合に適している |
シーリングのメンテナンス時期は5~10年に一度、増し打ちの価格相場は1㎡あたり500〜1,100円、打ち替えの価格相場は1㎡あたり900〜1,500円ほどです。
価格だけ見ると「増し打ち」のほうがお得ですが、外壁を長持ちさせたいのであれば「打ち替え」をおすすめします。なぜなら、外壁塗装が必要な時期にはすでにシーリングの劣化が進んでいるからです。
ただし、サッシ廻りのシーリングは撤去する際にサッシを傷つける恐れがあるため、打ち替えでなく増し打ちで対応するケースが一般的と覚えておきましょう。
シーリング工事については、こちらの記事で詳しく解説しています。
>>【超重要】サイディングのシーリングは放置NG!補修方法や注意点まで徹底解説
窯業系サイディングの3つのメリット
窯業系サイティングは、外壁材として広く利用されており、人気の背景には顕著なメリットがあります。この章では、窯業系サイディングの3つのメリットを詳しく解説します。
1.色やデザインの種類が豊富
窯業系サイディングは、製造過程でさまざまな色やテクスチャを実現できます。外観のデザイン一つで家の雰囲気はガラリと変わるものです。
色やデザインが豊富な窯業系サイディングは、どんな住宅にもマッチします。好みや周囲の建物に合わせて決めると良いでしょう。
デザインだけでなく、商品ごとの機能性にも注目しましょう。見た目と実用性、どちらも大切です。
2.初期費用がおさえられる
伝統的な建材と比較して窯業系サイディングは製造および施工コストが低いため、初期費用の安さを実現できます。
ただし、初期コストをおさえられる一方で、長期的に見るとメンテナンスの手間や費用も考慮に入れる必要があるため、全体のコストパフォーマンスを見極めることが大切です。
初期費用が安さは魅力的ですが、長期にわたるメンテナンス計画も大切です。10年ごとの塗装メンテナンスを見越して、賢く予算を管理をしましょう。
3.耐震性・耐火性に優れている
窯業系サイディングはALCやモルタルと比べて軽量な造りになっています。外壁が軽量だと重心が軽く揺れが小さくなるため、地震が発生した際は建物にかかる負担が少なく、損傷や倒壊のリスクを低下させます。
また、耐火性に優れていることもメリットの一つです。窯業系サイディングは建築基準法で定められている試験に合格し、不燃または準不燃材料として国土交通大臣認定を取得しています。
現在、販売されている窯業系サイディングの多くは、1時間以上の耐火性能を有します。地震大国の日本。安心・安全に暮らすためにも、窯業系サイディングを採用するのは賢明な判断といえるでしょう。
窯業系サイディングの3つのデメリット
窯業系サイディングは多くのメリットを持つ一方で、デメリットも存在します。この章では、窯業系サイディングの3つのデメリットを詳しく解説します。
1.定期的なメンテナンスが必要
窯業系サイディングは耐久性があるとはいえ、長期間にわたる美観と機能性を維持するためには以下の定期的なメンテナンスが必要です。
窯業系サイディングの定期的なメンテナンス
- 7〜10年に一度の塗装メンテナンス
- 5~10年に一度のシーリング工事
外壁は紫外線や雨水、温度変化などの外部要因によって影響を受け続けるため、時間の経過とともに劣化することは決して避けられません。
より長く建物の性能を維持するためには、定期的なメンテナンスが必要不可欠です。
2.サイディング自体に防水性はない
サイディング自体には防水性が無いため、塗装することにより防水性を高めています。
塗膜の劣化により防水機能を失うと外壁内部に雨水が浸み込み、カビが発生したり躯体が腐食したりします。さらに放置しておくと雨漏りの原因になるため、必ず定期的な塗装メンテナンスをおこないましょう。
サイディング外壁の防水性を高めるのは塗装だけではありません。シーリングや防水シートも建物を雨水から守るために欠かせない建材です。
3.熱を吸収しやすい性質がある
窯業系サイディングは、夏場に外壁が非常に熱くなることがあります。
夏場に外壁が熱くなる理由は、直射日光などの太陽放射の影響を強く受けるためです。太陽からの放射エネルギーは外壁に直接当たることで、表面温度を大幅に上昇させる特性があります。
夏場は太陽に当たる時間が長いため、より顕著に暑くなります。特に暗い色の外壁は太陽の熱を吸収しやすく、よりエアコンの効きが悪くなると覚えておきましょう。
遮熱・断熱塗料で塗装をおこなうと、熱の吸収率を下げることが可能です。
窯業系サイディングによくある質問と回答
-
窯業系サイディングにリフォームする方法を教えてください。
-
窯業系サイディングのリフォームには、既存外壁の上に新しいサイディングを張り付ける「重ね張り(カバー工法)」と、既存外壁を撤去して新しいサイディングに張り替える「張り替え」の2つの方法があります。
-
窯業系サイディングはどんな人におすすめの外壁材ですか?
-
窯業系サイディングはデザインの多様性・コスト効率の良さ・安全性の高さから幅広いニーズに応える外壁材です。自宅の外観に独自性を求める方・初期費用をおさえたい方、耐震性や耐火性を重視する方におすすめです。
-
窯業系サイディングが劣化し始めるとどんな症状が出てきますか?
-
窯業系サイディングの劣化が始まると、色あせや変色・ひび割れなどの症状が現れます。劣化を発見したら専門業者に相談し、適切なメンテナンスをおこないましょう。
窯業系サイディングのまとめ
窯業系サイディングは耐久性・デザイン性・コストパフォーマンスに優れていることから、多くの住宅に選ばれている外壁材です。
窯業系サイディングに向いている方と向いていない方は以下のとおりです。
窯業系サイディングが向いている方
- デザイン性を重視する方
- 初期費用をおさえたい方
- 耐震性や耐火性を重視する方
- 環境に配慮した建材を選びたい方
窯業系サイディングが向いていない方
- 定期的なメンテナンスを避けたい方
- 高い断熱性や防音性を求める方
- メンテナンス費用を最小限にしたい方
適切なメンテナンスをおこなうことで長期に渡り性能を維持することができる一方で、選択する際は特性を理解し、自身のニーズにあった外壁材かどうか慎重に検討する必要があります。
また、窯業系サイディングにリフォームする際は複数の業者から見積もりを取って、価格や実績、保証の有無などを比較検討して慎重に業者を選ぶようにしましょう。