新築から数年経ち、外壁の色あせが気になる方もいるのではないでしょうか。色あせがあるからといって、メンテナンスの必要かどうか判断しづらいものです。しかし、色あせは外壁の劣化が始まるサインなので、見落とさずメンテナンスを検討する必要があります。
本記事では、外壁塗装の色あせについて解説します。色あせが起こりにくい色についても解説するので、塗料の色選びに悩んでいる方は参考にしてください。
この記事のポイント
- 外壁塗装の色あせは外壁の劣化症状の初期段階
- 色あせは洗浄しても改善しないので塗装で補修する必要がある
- 色あせしにくい色は淡いグレー、ベージュ、アイボリー、白、黒
- 赤、黄、緑、紫などの濃い原色は色あせしやすい
- 色あせを遅くするためにはラジカル塗料や耐久性の高い塗料を選ぶ必要がある
外壁塗装の色あせとは?実例解説
外壁塗装の色あせによって、外壁の発色が悪くなり、家全体が古ぼけた印象になります。また実際は発色が悪くなっているだけなのに、汚れが付いているように見え、美観を損ねてしまいます。
色あせは建物の防水性が低下しているサイン
色あせは、外壁塗装の色がぼやけて美観を悪くしているだけでなく、防水性の低下を表しています。
塗装は外壁を雨から守る役割を果たしますが、経年劣化によって機能が低下するため、劣化症状を見逃さないようにしましょう。
塗装の防水性が低下するとどうなるの?
塗装の防水性が低下すると、外壁に雨水が侵入します。雨水が侵入すると内部まで湿気が広がり、さらに放置するとシロアリや雨漏りになるため、適切な時期にメンテナンスしなければなりません。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
色あせが起きる原因は【紫外線・風雨】
紫外線は塗装の色の元である顔料の原子の結びつきを破壊させます。風雨は塗装の素材自体を変質させて、色あせを発生させます。
二階・南面は日当たりが良く紫外線を受けやすいので、北面よりも色あせしやすいです。
色あせに気がついたら外壁塗装を検討する
色あせは外壁塗装の劣化が始まるサインです。もしも色あせに気が付いたら、焦ってすぐにおこなう必要はありませんが、塗装メンテナンスを検討しましょう。
色あせが発生し始める年数は塗装後5年
色あせが気になる年数は使用している塗料や気候、日当たりによるものの、塗装後5年が一般的です。
色あせは塗料の劣化症状の初期段階なので、塗料の耐久性が完全になくなったわけではありません。
外壁の色あせを放置すると、塗装の剥がれやひび割れが起こります。そこから雨水が浸水し劣化が深刻になると、外壁自体を張り替える工事が必要になります。
外壁の劣化症状に合わせて適切なメンテナンスをしてもらえるように、外壁塗装業者とよく相談しましょう。
塗り替えすべきタイミングはいつ?
塗り替えを検討すべき時期は塗料により異なります。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
色あせは汚れではないので洗浄しても元に戻らない
色あせは塗料の劣化により起こる現象です。外壁の表面が汚れているわけではないため、水洗いなどしてもきれいな状態には戻りません。
高圧洗浄などで強く外壁を洗っても色あせは解決されず、むしろ外壁を傷つける恐れがあるため避けましょう。
ただし外壁塗装の際は塗料と外壁の密着性を高めるため、高圧洗浄を行います。ホコリ、排気ガス、サビ、カビ、藻などを一掃し、美しい状態で外壁に新たな塗装をします。
色あせは外壁塗装での補修が必要
色あせを解決するには外壁塗装が必要です。外壁塗装をおこなえば、新築時のような見た目の外壁になります。塗装で外壁の色を変更できるので、色あせによる外観の悪化が気になる方は、次回は色あせしづらい色を選びましょう。
また新たな塗膜が外壁を保護するため、防水性が復活する点もメリットです。
外壁塗装が色あせしにくい【5色】
使用する塗料の色によって、色あせしにくい塗料としやすい塗料があります。それぞれ特徴やメリットがあるので、自分に合った色を探してください。
1:淡いグレー
淡いグレーは色あせしづらい色の1つです。淡いグレーは中間色にあたり、外壁に付着する汚れと同化するため、排気ガスなどの汚れが目立ちにくい特徴を持ちます。交通量の多い地域や道路沿いの家に住む方におすすめです。
グレーを使用すると重厚感のあるデザインになるため、シックなデザインが好みの方におすすめです。
2:ベージュ
ベージュは白と土に近い色を混ぜた色をしている点が特徴です。土の色と同化して、土汚れが目立ちにくいため、家の近くに畑や田んぼがある方におすすめです。
ベージュを塗料に使用すると家の外観は大人っぽさ・上品さのあるデザインになります。
3:アイボリー
アイボリーは黄色味を帯びたホワイトで、色あせが目立ちにくいです。ベージュと同様、土色と同化しやすい特徴を持ちます。
グレーやベージュよりも明るい色味なので、汚れを目立たせたくないかつ明るい色を選びたい人に向いています。
4:ホワイト
ホワイトは紫外線を吸収しづらく、化学変化が起こりにくいため、色あせしにくい塗料です。ただし、白色なので排気ガスや苔などの汚れが目立つ点は念頭に置きましょう。
家の外観をシンプルな印象にしたい方におすすめの塗料です。
5:ブラック
ブラックの顔料は、着色力が高く化学変化が起こりづらい特徴があるため色あせしにくいです。しかし、白い粉が付くチョーキング現象が始まると、色あせが目立ちやすくなります。
ブラックを塗料に使用すると家の外観はスタイリッシュな印象になります。
色素の濃い原色系は色あせしやすい
元々色が濃い下記の原色系は色あせが目立ちやすいです。
色あせが目立ちやすい色
- 赤
- 黄
- 緑
- 紫
鮮やかな色になるほど、色あせしやすくなります。
そのため、上記の色を使用したい方は、淡い色味にすると比較的色あせが目立たないため検討してみましょう。
色選び以外で色あせ防止になる【3つの】対策
色あせ対策には塗料選びが重要ですが、塗料の色以外にもできる対策があります。塗料は色だけでなく機能性も製品によってさまざまな種類があるからです。
耐久性の高い塗料を選ぶ
色あせは外壁塗装の劣化現象なので、耐久性の高い塗料を選ぶとその分劣化が遅くなり、色あせしづらくなります。
耐久性の高い塗料はコストはかかりますが、その分紫外線からの影響を受けづらい性能を持ちます。劣化スピードが遅い分、メンテナンス頻度を抑えられる点がメリットです。
耐久性の低い塗料ほど早く色あせが起こるのは、紫外線の影響を受けやすいからです。「耐久性は低くても費用が安いから」と安易に決めないようにしましょう。
色あせを防止したい場合は、耐久性の観点から塗料を検討する方法をおすすめします。
ラジカル制御塗料を選ぶ
ラジカル制御塗料はラジカルを発生させない酸化チタンを使用するため、他の塗料よりも色あせしにくい能力を持ちます。
ラジカルとは、紫外線によって引き起こされる顔料の劣化を助長させる因子です。一般的な塗料には、紫外線を受けるとラジカルを発生させる物質である酸化チタンが含まれています。
ラジカル塗料とシリコン塗料の違いは?
ラジカル塗料はシリコン塗料よりも値段が高いものの、耐久性・耐候性に優れています。そのためシリコン塗料よりもメンテナンス頻度を抑えられる点が異なります。
紫外線をカットできるクリア塗装を行う
クリア塗装とは、無色透明な塗料を使用した外壁塗装のことです。防カビや汚れが付着しにくいものなどクリア塗料は種類により性能が異なるため、色あせを防止したい場合は紫外線をカットする効果をもつ塗料を選びましょう。
無色透明な塗料なら、レンガ調やタイル調などデザイン性の高い外壁の意匠性を崩しません。そのため、今の外壁のデザインのままにしておきたい方はクリア塗装を検討してみましょう。
クリア塗装の注意点は?
クリア塗装を検討する場合は、自宅の外壁性能を確認しましょう。外壁自体に光触媒機能や撥水処理がされている場合は使用できないからです。外壁の種類について下記の記事で紹介しています。
外壁塗装の色あせでよくある質問
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色あせを見つけましたがすぐに外壁塗装が必要でしょうか?
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色あせだけなら今すぐに外壁塗装が必要ではありません。とはいえ、色あせは外壁塗装の劣化症状なので塗装の検討はすべきです。
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何年くらい経ったら外壁塗装は色あせるのでしょうか?
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一般的には5年で外壁塗装は色あせます。色あせは紫外線による塗料の劣化により起こるため、使用している塗料や日陰・日向など条件で変わります。
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自分でできる色あせ対策はありますか?
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色あせは一度おきると塗装以外の方法では元に戻せません。色あせしづらい機能を持つ塗料や、色あせが目立たない色の塗料を選ぶなどの事前対策が大切です。
外壁塗装の色あせまとめ
外壁塗装の色あせは、劣化症状の初期段階なので、気になり始めたら塗装を検討しましょう。塗料の色や機能性をよく考えて選べば、色あせ対策に繋がります。
外壁塗装の色あせのポイントは次のとおりです。
この記事のポイント
- 外壁塗装の色あせは外壁の劣化症状の初期段階
- 色あせは洗浄しても改善しないので塗装で補修する必要がある
- 色あせしにくい色は淡いグレー、ベージュ、アイボリー、白、黒
- 赤、黄、緑、紫などの濃い原色は色あせしやすい
- 色あせを遅くするためにはラジカル塗料や耐久性の高い塗料を選ぶ必要がある
色あせが気になる方は、自分の好みと色あせしづらい色を擦り合わせて塗料を検討しましょう。