外壁の張り替えメンテナンスの説明で聞く金具留め施工方法。初めて聞く言葉でどんな施工方法かわからず、不安を抱えている人もいるのではないでしょうか?
金具留め施工方法とは、2種類あるサイディングの固定方法のことで、外壁が美しく仕上がったり、地震の揺れに対応できるメリットがあります。
今回は、サイディングの金具留め施工方法について詳しく解説します。メリットやデメリット、注意点なども紹介するので、サイディングの張り替えを検討している人はぜひ参考にしてください。
おさえておくべきこと
- 金具留め施工方法は、通気・非通気の2種類の施工方法がある
- 釘留め施工方法より地震の揺れに対応できる
- 金具留め施工方法は外壁が美しく仕上がる
- 部分張り替えが難しいためメンテナンス費用が上がりやすい
サイディングの金具留め施工方法とは?
金具留め施工方法とは、サイディングを固定する工法の一つで、通気・非通気の2種類あります。サイディングの固定工法はほかにも釘留め工法があるので、全て合わせると3種類です。
金具留め施工方法の特徴は、外壁の下地部分に金具を取り付け、サイディングを引っ掛けて設置する点です。釘留め施工方法のように直接張り付けるのではなく、通気層を作るため外壁内の乾燥が保たれ、結露や水の侵入を防げます。
サイディングの厚みが15mm以上だと金具留め施工方法、14mm以下だと釘留め施工方法が採用されます。
通気金具留め施工方法
通気金具留め施工方法は、厚さ15mmの金具を使用してサイディングを固定します。分厚い金具を使用するため上下左右に通気が確保しやすく、湿気が滞留しにくい施工方法です。
通気層があると力が分散されやすいため、地震や破損への対応力が強化されます。ただし、15mmある金具は高価で取り付ける手間もかかるので、釘留め工法や非通気金具留め施工方法よりコストが上がります。
非通気金具留め施工方法
非通気金具留め施工方法は、サイディングを厚さ数ミリ程度の金具で胴縁に留める工法です。
金具厚は2mmもしくは5mmと薄いですが、少しの隙間があるだけでも湿気が滞りにくく、結露や破損を防げます。金具留め施工方法を採用しつつ、できるだけ安く耐久性を高めたいと考えている人におすすめです。
ただし、非通気金具留め施工方法は胴縁が適切に設置されていないと、通気がうまくできず湿気が滞留する恐れがあります。胴縁が腐食したらサイディングが脱落する恐れもあるため、念入りな点検が重要です。
金具留め施工方法のメリット・デメリット
金具留め施工方法のメリットデメリットを知れば、自宅に必要かどうかを判断できます。どんな人に向いているかも解説するので、ぜひ参考にしてください。
メリット1:地震などで建物が揺れても対応できる
金具留め施工方法は釘留め施工方法のように直接固定せず、フックのように引っ掛けて固定するため、建物の揺れに対応できます。大きな地震が来ても金具だけが固定されているので、サイディングのひび割れや落下の被害が起きにくいためです。
地震が起きやすい地域に住んでいる人や、耐震性を強化したいと考えている人は、金具留め施工方法の採用がおすすめです。反対に、過去に地震の被害があまりない地域に住んでいて、できるだけ安価な施工が良い人は釘留め施工方法が向いています。
メリット2:釘がないため外壁が美しく仕上がる
金具留め施工方法は、外壁に釘痕が目立たず、美しい状態で仕上がります。釘止め施工方法のように、サイディングを全て釘で留めるわけではないので、タッチアップすれば釘痕はほとんどわかりません。
外壁に統一感を出したい人やデザイン性を重視している人は、金具留め施工方法がおすすめです。ただし金具留め施工方法でも、軒天などの一部では釘を使用します。
デメリット1:浮きや反りが起きやすい
サイディングの塗装が剥がれていたり、ひび割れて水分を含みやすい状態の際は注意しましょう。金具留め施工方法は、完全固定しない分、水分などが原因で浮きや反りが出る場合があります。サイディングの上と下しか金具で止めないので、水分を吸って伸縮すると浮いている箇所を起点に反り始めます。
金具留め施工方法でサイディングが反ってしまうと、下地がないので直らない場合が多いです。直す場合は浮いているサイディングを剥がして下地を入れ、釘留めします。
水分が原因で反りや浮きが発生するため、沿岸部や湿気が多い場所に住んでいる人は外壁に浸水しないように、こまめな点検が必要です。
デメリット2:施工価格が高い
金具留め施工方法は、釘止め施工方法と比べて施工価格が高いです。サイディングは厚みがあるほど価格が上がるため、15mm以上のサイディングに適用される金具留め施工方法は、外壁材の価格も高くなります。
また、通気金具留め工法では取り付けに時間がかかるため、工期が長くなります。工期が長引くと人件費などがかさみコストアップに繋がります。
少しでも施工費用を抑えたい人は、釘留め施工方法、もしくは非通気金具留め施工方法も検討しましょう。
外壁塗装の費用を安く抑えるには?
外壁塗装の費用を安く抑えるには、助成金や火災保険の利用・キャンペーンの有効活用・閑散期の依頼などが有効です。費用を安くしようと塗装回数を減らしたり、塗料の質を落とすと外壁の耐久性に影響するため注意が必要です。
外壁塗装の費用を安くする方法については、こちらで詳しく解説しています。
>>外壁塗装を最安で施工する方法と【絶対に削ってはいけない費用】を徹底解説
金具留め施工方法・釘留め施工方法と比較
金具留め施工方法と釘留め施工方法では、価格や仕上がり・耐震性で差が出ます。下記の比較を参考に、重要視するポイントによっても施工方法が変わります。
施工方法 | 価格 | 仕上がり | 耐震性 |
---|---|---|---|
金具留め施工方法 | |||
釘留め施工方法 |
価格はサイディングの薄い釘留め施工方法が安い
施工価格は、金具留め施工方法より釘留め施工方法のほうが安価です。工期の長さが変わるなど工法の差もありますが、価格差が生じるのはサイディングの厚みによる影響が大きいです。
釘留め施工方法はサイディングの厚みが14mm以下の場合に採用されますが、金具留め施工方法は15mm以上の場合に採用されます。サイディングの価格は厚みがあればあるほど高くなるため、金具留め施工方法の施工価格も上がります。
仕上がりの美しさなら金具留め施工方法
仕上がりの美しさは、釘留め施工方法より金具留め施工方法のほうがデザイン性が保たれ、外観の美観を損ねません。
金具留め施工方法はサッシ部分や軒天以外釘を打たないので、仕上がりを左右せず施工できます。釘留め施工方法は打った釘頭を隠すために塗装でカバーし、目立たないように施工可能です。
地震に対する対応力は金具留め施工方法の方が有利
金具留め施工方法は地震の揺れに対応できますが、釘留め施工方法は釘で固定しているため揺れに対応できません。サイディングが固定されると逃げがなくなり、力が分散されないためです。
揺れに対応できないとひび割れが起こりやすくなります。サイディングのひび割れは水の侵入や防水性の低下につながるため危険です。
金具留め施工方法で知っておきたい注意点
金具留め施工方法には、勘違いしがちなケースが4つあります。知っておくと施工時の参考になるため、サイディングの張り替えを検討している人は参考にしてください。
金具留め施工方法の注意点
- 金具留め施工方法でも釘を使う箇所がある
- サイディングの下端に隙間が空く
- 厚さ14mm以下のサイディングには採用できない
- 部分張り替えが難しいケースがある
金具留め施工方法でも釘を使う箇所がある
金具留め施工方法は釘頭が外壁面に出ず、仕上がりが美しくなりますが、釘を全く使用しない訳ではありません。サッシ周りや軒天との境目など、金具の取り付けが難しい箇所は釘を打つ場合があります。
デザイン性を重視している人は、外壁面に釘頭が見えることを心配するかもしれませんが、釘頭は外壁色と同じ色で塗装されます。塗装によりほとんど目立たなくなるので、デザイン性が失われるリスクは低いです。
サイディングの下端に隙間が空く
金具留め施工方法を行うと、サイディングの下端に10〜15mm程度の隙間が作られます。通気を確保するための隙間なので、シーリング材などでも塞ぎません。
隙間からの虫の侵入が心配な人は、必要であれば通気層の入り口に防虫ネットを使用できます。緑が多い場所や沿岸部など虫が発生しやすい環境に住んでいる人は、専門業者に相談してみましょう。
厚さ14mmのサイディングでは採用できない
金具留め施工方法は、厚みが14mm以下のサイディングには採用できません。14mm以下のサイディングには釘留め施工方法が適用されます。
14mm以下のサイディングは釘打ちできますが、15mm以上だと厚みがあって釘打ちできないためです。14mm以下に対応する金具留めはありません。
サイディングは厚みがあるほど耐火性・耐久性が高くなり、デザイン性も上がります。
部分張り替えが難しいケースがある
金具留め施工方法は、建物の上にサイディングを重ねながら張るので、部分張り替えが難しい場合があります。剥がす際は下から剥がさなければならないため、張り替えたい箇所によっては全面張り替えが必要です。
部分張り替えを行う場合でも、金具留め施工方法で重ねて張ることはできないので、釘留め施工方法が採用されます。部分張り替えと全体の張り替えでは施工費用が大きく変わるので、都度専門業者に相談しましょう。
サイディングの張り替えが必要な劣化症状は?
サイディングの張り替えが必要な劣化症状は、数カ所のひび割れや剥がれ・浸水による塗膜の膨れや反りなどです。押しても戻らないほどサイディングが浮いている場合も、張り替えが必要な劣化のサインなので注意しましょう。
サイディングの補修についてはこちらで詳しく解説しています。
>>サイディングは補修が必要?今すぐ補修すべき劣化症状と費用を徹底解説
サイディングの金具留め施工方法でよくある質問
サイディングの金具留め施工方法でよくある質問をまとめました。まだ金具留め施工方法について不安がある人は、ぜひ参考にしてください。
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通気金具留め施工方法で胴縁がいらないのはなぜですか?
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通気金具留め施工方法で胴縁がいらないのは、金具に15mmの厚みがあり、胴縁がなくても通気層を作れるためです。通気金具留め施工方法についてはこちらを参考にしてください。
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金具留め施工方法だと地震で外壁が落ちませんか?
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金具留め施工方法は、金具だけが固定されている状態なので、地震が起きても衝撃を軽減し、サイディングのひび割れや落下を防いでくれます。釘留め施工方法より耐震性が高い施工方法です。
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サイディングの厚みによってどんな違いがあるのでしょうか?
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サイディングは、厚みがあるほど耐火性・耐久性に優れます。厚みがあれば深掘りもできるためデザイン性も高まりますが、その分価格も上がる点がデメリットです。
サイディングの金具留め施工方法のまとめ
金具留め施工方法は、通気・非通気の2種類の施工方法があり、下記のようなメリットがあります。
金具留め施工方法のメリット
- 地震の揺れに対応できる
- 外観が美しく仕上がる
金具留め施工方法は15mm以上のサイディングにのみ採用されますが、下記のようなデメリットもあります。
金具留め施工方法のデメリット
- 浮きや反りが起こる場合がある
- 施工価格が高い
耐震性もデザイン性も兼ね備えた金具留め施工方法ですが、部分張り替えができない点にも注意が必要です。メンテナンスを行う際は業者とよく相談し、適切な時期に適切な補修を行いましょう。