外壁がひび割れてる!
外壁や塗装のひび割れはよく発生する外壁トラブルの一つ。以下のような症状がよくあるひび割れです。
外壁塗装のひび割れ |
ひび割れには応急処置でよいものと、速やかに補修が必要なものがあります。この記事では外壁や塗装にひび割れができた時の対処法や放置した場合のリスク、補修費用について解説します。
この記事のポイント
- ヘアークラックは経過観察で問題なし
- 軽度・中度のクラックは割れ箇所をシール・パテで埋める
- 重度のクラックは外壁の張り替え補修が必要【全面だと300万以上】
【症状別】ひび割れのサイズと補修費用
外壁塗装のひび割れには経過観察でよいひび割れ(ヘアークラック)と今すぐ補修が必要なひび割れ(構造クラック)の2種類があります。
ヘアークラック | 構造クラック | |
---|---|---|
症状 | ||
ひび割れ幅 | 幅0.3mm以下 深さ4mm以下 | 幅0.3mm以上 深さ5mm以上 |
原因 | 経年により劣化して硬化した塗膜が外壁材の伸縮に追随できず発生 | 施工不良や地震による外的振動で発生 |
対応 | シール材を塗り込む。その後、下地材や仕上げ塗料で塗装 | ひび割れ箇所をVカット・Uカットで溝を作って、その上からシール材で補修。サイディングの場合はパテ、ALCは専用セメントで補修。外壁材や柱まで損傷している場合は張り替えで対応 |
危険度0:ヘアークラックは大きな問題なし【経過観察でも大丈夫】
ヘアークラックは外壁の表面に表れる髪の毛ほどの細いひび割れで、国土交通省の定義では幅0.3mm以下・深さ4mm以下とされています。モルタル外壁だけでなく窯業系サイディング、コンクリート外壁にも発生します。
塗膜が経年劣化により硬化し、外壁の変動に追従できないと発生します。外壁自体(サイディングやタイル等)はひび割れしていないため、すぐに水漏れなどのリスクはなく経過観察で大丈夫です。
危険度1:軽度の構造クラックはシール・パテで補修
軽度の構造クラックは部分補修が可能です。
モルタルならシーリングで埋めてから微弾性フィラーで補修します。
サイディングはシール材だと白色化するため、パテで埋めてから築浅ならタッチアップ、築年数が経っている場合は塗料を塗って仕上げます。
ALCは専用の補修セメントが販売されているため、こちらで補修します。
補修費用は1m:3,000~5,000円、1回の補修で30,000~50,000円程度です。
危険度2:中程度の構造クラックはUカット・シール・パテで補修
中程度のクラックは、割れ箇所にV字やU字の溝に削ってからシール材やパテで埋めます。カットしないとシール材が奥まで注入できないためです。
補修したあとに下地材(プライマー)や塗料を塗って補修箇所が目立たないように施工します。しかし、UカットやVカットすると、どうしても凹凸や色の違いができて目立ってしまうケースもあります。
軽度クラックと同様に補修費用は1m:3,000~5,000円、1回の補修で30,000~50,000円程度です。
危険度3:重度のクラックは緊急性あり!張り替えで300万以上かかることも
重度のクラックはひび割れが奥深くまで達している可能性があります。また、外壁材や柱が大きく損傷している場合は外壁交換(張り替え)やカバー工法での補修が必要です。
外壁の張り替えはサイディングの種類によっては300万円以上、工期30日以上が必要な大修繕です。
すでに外壁内部が侵食され、外壁そのもの、防水シート、柱などが損傷している可能性もあります。全面を張り替えるか、ひび割れしている一部分だけを張り替えるかはひび割れの範囲や状態によります。
もちろん一部分の張り替えであれば費用を節約できますが、本来張り替えるべき範囲を放置しては意味がありません。
張り替える範囲は「剥がし検査」で確認することができます。剥がし検査は有料の検査ですが、劣化状態を確実に把握できる方法です。少しでも不安があれば検査を依頼し、張り替え範囲をしっかり確認することをおすすめします。
サイディングの剥がし検査はこちらの記事で詳しく解説しています。
>>【写真付き】サイディングで剥がし検査すべき劣化症状は?メリット・費用・実例まで徹底解説
外壁のひび割れを直す【5つの補修方法】
外壁のひび割れには、いくつかの補修方法があります。
一つ目は「チョーク補修」です。小さなひび割れなら、水をひび割れ部分に塗り、チョーク状のコンクリート粉を指で押さえながら仕上げる方法です。10cmごとに繰り返します。
二つ目は「スプレー補修」です。チョーク補修と同じコンクリート粉を使いますが、スプレーを使うことで時間を短縮できます。ひび割れ部分に水を塗り、セメントの粉をスプレーして周囲になじませます。デメリットは、コンクリート粉が飛び散りやすく、無駄が多くなることです。
三つ目は「シーリング補修」です。ひび割れた箇所をU字にカットし、専用プライマーを塗布します。その後、シーリングを充填し、表面に樹脂モルタルを塗って平らに仕上げます。サイディングの場合はシール材を使用するとあとから白色化するため、シール材ではなくパテで補修します。
四つ目は「外壁塗装による補修」です。ひび割れ以外にも他の不具合がある場合、外壁塗装を行うと綺麗な仕上がりになります。前回の外壁塗装から10年以上経っている場合は、ちょうど良いタイミングかもしれません。
最後に「外壁交換による補修」があります。外壁がカバーできない場合や雨漏りや内部の劣化が進んでいる場合に最適です。費用はかかりますが、内部の防水紙のメンテナンスも同時に行えます。また、外壁材を変えたい場合にも外壁交換がおすすめです。
外壁のひび割れが起きる【3つの原因】
外壁塗装におけるひび割れの原因は3つあります。
ひび割れの原因
- 経年劣化
- 施工不良
- 地震や電車による振動
原因1:経年劣化で塗膜が劣化して外壁に追従できなくなる
もっとも多い原因は、日光や紫外線による塗膜の経年劣化です。塗膜が劣化し外壁の膨張や収縮に耐えられなくなると、やがて塗装や外壁のひび割れが起きます。さらに、このひび割れを放置すると雨水が侵入し、剥がれが腐食につながります。
塗膜の寿命は塗料のグレードによって違います。一般的に高価な塗料ほど耐久性が高いです。
原因2:塗装時の乾燥・下地処理不足などの施工不良
外壁塗装からすぐに起こるひび割れは、塗料の選択ミスや、乾燥不足など業者による施工不良が原因です。すぐに施工した業者に連絡を入れ、その後の対策を話し合いましょう。
外壁塗装の施工不良
- 高圧洗浄不足
- 下塗り・下地処理が不十分
- 塗料選定の間違い
- 塗料の乾燥不足
- 手抜き工事
問い合わせに対応してもらえない業者は悪徳業者かもしれません。その場合は第三者機関に相談することをおすすめします。
悪徳業者については以下の記事で詳しく解説しています。
>>外壁塗装で悪徳業者と契約したけど解約できる?解約方法から対処法まで徹底解説
原因3:地震や車・電車などの外的要因による振動
地震による大きな揺れが原因で、外壁塗装にひび割れが起きることもあります。この場合は塗装だけではなく、外壁材にも被害が及んでいる可能性があり要注意です。
ひび割れの補修実例【事例写真つき】
実例1:外壁にヘアークラックあり!下地処理と再塗装で対応
実例:1
状況 | 外壁にクラックや出隅の割れ等見られますので、しっかりと補修し、下地処理を行い再塗装しました。また、外壁のサイディング浮き反りなどもあるので塗る前に調査してから塗装をしました。 |
実例2:シーリングに亀裂あり!雨水が壁裏に侵入している可能性あり
実例:2
状況 | サイディング塗装塗膜部分が剥がれていました。また、シーリングが劣化し亀裂が入っているため雨水がサイディング部分に侵入している可能性が高いです。そのため、シーリングの打ち直し、サッシ周りなど打替えが困難な箇所は打ち増ししました。 |
ひび割れを防止する【3つの方法】
外壁塗装を長持ちさせるために、日常のチェックや定期的なメンテナンスなどを行う方も少なくありません。しかし最も重要なことはひび割れを起こさないことです。外壁塗装の際は見積もり段階から、ひび割れしないようしっかりとした対策を取りましょう。
クラックスケールで定期的にひび割れのサイズを確認する
ヘアークラックの段階で発見できれば、経過観察ができ被害を最小限におさえられます。ひび割れを発見したら、まずはクラックスケールでひび割れの状態を確認します。 ひびの幅と深さを測りヘアークラックならまだ見守ってもOK、構造クラックならばすぐに専門業者に相談してください。
高弾性塗料を使えばヘアクラックを予防できる
モルタルなどの塗り壁ではひび割れ防止には伸縮性と柔軟性、防水性に優れた「弾性塗料」がすすめられます。弾性塗料には「高弾性塗料」と「微弾性塗料」があり、後者は2〜3年で弾性が無くなるのが特徴です。
弾性塗料とは?
弾性塗料は、建物や構造物の外壁塗装に使用される塗料。
一般的な塗料よりも高い伸縮性を持ち、気候変動や建物の収縮・膨張に対応することができます。
弾性塗料についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
>>弾性塗料は塗装のひび割れ防止に効果的?種類・メリット・デメリットまで徹底解説
ひび割れを長く防止したいなら、高弾性塗料を選ぶようにしましょう。また弾性塗料はモルタル外壁には最良な塗料ですが、サイディング外壁には不向きです。
建物の動きでも割れないために「ひび割れ誘発目地」をつくる
ひび割れの原因である揺れや衝撃に備えるために、あらかじめひび割れ誘発目地を作っておくのも1つの方法です。ひび割れが建物の動きにより発生するため、力を逃がして発散させるのが目的です。
一番重要なのは優良業者を選ぶこと
優良業者を選ぶポイントは、数社から相見積もりをとること。また、その地域でしっかりと実績がある業者であること。複数の業者から直接話しを聞き、客観的な見方ができるようになります。 1社だけでは見過ごしていたかもしれない見積もり内容を、比較できるのもメリットです。
充実したアフターフォローや保証などの有無も踏まえ、安心して任せられる優良業者を選んでください。
外壁塗装のひび割れでよくある質問
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外壁塗装のひび割れに保険は適用されますか?
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住宅保険や火災保険によっては、外壁塗装のひび割れに対する補償が含まれていることがあります。保険内容を確認し、適用されるか相談してみましょう。
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建物の構造上、ひび割れが発生しやすい箇所はどこか?
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ひび割れが発生しやすい箇所には、窓周り、外壁と屋根の接合部、配管や雨どいの取り付け部分があります。これらの箇所は特に注意して点検しましょう。
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地域によってひび割れの発生率に違いはありますか?
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地域によって気候や自然災害の影響でひび割れ発生率に違いがあります。湿度が高い地域や地震が多い地域では、ひび割れが起こりやすくなります。
外壁塗装「ひび割れ」のまとめ
この記事のまとめ
- 構造クラックと、ヘアークラックがある。
- 原因は、経年劣化と業者の施工不良の2つ。
- 放置すると最悪の場合、建物の倒壊を招く。
- 予防は見積もり段階から対策をする。
- ひび割れの補修はDIYも可能だが、再発の恐れがあるため業者に依頼するほうが良い。
- 相場は1箇所あたり約1〜5万円
ひび割れは建物の一大事ですが、まずどの程度のひび割れかを確認しましょう。状態によって補修方法も異なり、場合によっては部分補修でなく外壁塗装を行う方がお得になることもあります。
以上を踏まえると、やはり専門業者に点検を依頼するのが一番良い方法です。大切な住まいのためにも、ひび割れは適切な方法で処置するようにしましょう。