
「サイディングのクリア塗装と通常の塗装は何が違うの?」と疑問に感じていませんか。クリア塗装は外壁のデザインを活かすためには打ってつけの塗装です。
しかし、クリア塗装はデメリットもあるため自宅の外壁に適しているか把握しないと、剥がれなどのトラブルを引き起こす恐れがあります。
この記事ではクリア塗装のメリット・デメリットについて解説します。よくある失敗事例も紹介するので、問題なく自宅の外壁をクリア塗装したい方は参考にしてください。
この記事のポイント
- クリア塗装は外壁のデザインを活かせる・チョーキングが起きないなどのメリットがある
- クリア塗装はシーリングの上からの塗装やひび割れ補修に対応できないなどのデメリットがある
- クリア塗装は窯業系サイディングと相性が良い
- ツヤの具合や塗装歴を把握しておらずクリア塗装を失敗したケースがある
サイディングのクリア塗装とは

サイディングのクリア塗装とは、無色透明の塗料を使用した外壁塗装です。クリア塗装の場合、無色透明な塗料を使用しているため、タイル調や木目調など意匠性の高いデザインをそのまま残せます。
また、クリア塗装の特徴は、艶の種類があること。艶ありクリア塗装をすれば光沢のある仕上がりに、艶なしクリア塗装をすればマットな仕上がりになります。
そのため、下記にあてはまる人におすすめです。
クリア塗装が向いている人
- 外壁のデザインが気に入っている人
- 外壁の外観を変えたくない人
- デザインはそのままで質感を変えたい人

クリア塗料は通常の塗料と同じく、外壁を保護して雨や衝撃から守る働きを持ちます。
価格は通常の塗装と同程度
クリア塗装の価格は一般的な色付き塗料と大差ありません。塗料の種類によって差額は生じますが、およそ相場通りです。
塗料のグレードごとに、クリア塗料と通常の塗料の価格を比較しました。
塗料のグレード | クリア塗装 | 通常の塗料 |
---|---|---|
アクリル系 | 1,000〜1,800円/㎡ | 1,200~1,800円/㎡ |
ウレタン系 | 1,500〜2,500円/㎡ | 1,800~2,200円/㎡ |
シリコン系 | 1,800〜3,500円/㎡ | 2,500~3,200円/㎡ |
フッ素系 | 3,500〜5,000円/㎡ | 3,500~5,500円/㎡ |
無機系 | 4,500〜5,500円/㎡ | 4,500~5,500円/㎡ |

塗料選びに悩んでいる方は、最もスタンダードなシリコン系の塗料がおすすめです。
サイディングにクリア塗装するメリット・デメリット
クリア塗装を選んで後悔しないために、メリット・デメリットを把握しましょう。また外壁の状態によっては、そもそもクリア塗装できないデメリットがあるため要確認です。
メリット1:元の外壁デザインのまま塗装できる
クリア塗装の場合、タイル調や木目調などのデザインを残したまま塗装できる点がメリットです。通常の外壁塗装は色付きの塗料を使用するため、タイルや木目調のデザイン性が失われる恐れがあります。
クリア塗装は顔料を含んでおらず、無色透明の塗料のため、元のサイディングのデザインのまま塗装可能です。
メリット2:外壁の外観の美観を保つ
クリア塗料が持つ機能によって、外壁の美観をキープできます。クリア塗料の製品によって特徴があるため、住んでいる環境に適した製品を選びましょう。
クリア塗料の機能
- 紫外線カット
- 撥水機能
- 防カビ
外壁の色あせは紫外線が原因です。そのため、紫外線カット機能を果たすクリア塗料を使用すれば、色あせを抑えられます。
また、撥水効果、防カビ性能によって、藻やカビの抑制を防ぎ、外壁を綺麗に保ちます。

例えば降雨量の多い地域は防カビ機能に優れた塗料を選ぶと良いです。
クリア塗料の代表的な製品はこちら
メリット3:外壁の防水性を高める
外壁の防水性を高めるために、クリア塗料は外壁を紫外線や雨から保護します。
外壁は紫外線や雨を直接受けると劣化してしまい、防水性が下がります。防水性が下がると、外壁は雨を吸い込み、剥がれやひび割れなどの劣化症状を引き起こすため、塗装で保護しなければなりません。
クリア塗料は外壁を守る役割を果たし、劣化症状の発生を抑えられます。
窯業系サイディングはひび割れ、金属系サイディングはサビなど、サイディングの種類によって発生しやすい劣化症状は異なります。自宅のサイディングの種類を確認して、発生しやすい劣化症状に対応できる塗料を選びましょう。
メリット4:塗装回数が少ない分塗装時間が短い
クリア塗装は、通常の外壁塗装よりも塗装回数が少ないため、塗装・乾燥時間を短縮できます。
通常の塗装の場合は下塗り・中塗り・上塗りの3回が基本ですが、クリア塗装は、1回目の塗装が乾燥したら、2回目の塗装を塗り終了です。
外壁塗装の工事によるニオイや騒音、業者の出入りなどでストレスが溜まる期間を短縮できる点がクリア塗装のメリットです。
外壁塗装はうるさいの?
工程内容によって、外壁塗装中は騒音が響き渡る場合があります。
騒音の大きさや近所への対応など、詳しくはこちらの記事で解説しています。
>>外壁塗装がうるさい!?騒音が発生する期間と音量を解説。近隣への説明は必須
メリット5:チョーキング現象が起きない
クリア塗装のメリットに、チョーキング現象が起きない点が挙げられます。

チョーキングとは、画像のように、手でこするとチョークの粉のような白い粉が付着する現象です。
白い粉の正体は塗料の顔料が紫外線により劣化して、外壁から浮いたものです。
クリア塗装にはチョーキングの原因になる顔料が含まれていないため、塗料の耐用年数が近づいてもチョーキング現象がおきません。

外壁に衣服や手がぶつかっても、汚れる心配は不要です。
デメリット1:耐用年数が短い
クリア塗料は通常の塗料と比べて耐用年数が短い点がデメリットです。
塗料の種類ごとに、耐用年数をまとめました。
塗料のグレード | クリア塗料 | 通常の塗料 |
---|---|---|
アクリル系 | 約3~8年 | 約4~7年 |
ウレタン系 | 約5~10年 | 約8〜10年 |
シリコン系 | 約8~15年 | 約10〜15年 |
フッ素系 | 約12~20年 | 約15〜20年 |
無機系 | 約10~25年 | 約20〜25年 |
しばらく外壁のデザインのままが良い方は、耐用年数の長い塗料にするなど、塗料を耐用年数から選ぶ際は長期的な目線で検討しましょう。
外壁塗装の耐用年数を伸ばすには?
外壁塗装の耐用年数を伸ばすためには、いくつかポイントを押さえる必要があります。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
>>外壁塗装の耐用年数は何年?塗装タイミングと寿命を伸ばすポイント
デメリット2:劣化状況が透けて見えてしまう
クリア塗料は無色透明な塗料なので、塗装時すでにある部分補修・ひび割れなどの劣化状況がカバーされず見える点がデメリットです。
ひび割れを補修した後にクリア塗料を塗っても、色付き塗料とは異なり補修跡が隠せないため、見栄えが悪くなる恐れがあります。

築10年程度であれば劣化が少なく、上からクリア塗料を塗装しても目立ちにくいと言われています。
外壁の劣化症状は自分で直せる?
自分で対応できる劣化症状とできない劣化症状があります。
クリア塗料を施す前に自分で劣化症状を直したいと考えている方は下記の記事を参考にしてください。
>>外壁はDIY補修すべきでない!おすすめしない理由や失敗談まで解説
デメリット3:ひび割れの補修はできない
クリア塗装の場合、通常の塗料で必須の下塗りがないため、ひび割れの補修に対応できません。下塗りは、ひびの隙間を埋め、下塗り剤を塗る工程が含まれています。

ひび割れを放置したままにしておくと、隙間から雨水が侵入して、湿気により建物内部の劣化に繋がります。
デメリット4:シーリング部分には塗装できない
クリア塗料はシーリング部分に塗膜の汚染・剥離など不具合を起こす場合があるため、塗装できません。

シーリング部分とは、サイディングの目地同士の隙間を埋める役割を持つ部分です。クリア塗装の際、シーリングをマスキングテープでしっかり養生してから塗装します。
シーリングは塗装されていないと、直接雨や紫外線にさらされる状況になり、劣化進行が早くなります。
シーリングが劣化すると塗装とは別に部分補修が必要です。そのため、自宅の外壁にシーリングがある方は、クリア塗装と同時に耐久性の強いシーリングへの変更も検討しましょう。
シーリングを補修する方法は?
シーリングを補修するためには、既存のシーリングに新しいものを上乗せする方法と、シーリングを全て入れ替える方法があります。詳しくはこちらの記事で解説しています。
デメリット5:塗装できないケースが多い
クリア塗装は、外壁の状況によって塗装できないケースが多い点がデメリットです。クリア塗装ができない外壁の状態の一例をまとめました。
外壁の状態 | クリア塗装するとどうなるか |
---|---|
チョーキング現象が起きた外壁 | 仕上がりが白ぼけて見える |
ひび割れが起きている外壁 | 補修跡が目立つ |
光触媒や無機の表面コーディングした外壁 | 塗膜が剥がれやすい |
光触媒など特別な機能性をもつサイディングの例は?
サイディングメーカーによって、さまざまな機能性をもったサイディングが用意されています。詳しくはこちらの記事で解説しています。
【サイディング×クリア塗装】相性を種類ごとにチェック
サイディングの種類ごとのクリア塗装の相性は下記のとおりです。
サイディングの種類 | 相性 |
---|---|
窯業系サイディング | ◎ |
金属系サイディング | △ |
樹脂系サイディング | △ |
木質系サイディング | ○ |
クリア塗装にしない方が良かったと後悔しないために、自宅のサイディングとクリア塗装の相性や注意点をしっかり確認しましょう。
窯業系サイディング

窯業サイディングは基本的にどのクリア塗料でも使用できます。
窯業系サイディングは木目調やタイル調など、高いデザイン性を持つ商品が多いため、デザインを残せるクリア塗装と良い相性です。

窯業系サイディングは断熱性を補える機能のあるクリア塗装がおすすめです。
金属系サイディング

金属系サイディングは、表面がツルツルしているためクリア塗装が密着しにくく、クリア塗料の種類によっては塗装できません。
クリア塗装を金属系サイディングにおこなう場合は、対応した製品を選びましょう。
また、金属系サイディングはサビやすい特徴があり、通常は塗料に含まれている顔料によって防止しています。しかしクリア塗料には顔料が無いため、サビを防止できません。
サビを放置しておくと外壁の防水性低下に繋がるため、サイディングのサビが気になる方は業者とよく相談したうえでクリア塗装を検討しましょう。
樹脂系サイディング

樹脂系サイディングは、色あせしにくく、そもそも塗装の必要がない外壁材です。
しかし、樹脂系サイディングは紫外線を受け続けると、弾力性が下がり、ひび割れなどの劣化症状を引き起こします。紫外線から保護する機能を持つクリア塗装は、劣化症状を抑えるために有効です。
ただし、樹脂系サイディングは、シンプルなデザインがほとんど。通常の塗装でもデザインに大きな変化は起きないので、耐用年数が長い通常の塗料の方がおすすめです。
木質系サイディング
木質系サイディングは本物の木を使用しており、デザイン性の高い外壁です。クリア塗料は木の風合いを活かせるため、木質系サイディングと良い相性です。
ただし、木質系サイディングをクリア塗装する場合、塗料を密着させる前に表面を研磨して、ざらつかせる作業を要します。
他のサイディング塗装と比べると、高い技術力を要するので、仕上がりの品質確保のためには業者選びに注意しましょう。


口コミや施工実績、近所からの評判などは、業者選びの参考になるのでチェックしてください。
クリア塗装におすすめの塗料と価格
クリア塗料は製品によって価格や特徴が異なります。自宅外壁に合う塗料を選んで、納得いくクリア塗装の仕上がりにつなげましょう。
日本ペイント【ピュアライドUVプロテクトクリヤー】

値段 | 4,730円/㎡ |
塗料の種類 | シリコン系 |
ツヤ | つや有り、3分つや有り、つや消し |
使用できるサイディング | 窯業系サイディングのみ(光触媒が施されたサイディングボードには不可) |
ピュアライドUVプロテクトクリヤーは紫外線を吸収する機能に優れているため、色あせ防止に期待できます。日当たりの良い家に住んでいる方におすすめです。
ただし、窯業系サイディング以外は塗装できないので、あらかじめ自宅のサイディングの種類を確認しましょう。
KFケミカル【セミフロンスーパーマイルドⅡクリヤー】

値段 | 2,700円/㎡ |
塗料の種類 | 無機系塗料 |
ツヤ | 艶有り、5分艶、3分艶 |
使用できるサイディング | 窯業系・金属系サイディングのみ |
KFケミカルのセミフロンスーパーマイルドⅡクリヤーは、親水性塗膜であるため、空気中の塵や埃、排気ガスなどによる雨筋汚れが少なく、長期に外壁の美観を保てます。
また、KFケミカルのセミフロンスーパーマイルドⅡクリヤーは耐久性に優れているため、長期間デザインを変えたくない方におすすめです。
菊水化学工業【水系スーパーUVコートクリヤーSi】

値段 | 3000円/㎡ |
塗料の種類 | シリコン系 |
ツヤ | ツヤ有り、ツヤ消し |
使用できるサイディング | 全て |
菊水化学工業の水系スーパーUVコートクリヤーSiは、耐候性に優れた安定剤を入れて、紫外線や赤外線をカットします
また特殊な反射機能を持つ顔料を使い、遮熱性をアップしているため、外壁の断熱性を高めたい方におすすめです。
サイディングのクリア塗装でよくある失敗
クリア塗装の塗装できないケースや、塗装にあたっての特徴を理解しないと失敗する場合があります。
クリア塗装の検討段階での失敗から、塗装して失敗を感じたケースまで解説するので、参考にしてください。
チョーキングなどの劣化がありクリア塗装できなかった
クリア塗装でよくある失敗が、外壁にチョーキングなどの劣化によって、現地調査で業者にクリア塗装を断られてしまうケースです。
クリア塗装は、チョーキングなど劣化症状のある外壁に塗装すると、下記の発生リスクが高くなるため断られる場合があります。
発生リスク
- 塗料の付着不良
- 外壁が白くぼやけてみえる
- 塗料の剥がれ
業者はクリア塗装できるか施工前診断をおこない、適さないと判断した場合は塗装できません。
ツヤが出すぎて思っていた仕上がりにならなかった
クリア塗装は日が当たっているところと日陰ではツヤの印象が変わります。そのため、イメージ通りの仕上がりに近づけるためには、塗料の色見本を室内・室外で確認しましょう。
クリア塗装のツヤの出方はパターンがあり、自分の好みに合わせてツヤの種類を選べます。
(写真)
ツヤの種類 | 特徴 |
---|---|
ツヤあり | ツヤツヤとした印象 |
7分ツヤ | 曇りの日や日陰ではツヤが見えづらい |
5分ツヤ | ツヤありとツヤ消しの中間程度 |
3分ツヤ | 日が当たっている際に少しツヤを感じられる |
ツヤ消し | マットな印象 |
過去の塗装歴を把握していなかった
過去にクリア塗装と相性の悪い塗装をしてしまい、クリア塗装できなかったケースです。クリア塗料は、光触媒塗料やフッ素塗料で塗られた外壁の上に塗装できない場合があります。
光触媒塗料やフッ素塗料の汚れを弾く効果によって、クリア塗料と外壁が上手く付着できず、剥がれを起こしかねないからです。
新築時の仕様は見落としやすいため、クリア塗装を検討している方は確認しましょう。中古物件の場合は塗装歴が不明な場合があるため、一度外壁塗装業者に相談しましょう。
塗装でシーリング部分の保護もするつもりだった
シーリングを打った後に塗装してとシーリング部分も保護しようとしたものの、クリア塗装できなかったケースがあります。
クリア塗装をシーリングに塗るとひび割れや剥がれの原因になります。そのため、クリア塗装をした後にシーリングを打ちかえる方法が基本です。
クリア塗装はシーリングを保護できないと把握したうえで検討しましょう。
サイディングのクリア塗装でよくある質問
-
外壁塗装に追加してクリア塗装を重ね塗りできますか?
-
通常の外壁塗装をした上から、さらに保護するためにクリア塗装はできます。ただし、工程が増える分料金が増す点は念頭に置きましょう。保護目的であれば、塗料のグレードをあげてクリア塗装をおこなわない方法もあります。
-
クリア塗装の劣化を判断する基準はありますか?
-
クリア塗装の耐用年数が近づくと劣化し始めます。またチョーキングはセロテープを用い劣化状況をチェックできます。外壁に貼ったセロテープを剥がし、付着した粉の程度を調べる方法です。
-
築15年の自宅でもクリア塗装できますか?
-
築15年の間に一度もメンテナンスをおこなわなかった場合、クリア塗装を断られる場合があります。外壁の劣化症状が著しいと、外壁が白ぼけて見えたり、すぐに塗料の剥がれを起こすからです。
サイディングのクリア塗装まとめ
クリア塗装は無色透明な塗料なので、外壁のデザイン性を活かせるうえに、ツヤも選べるため質感を好みに合わせられます。
しかし、劣化症状の著しい外壁には塗装できないデメリットがある点は念頭に置きましょう。
自宅の外壁の状況と照らし合わせてクリア塗装を検討してください。