塗装して数年経つと気になり始める外壁のコケ。外壁をきれいに保ちたいものの、正しくコケを除去する方法がわからない人も多いのではないでしょうか。
今回は、外壁にコケができる原因や除去方法について解説します。コケを生えにくくする予防方法についても紹介するので、外壁のコケに悩まされている人はぜひ参考にしてください。
コケを除去する方法|広範囲・重度なら専門業者に依頼を
外壁のコケを除去する方法をそれぞれ解説します。コケがどの程度の範囲に生えているかや重症度によって対策が変わるので、自分で除去しようとする前に確認してください。
重症度 | 自分or業者 | 方法 |
---|---|---|
範囲の狭い軽度のコケ | 自分で除去 | 柔らかいブラシで水洗いする コケを除去できるスプレーを塗布する |
広範囲や根を張っているような重度のコケ | 業者が除去 | バイオ洗浄を行う |
柔らかいブラシを使って水洗いする
範囲の狭い軽度のコケであれば、柔らかいブラシやスポンジを使って水洗いしましょう。しっかり洗おうと硬いブラシやたわしを使うと、外壁の塗膜を傷つけてしまう恐れがあります。
塗膜や外壁を傷つけると、塗膜のひび割れや剥がれから雨水が浸水し、建物内部に水漏れするため注意が必要です。水圧で傷つく恐れもあるので、水洗いするときはブラシやスポンジを濡らして行いましょう。
コケが生えている場所が少し高い位置にある場合は、スポンジがついている伸縮棒を使用するのがおすすめです。
コケを除去できるスプレーを塗布する
軽度のコケでも水洗いで落ちない場合は、コケを除去できるスプレーを塗布しましょう。スプレーは泡で出るタイプや、薄めて使うタイプ・シャワータイプなど様々な種類があります。
効果はメーカーによって異なるので、自宅に合うものを選びましょう。下記が代表的なコケ除去スプレーです。
名前 | メーカー | タイプ | 特徴 |
---|---|---|---|
業務用コケ取りスプレー | アイメディア | 泡で出るタイプ | 天然ヤシ油由来の洗浄成分 |
コケとーるスプレー | レインボー薬品 | スプレータイプ | 水洗い不要で使用できる |
コケとーるしっかり原液 | レインボー薬品 | 希釈タイプ | 広範囲に使用できる |
おうちの草コロリ コケ取りスプレー | アース製薬 | スプレータイプ | 食品成分由来で 繁殖を1,5ヶ月抑制してくれる |
業者なら高所作業やバイオ洗浄が可能
手の届かない高所にコケがある場合や、広範囲のコケ、根を張っているような頑固なコケは専門業者に除去を依頼しましょう。根を張ったコケを処理し切れず残ったままだと、外壁内部まで劣化が進んでしまうためです。
自分で除去できる軽度のコケでも高所にある場合は、落下の危険があるため業者に依頼するのがおすすめです。また、業者であればバイオ洗浄でコケを取り除けます。
バイオ洗浄とは、コケやカビを死滅させる薬品を用いて洗浄する方法です。コケだけでなく、カビや排気汚れも一掃できます。バイオ洗浄の特徴については下記を参考にしてください。
メリット | デメリット |
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コケやカビ、排気汚れを全て除去できる 汚れで気づかなかったひび割れや色褪せなどの劣化症状を確認できる 塗膜の耐久性が上がる | 工期が2〜3日程度かかる 高圧洗浄より費用が高い 高濃度の洗浄剤であるため無害とはいえない |
バイオ洗浄は人体や環境に優しい成分の洗浄液ですが、安全性が心配な場合は業者に相談しましょう。
高圧洗浄は外壁を傷つけるためNG
高圧洗浄はコケを除去しやすいものの、劣化した外壁を傷つけてしまうためおすすめできません。外壁に傷を作ったり、塗膜が落ちてコケがつきやすい状態になる恐れがあります。
また、高圧洗浄は表面の汚れしか除去できないので、コケやカビの元となる菌や小さな汚れが残ります。残っている汚れや菌は、再度繁殖する原因になるため、頑固な汚れは高圧洗浄を避け、専門業者に依頼しましょう。
高圧洗浄で外壁が傷ついたら水漏れの原因になる?
高圧洗浄で外壁が傷つき水漏れするのは、すでに外壁の劣化が進行している場合や、施工不良があった場合です。
自宅の外壁の劣化が気になる場合は、高圧洗浄する前に業者に相談しましょう。
高圧洗浄についてはこちらで詳しく解説しています。
外壁のコケが生える原因や条件を確認
外壁にコケが生える原因や条件を知れば、予防対策を立てやすくなります。下記の条件に当てはまる場合は、対策を立てる参考にしてください。
外壁にコケが生える理由
外壁にコケが生えるのは、風で飛ばされたコケの胞子が壁面に付着するからです。胞子だけでなく水分でも栄養を摂るので、湿度が高い場所は繁殖するスピードが早くなります。
壁面に水や湿気が溜まっている場合があるので、劣化して防水性が低くなっている場所もコケが生えやすいので注意しましょう。
コケが生えやすい立地条件や建物
コケは湿度が高い場所や防水性が低い場所に生えやすいですが、具体的な立地条件は下記を参考にしてください。
コケが生えやすい立地 | コケが生えやすい理由 |
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川や湖に面した場所 | 高い湿度 |
周辺に木が多い場所 | コケの発生源となる胞子が多い |
日当たりや風通しの悪い場所 | 外壁表面が乾燥しにくく湿度が上がる |
コケが生えやすい建物は下記です。
コケが生えやすい建物 | コケが生えやすい理由 |
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モルタル外壁の家 | 独特な凹凸模様の溝に水が溜まりやすい |
艶消し外壁の家 | 水が染み込みやすい性質がある |
リシン・スタッコ外壁の家 | 凹凸が多いデザインで水が溜まりやすい |
隣家が近接している場合も風通しが悪くなりがちなので、コケが生えていないか確認しましょう。
外壁に生えたコケを放置するとどうなるの?
外壁に生えたコケを放置すると、建物の美観が損なわれるだけでなく、外壁材や建物内部の劣化が懸念されます。
それぞれについて詳しく解説するので、自宅のコケを駆除したい人は必ず確認してください。
外壁のコケを放置するリスク
- 外壁材や建物内部への浸水
- コケが増殖し、美観性が劣る
外壁材や建物内部への浸水が懸念される
コケは水分を含み保水する作用があるため、外壁の防水性を低くします。外壁材を常に湿らせている状態なので、水分量が高まると建物内部への浸水が懸念されます。
建物内部へ浸水すると、下地や防水シートの腐食につながり、外壁そのものの劣化が進行するため危険です。特に窯業系サイディングは、水を常に吸っていると反りの原因になる恐れがあります。
建物内部に浸水した場合も部分補修できる?
コケの除去のみであれば部分補修が可能ですが、建物内部へ浸水している場合は、業者による点検が必要です。
全体補修か部分補修かは、劣化の範囲や劣化の進行具合で決まります。
部分補修できる劣化症状や費用についてはこちらで詳しく解説しています。
コケが増殖し美観性が劣る
外壁に生えたコケを放置すると、コケが増殖して外観の美観性が劣ります。増殖するのはコケに水を含む性質があるためで、水分を吸って栄養を補給し続けるからです。
コケは晩秋から初春にかけて胞子を散布するので、この時期は一層増えていきます。特にホワイト系の外壁はコケが目立ちやすいため、美観性の観点から見ても放置はしないほうが賢明です。
コケを生えにくくするアイデア【6選】
コケを生えにくくする予防方法を6つ紹介します。外壁のメンテナンスを検討している人は、下記を参考に対策を立ててください。
足場を組めば高所のコケも除去できる
コケは2階以上の高所にも付く場合があるので、足場を設置する外壁塗装時に除去しましょう。少量で範囲が狭いコケだとしても、綺麗に除去してから塗装すれば、塗膜のコーティング効果で発生を予防できます。
高所作業を自分で行うのは、落下の危険があるためおすすめできません。外壁塗装のメンテナンス時に業者に相談し、コケの除去をお願いしましょう。
コケが生えても目立たない色を選択する
外壁塗装時に、好みの色よりもコケが生えても目立たない色を選びましょう。コケが目立たない色は発生の予防にはなりませんが、外観の美観性が保たれやすくなります。
下記がコケが生えても目立たない外壁色です。
コケが目立たない外壁色
- グレー系
- グリーン系
- ベージュ系
ホワイト系やブラック系はコントラストが強くなるので汚れが目立ちやすくなります。
防藻・防カビ塗料を塗る
コケを生えにくくするために、添加剤としてコケやカビを防ぐ薬品を配合した防藻・防カビ塗料を使用するのが効果的です。防藻・防カビ塗料は、壁面にコケの胞子が付着しても繁殖しない塗料なので、外観の美観も保たれます。
防藻・防カビ塗料は多数あり、メーカーによって性能が異なります。水性塗料にのみ効果を発揮するものや、コケの胞子から水分を奪って繁殖を防ぐものなど特性が違うので、使用したい場合は業者に相談して決めましょう。
光触媒塗料を塗る
コケを生えにくくするためには、光触媒塗料を使用するのもおすすめです。光触媒塗料は、塗料に含まれる酸化チタンが太陽光に反応し、外壁に付着した汚れを浮かせてくれます。
浮いた汚れは雨水で洗い流されるため、コケなどの汚れが蓄積しにくい塗料です。紫外線を利用するので耐久性も高く、長期間美観が保たれます。
光触媒塗料は太陽光を利用するため、北面の外壁や近隣住宅と接近しているような日当たりが悪い場所での使用はおすすめできません。
45度以上のお湯を含ませたタオルで拭く
塗装後に自分でコケの予防を行うなら、45度以上のお湯を含ませたタオルで外壁を拭き取るのがおすすめです。コケは熱に弱い性質があるので、45度以上のお湯で死滅します。
ふき取りで落ちないコケは、熱湯をかけて冷めるまで放置し、その後柔らかいブラシで洗浄しましょう。この過程を3回ほど繰り返すと、コケを根から枯らして繁殖を抑えられます。
お酢を薄めて塗布する
お酢には強い殺菌力があるため、3〜20倍に希釈し塗布すれば、コケの予防につながります。お酢なら人体に害もないので、ペットやお子さんがいる家庭にもおすすめです。
やり方は、水で希釈したお酢をコケが生えている場所や予防したい場所に塗布するだけ。コケが生えている場所は数日おきになくなるまで、予防したい場所は月に1度のペースで塗布しましょう。
希釈する水を45度以上のお湯にすると効果が高まります。
外壁のコケでよくある質問
外壁のコケについてよくある質問をまとめました。外壁のコケについてまだ疑問点がある人はぜひ参考にしてください。
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外壁に生えたコケは放置しても大丈夫ですか?
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外壁に生えたコケは放置してはいけません。外壁にコケが生えているということは、劣化して防水性が失われているサインでもあります。
劣化が進行すると建物内部の腐食にもつながるので、コケの除去と外壁塗装を含めた対策を業者に相談しましょう。
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外壁のコケが生えにくい建物はありますか?
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外壁のコケが生えにくいのは、日当たりや風通しが良い環境にある建物です。また、下記の外壁材を使用している建物もコケが生えにくい建物です。
・金属系サイディング
・レンガ
・タイル
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外壁のコケが生えにくい建物はありますか?
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コケ以外で確認できる外壁の劣化症状は、下記を参考にしてください。
・ひび割れ
・色褪せ
・チョーキング
・剥がれや浮き
・サビやカビ
外壁の劣化の原因は、紫外線や雨風の影響がほとんどです。放置すれば防水性が失われ、雨漏れの原因になる恐れがあるため、外壁の劣化を見つけたら補修を検討しましょう。
外壁のコケまとめ
外壁のコケを見つけたら、下記の方法で対処するのがおすすめです。
コケを除去する方法
- 柔らかいブラシで水洗いする
- コケを除去できるスプレーを塗布する
- 業者に依頼してバイオ洗浄を行う
また、コケは下記の方法で予防できます。
コケの予防方法
- 足場を設置する外壁塗装時に高所のコケを除去しておく
- コケが生えても目立たない色を選択する
- 防藻・防カビ塗料を塗る
- 光触媒塗料を塗る
- 45度以上のお湯を含ませたタオルで拭く
- お酢を薄めて塗布する
コケをきれいに取り除き、美しい外壁を保ちましょう。