
ケレンは外壁塗装に欠かせない工程の一つです。見積書を見て「ケレンって何だろう?」「こんなに費用がかかるものなの?」と疑問を抱く方も少なくないと思います。
しかし、ケレン作業を省いてしまうと施工不良につながり、せっかく外壁塗装しても数年と持ちません。
そこでこの記事では、外壁塗装におけるケレンの重要性と役割やケレンの種類と相場価格について徹底的に解説します。
ケレンを省くような悪質業者の被害にあわないための対策も紹介しているので、外壁塗装の業者選びの際に参考にしてください。
おさえておくべきこと
- ケレンとは塗装前の下地をきれいにし、塗料が密着しやすくするために必要な作業
- 一般的な住宅では、主に鉄部や付帯部分、剥がれかけた旧塗膜にケレンをおこなう
- ケレンには人件費や消耗品にコストがかかるため、適正価格での見積もりが必須
- ケレンを省くような悪質業者の被害にあわないために、相見積もりの実施と見積書の表記に注意が必要
そもそもケレンとは?外壁塗装に欠かせない【2つの理由】

ケレンとは塗装前の下地をきれいにすることで、主に鉄部の錆や剥がれかけた塗膜(死膜)を削り落とし、塗料の付着を良くする工程のことです。
一説では「きれいにする」という意味の英単語、「clean(クリーン)」がなまって「ケレン」になったといわれています。また業者によっては、ケレンのことを「下地調整」や「素地調整」と呼ぶ場合もあります。
そんなケレンには、外壁塗装において以下のような重要な役割があり、決して省いてはいけない工程です。
ケレンの役割
- 古い塗膜や錆びを落として塗料の密着性を高める
- 凹凸を付けて新しい塗料を付着しやすくする(目荒らし)
1.古い塗膜や錆びを落として塗料の密着性を高める
塗料はきれいな下地に塗装をしなければいけないため、塗料の密着を阻害するものをケレンで除去する必要があります。
なぜなら、剥がれかけた塗膜(死膜)や錆を除去せずに上から塗装した場合、塗料がうまく密着せずに2~3年のうちに新しい塗料が剥がれてしまうからです。
また錆は、金属をもろくさせる性質があります。錆が原因で鉄製の庇や金属屋根に穴が開いてしまい、雨漏りにつながるケースも少なくありません。
さらに、すでに発生している錆を起点に周囲へ広がる性質もあるため、建物の金属部分はしっかりケレンをおこなって錆を取り除く必要があります。
2.凹凸を付けて新しい塗料を付着しやすくする(目荒らし・足付け)
ケレンは下地をきれいにするための工程ですが、表面がツルツルだと塗料は強く密着しません。そのため、あえてケレンで下地の表面を削って凹凸をつけます。
この表面に凹凸をつける作業のことを「目荒らし」や「足付け」とも呼びます。
塗装する表面に凹凸があるとくぼみに沿って塗料が入り込むため、強く立体的に密着するうえに、塗料と下地の接地面積が多くなることで剥がれにくくなるというわけです。
一般的な住宅の場合では破風や幕板、塩ビ製の雨樋などにケレンを施します。
外壁塗装のケレンにかかる費用相場を種類別に紹介
ケレンには1種ケレン~4種ケレンまで種類があり、違いは使用する道具と旧塗膜を除去する度合いです。また、ケレンの費用は「死膜の量」や「鉄部の錆度合いと範囲」によって変動します。
そのため、広範囲にわたってケレンが必要な状態や、鉄部の奥深くまで錆が達している場合は、作業に要する人件費と消耗品の費用が増加します。
ケレンを無料でしておくと言われたけど可能なの?
たまに「ケレンはサービスしておきます」という業者がいます。しかし、実際のところは別の項目に費用を分散させて、ケレンが無料になっているかのように見せていることがほとんどでしょう。
なぜなら、目立たない作業とはいえ、人件費や消耗品にコストがかかっているからです。もし、仮に身を切るサービス精神で無料にしているのだとしても、それでは健全な経営はできません。万が一施工不良が起きたとき、施工業者が業績不振で倒産してしまっていたら保証が効かなくなってしまいます。そのため、ケレンは適正価格であることが重要です。
ただし、瑕疵保険に加入している業者の場合は、倒産した後でも保険金を請求できます。
1種ケレン|費用相場:3,000~4,000円/㎡
1種ケレンは、激しい錆や死膜を完全に除去する場合におこなわれる下地処理で、費用相場は3,000~4,000円/㎡程度です。
主に1種ケレンでは2つの手法を用います。
1つ目は専用の薬剤を使用する「薬剤洗浄」で、2つ目は研削材を圧縮した空気や遠心力で吹き付けた衝撃力や摩擦力でおこなう「ブラスト工法」です。
ただし、ブラスト工法の場合は研磨剤にアルミやスチールなどの金属の細かな粒子を使用するため、粉じんの飛散や騒音などの配慮を適切におこなわなければいけません。
したがって、ケレンの中でも特に難しい1種ケレンは、施工業者に専門的な知識や技術が要求されます。

1種ケレンは主に高速道路や橋など大規模な構造物に対しておこなわれるものです。一般の住宅で施工することはほとんどありません。
2種ケレン|費用相場:1,500~2,000円/㎡
2種ケレンは下地の面積のうち、30%以上に死膜と錆が発生している場合におこなわれ、費用相場は1,500~2,000円/㎡です。
広範囲の錆や死膜除去にはワイヤーホイールブラシやディスクサンダーなどの電動工具を使用します。そして電動工具では処理できない隅や細かい部分は、スクレイパーやハンマなどといった手工具を利用してケレンをします。
また、2種ケレンでは頑固な錆や旧塗膜をできる限り除去しますが、1種ケレンほどの完全な除去は難しいと思っておきましょう。

2種ケレンも1種ケレン同様に一般住宅で施工されることはまれです。2種ケレンが必要なまでの錆が発生している場合、鉄部を交換する方がコストパフォーマンスが高くなる可能性があります。
3種ケレン|費用相場:600~1,000円/㎡
3種ケレンは、死膜や錆の発生が下地面積の30%未満の場合に施工され、費用相場は600~1,000円/㎡です。
一般住宅に施されるケレンのほとんどはこの3種ケレンにあたります。特に錆がひどくなりやすい鉄骨階段や折版屋根のボルト部分に施工されることが多いです。また、道具は2種ケレンと同じように電動工具と手工具を使用します。
ただし3種ケレンでは、旧塗膜の全てを剥がすわけではなく、密着力が生きている活膜は残し、剥がれかけの死膜や錆のみを除去します。

鉄骨階段が錆びて脆くなると、体重がかかった瞬間に破断する可能性があり非常に危険です。錆がひどくなる前にしっかり除去してもらってから塗り替えをしましょう。
4種ケレン|費用相場:200~400円/㎡
4種ケレンは全体的に塗膜の劣化が少なく、錆も5%以下の場合に施工され、費用相場は200~400円/㎡と比較的安価です。
使用する道具はワイヤーブラシやサンドペーパーなどの手工具のみです。主に下地に付着した汚れの掃除をおこなう程度で、表面に凹凸をつける目荒らしが目的となります。
主な施工箇所は、比較的きれいな鉄部や表面がツルツルした塩ビ製の雨樋などです。
なお、4種ケレンは軽作業のため、見積書には記載されないケースがあります。その場合、見積もりにケレンが含まれているのか業者に確認をしましょう。
また、実際にケレンをおこなっているかわかるように施工写真を撮ってもらうようにお願いしておくことをおすすめします。

もし悪質な業者だと見積書に記載がないことを理由に、ケレンを省いてしまうケースがあります。たとえ簡単な4種ケレンであっても、見積書に記載があるかしっかり確認しましょう。
外壁塗装の工程でケレンをおこなうタイミングは?
外壁塗装をする際、ケレンは下塗りの前におこないます。
ケレンのタイミング
- 高圧洗浄
- ケレン
- 下塗り
- 中塗り
- 上塗り
まず、大まかな死膜や汚れを落とすのは高圧洗浄の役割です。強い水圧で広範囲の洗浄をおこない、ケレン作業の負担を減らします。
その次に、高圧洗浄では取り除けなかった頑固な死膜や錆をケレンで丁寧に除去します。
塗装前のケレンで、いかに下地をきれいにできているかが仕上がりの見た目の良さと塗膜の耐久性に大きく影響するのです。
そして、ケレン後に残った活膜や新しく塗布する上塗り塗料を下地にしっかり密着させるために下塗り塗料を塗ります。

鉄部の場合、ケレン後に使用する下塗り塗料は「錆止め効果」のあるものを使用します。
施工範囲が小さい場合は高圧洗浄なしでケレンをすることがある
一般的に外壁塗装をする場合は、高圧洗浄を必ずおこなってからケレンをするのが一般的です。しかし、塗装工事自体が小規模な場合は高圧洗浄をしないケースがあります。
例えば、窓の上の小さな鉄製の屋根(下屋根や庇)だけの塗り替えなどは、ケレンのみで下地処理をして、下塗り、中塗り、上塗りの順で塗装をします。
ケレンを省く悪徳業者に注意!外壁塗装をする際は見積書をしっかりチェック

外壁塗装の品質は下地処理にかかっていると言っても過言ではありません。もしケレンを省くと早ければ数か月で塗膜が剥がれ、早期の塗り直しが必要になる可能性があります。
そのため、ケレンは決して省いてはいけません。しかし、一部の悪質な塗装業者では、人件費の削減や工期の短縮を優先するあまりケレンを省いてしまうことがあります。
そんな業者に外壁塗装を依頼しないためには、見積書にケレンの項目が適切に記載されているかを確認することが重要です。
具体的には以下の項目を業者に確認しましょう。
見積時のケレンに関する確認ポイント
- 見積もりにケレンが含まれているのか
- どの箇所にケレンが必要なのか
- 1種~4種のうちどのケレンをおこなうのか
- 施工前後の状況を記録した写真を提出してくれるか
上記のことを見積もり時に確認することで、施工業者の信頼性を客観的に見極めることができます。
悪質な業者からの被害を受けないためにも、これらのポイントをおさえて信頼できる外壁塗装の業者を選びましょう。
なお1種~4種のうち、どのケレンをおこなうかによって適正価格は異なります。それぞれの価格は「外壁塗装のケレンにかかる費用相場を種類別に紹介」の章でご確認ください。

外壁塗装後の保証についてもあわせて確認しておくのがおすすめです。特に、塗膜の早期剥離に対しての保証があるかは非常に重要です。また、口約束ではなく保証書をもらうようにしましょう。
ケレンをきちんとおこなう優良業者を選ぶ方法3選
誠実に外壁塗装をしている業者は、ケレンを省くようなことはしません。しかし、一目見ただけでは目の前の業者が優良業者かどうかを判断することは難しいでしょう。
そこでこの章では、ケレンを省かずにしっかり施工してくれる優良業者を選ぶ方法を紹介します。
1.相見積もりを取る
相見積もりとは、複数の業者に見積書の提出を依頼することです。
優良業者を選ぶには、相見積もりを取る作業が欠かせません。なぜなら、複数の業者の見積書を比較することで、各業者の信頼性や適正価格を判断できるからです。
例えば、3つの業者で外壁塗装の相見積もりをしたとします。
このとき業者Aと業者Bは見積書にケレンの項目があり、業者Cは記載がなかった場合、業者Cがケレンを省く可能性があることに気づけます。
これが、もし単独で業者Cに見積もりを依頼していた場合、ケレンの抜け落ちに気づけずそのまま施工を依頼してしまうかもしれません。
このように、相見積もりをすることは妥当な施工内容と価格を見極める手助けとなります。

相見積もりは3社を比較するのが相場です。複数の提案を照らし合わせ、信頼性や施工内容、価格のバランスをしっかり見極めましょう。
相見積もりについてはこちらの記事でさらに詳しく解説しています。
〉〉外壁塗装の相見積もり|賢い業者選びから比較すべきポイントまで徹底解説
2.見積もり単位に「一式」が多くないか確認する
見積書は契約前に施工内容や金額の妥当性を理解し、納得したうえで進めるための書類となります。そのため、優良業者を選ぶ際に見積書が詳細に書かれているかは非常に重要です。
足場がないと詳細が判断できない箇所の場合は、「一式」で表記されることは仕方ありません。
しかし、見積書が一式表記ばかりである場合は注意しましょう。見積書が一式表記ばかりの場合、もしかしたら業者にとって公開したくないことがあるのかもしれません。
不透明な見積書を提示することで、後での言い逃れや不正確、追加料金の要求などが生じる可能性もあります。
そのため見積書は、以下の内容に注目して見るようにしましょう。
見積書の表記のチェックポイント
- 施工範囲は㎡・mなど具体的に数字で記載されているか
- 1㎡・1mあたりの施工単価が明示されているか
- 施工に使用する材料のメーカーと商品名の記載があるか
- 工法の名前が記載されているか(2種ケレン・1種ケレンなど)

見積書に「一式」を見つけたら、一式表記の理由と施工内容の詳細を質問しましょう。はぐらかされるような回答が返ってきたときは要注意です。
3.有資格者が在籍しているか確認する
素人が業者の技術力を正確に判断するのは難しいため、有資格者が在籍しているか確認しましょう。
資格は第三者機関が客観的にその人物が正確な知識と高度な技術をもっていることを証明するものです。
そのため、素人でも資格の有無を確認すれば業者の信頼性を簡単に見極めることができるというわけです。
ベテランの職人であっても、資格がなければ技術はあれど正しい知識を持っていない可能性があり、問題を引き起こすかもしれません。それに対して有資格者は知識と技術に裏付けがあるので高品質な施工が期待できます。

お客様に安心してもらうため積極的に資格を取得している業者は、品質と信頼性を重視しているサインともいえるでしょう。
外壁塗装のケレンでよくある質問と回答
外壁塗装のケレンに関してよくある質問をまとめました。外壁塗装にケレンが必要な場合の参考にしてください。
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ケレンが手抜きだとどうなりますか?
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施工不良につながります。具体的には早ければ数か月、遅ければ2~3年ほどで塗装が剥がれてきてしまう可能性があります。
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ケレンをサービスでおこなうと言われましたが大丈夫でしょうか?
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ケレンのサービスには注意が必要です。外壁塗装はどの工程においても費用がかかるためサービス(無料)で提供するのは難しいです。サービスと言いつつ別の項目で金額をかさまししている可能性があります。あくまでサービスというのはセールストークのひとつとして捉えておきましょう。
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ケレンではどのような工具を使うのですか?
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一般的な住宅で使用する道具は、広範囲の研磨に使用する電動工具と、細かな作業に適した手工具があります。電動工具は「ディスクサンダー」や「ワイヤーホイールブラシ」といったものが代表的です。手工具であれば「スクレイパー」や「マジックロン(やすり)」などがよく使用されます。
外壁塗装ケレンのまとめ
外壁塗装においてケレンは仕上がりの美観性と、塗膜の耐久性を保持するために非常に重要な工程です。そのため外壁塗装をおこなう際は、ケレンに関して以下のことを意識しておきましょう。
この記事のまとめ
- ケレンをせずに外壁塗装をすると施工不良につながる
- ケレンには1種~4種があり、一般住宅では2種ケレンと1種ケレンがよく施工される
- 外壁塗装の工程のうち、ケレンは下塗りの前におこなう
- 悪質業者はケレンを省くことがあるため、相見積もりの実施と表記が「一式」ばかりではないかを確認する
- 業者の資格の有無は、ケレンを省くような悪徳業者ではないかを見極める目安になる
ケレンは外壁塗装の工程の中でも特に目立たない作業ですが、なくてはならない工程です。しかし、一度塗料を塗ってしまえば手抜きがばれにくいため、ケレンを省いてしまう悪質業者が一定数存在します。
そのため、ケレンを省かず施工してくれる優良業者で外壁塗装をするためにも、必ず相見積もりをしましょう。
具体的な優良業者を選ぶ方法については、この記事の「ケレンをきちんとおこなう優良業者を選ぶ方法3選」で解説しています。
またケレンの適切な処置や、見積書が適正に作られているかなどを「プロの目線で判断してほしい」という方は、ぜひ当サイトの選任アドバイザーに気軽にご相談ください。