「外壁のリフォームを検討しているけど、窯業系サイディングとガルバリウム外壁のどちらがよいか悩んでいる……」このような方は、ぜひ本記事を最後までお読みください。
外壁材によく採用される窯業系サイディングとガルバリウム外壁。しかし、窯業系サイディングとガルバリウム外壁は耐久性やデザイン性、費用など、さまざまな点が異なることをご存知でしょうか。
この記事では、窯業系サイディングとガルバリウム外壁の違いを徹底解説します。後悔しない外壁リフォームをおこなうためにも、ぜひ参考にしてください。
この記事のポイント
- デザインが豊富で安価な外壁材は窯業系サイディング
- 金属製なのに錆びに強くて軽量な外壁材はガルバリウム外壁
- 窯業系サイディングは初期費用は安いが、ランニングコストが高い
- ガルバリウム外壁は初期費用は高いが、ランニングコストが低い
窯業系サイディングとガルバリウム外壁の違い
この章では、窯業系サイディングとガルバリウム外壁の違いについて説明します。窯業系サイディングとガルバリウム外壁の特徴や性能は、以下のとおりです。
窯業系サイディング | ガルバリウム外壁 | |
---|---|---|
デザイン | タイル調やレンガ調など種類が豊富 | スタイリッシュだがバリエーションは少ない |
耐震性 | 軽量なため耐震性に優れている | 軽量なため耐震性に優れている |
防水性 | 素材自体に防水性はない | 防水性に優れる |
断熱性 | 熱を吸収しやすい | 断熱性はない |
防火性 | 燃えにくい | 燃えにくい |
耐用年数 | 30~40年 | 30~40年 |
塗り替え時期 | 7~10年 | 10~15年 |
窯業系サイディングとガルバリウム外壁は、どちらもサイディングの一種です。一般的にサイディングと呼ばれているのが「窯業系サイディング」であり、ガルバリウム外壁は「金属系サイディング」のことを指します。
また、一般的な窯業系サイディングの塗り替え時期は新築から10年を目安におこないますが、ニチハの「プレミアムシリーズ」に関しては塗膜の変色や褐色に対し30年保証が付いています。メンテナンスコストや手間をかけたくないという方は、ニチハ「プレミアムシリーズ」を検討してみるとよいでしょう。
窯業系サイディングの特徴|シェア率80%コスパ最強の外壁材
現在、一般住宅でもっとも採用されているのが「窯業系サイディング」で、シェア率80%を占めています。
窯業系サイディングとは、セメントと繊維質を混ぜ込んだものに、軽量性を高めるための混和材を加えた板状の外壁材のこと。工場で大量生産できるため、材料費や施工費が安いという特徴があります。
また、デザインが豊富なところや軽量で耐震性に優れているところ、防火性が高いところも人気の理由です。
窯業系サイディングの素材自体に防水性はありませんが、上から塗装を施すことで防水性を高めています。一般的には7~10年で塗膜の効果が薄れるため、メンテナンス時期には注意しましょう。
サイディングの種類について詳しく知りたい!
サイディングは種類により素材や特徴、価格が異なります。
詳しくは以下の記事で紹介しています。
>>シェア80%!サイディング【全4種類】特徴と選び方を徹底解説
ガルバリウム外壁の特徴|金属サイディングの一種・スタイリッシュな外壁材
ガルバリウム外壁とは、アルミニウムと亜鉛の合金をメッキした鋼板のことです。アルミニウムの耐久性と耐熱性などに、亜鉛の防食効果を併せ持つガルバリウムは「ガルバニウム鋼板」とも呼ばれており、金属サイディングの一種となります。
ガルバリウムは金属製でありながら錆びにくく、非常に薄く軽量です。見た目がスッキリしているガルバリウム外壁は、洗練されたデザインとかっこよさから、近年では屋根や外壁に採用されるケースが増えています。
ガルバリウム外壁は見た目がトタンと似ていますが、メッキの成分が異なります。トタンのメッキは亜鉛のみですが、ガルバリウムは亜鉛とアルミニウムをメッキしています。
窯業系サイディングのメリットとデメリット
この章では、サイディングの代表とされる「窯業系サイディング」のメリットとデメリットを紹介します。
メリット1.依頼できる業者が多い
窯業系サイディングは、あらかじめ工場で生産されたサイディングを現場で組み立てたり、外壁に張り合わせたりします。塗り壁のような職人技術が必要ないため、仕上がりにムラが出ずに多くの業者が施工可能です。
メリット2.耐震性・耐火性に優れている
建物は軽ければ軽いほど、地震などの揺れによる影響が少なくなります。窯業系サイディングは軽量なため地震に強く、地震の被害調査でも剥離、脱落がほとんど見られなかったことが確認されています。
また、不燃・準不燃材料として国から認められており、防火外壁材と呼ばれるほど燃えにくいため、万が一、自宅や隣家で火災が発生しても、延焼を防止しやすくなります。
メリット3.短い工期で施工できる
窯業系サイディングの施工は、工場で生産されたサイディングを張り付けるだけなので左官工事を必要としません。サイズや形状が統一されているため、扱いやすく工程も簡易なことから短い期間で工事が完了します。
メリット4.デザインが豊富
窯業系サイディングにはさまざまな柄や模様を施すことができるため、デザインや色のバリエーションが豊富です。シンプルなものから木目調やレンガ調、タイル調など、たくさんのデザインから自分好みのものを選べます。
表面は塗装で仕上げるため色の種類も数多くあり、自分の好きな色で仕上げることが可能です。
「外壁をタイルやレンガにしたいけど高くて予算が合わない……」という方にも窯業系サイディングはおすすめです。
デメリット1.サイディング自体に防水性はない
窯業形サイディング自体に防水性はありません。サイディングの主な原料となるセメントは水を含みやすいため、表面に塗装を施し防水性を持たせる必要があります。
塗装が剥がれてしまうと外壁材が雨風や紫外線などの影響を直接受けてしまうため、定期的に塗装メンテナンスをおこなうことが大切です。
デメリット2.耐久性が低いためメンテナンスの頻度が多い
窯業系サイディングの耐用年数は一般的に30~40年となりますが、これは定期的なメンテナンスを怠らなかった場合の年数です。
先述したとおり、窯業系サイディングの素材自体に防水性はありません。窯業系サイディングは雨水に対する耐久性が低く、定期的に塗装メンテナスをおこない防水性を維持する必要があります。
そのため、防水性に優れているガルバリウム外壁と比べるとメンテナンス頻度が多くなると覚えておきましょう。
デメリット3.熱がこもりやすいためエアコンの効きが悪い
原料となるセメント質は熱を吸収しやすく蓄える性質があるため、夏は外壁の温度が上がることで室内に熱がこもりやすくなります。
そのため、エアコンの効きが悪いと感じる場合があるかもしれません。蓄熱を防止するには、表面に使用する塗料を遮熱や断熱効果のあるものにするなどの対策が必要です。
エアコンの効きをよくするためには、外からの熱を遮断しましょう。夏は涼しく冬は暖かい室内を維持できると、省エネにもつながります。
ガルバリウム外壁のメリット・デメリット
この章では、金属製の屋根や外壁の9割に採用されているガルバリウム外壁のメリットとデメリットを紹介します。
メリット1.金属製なのに錆びにくく耐久性が高い
ガルバリウム外壁は、錆びの原因となる水と酸素を「亜鉛」と「アルミニウム」の力で遮断しているため、素材が金属でありながら錆びにくいことが特徴です。
また、耐久性が高いことから、他の外壁材と比べてメンテナンスの頻度が少なく、きちんとメンテナンスをおこなえば40年以上の長期使用も見込めます。
メリット2.軽量で耐震性に優れている
ガルバリウム外壁は外壁材の中でも特に軽量なため、耐震性が高いことが特徴です。外壁が軽くなると建物への負担が少なくなり、地震の揺れもおさえられます。
軽量なガルバリウム外壁は、揺れによる影響を最小限にとどめられるため、家具倒壊などのリスク低減につながります。
メリット3.熱の吸収率が小さく夏でも快適
ガルバリウム外壁に含まれているアルミニウムには、熱を蓄えづらかったり吸収しづらかったりする性質があります。金属製なのに表面の温度が上がりにくいため、外壁に用いることで室内の温度上昇をおさえる効果が得られます。
メリット4.防火性が高い
ガルバリウム外壁は、火災が発生しても燃焼しにくく、有害な煙やガスを発生しない建築材料に指定されている防火性能の高い外壁材です。
また、外からの熱を反射する力があることから、火事で周辺の建物が燃えた場合でもその影響を受けにくいため、延焼を抑制できます。
ガルバリウム外壁は、300~350℃の高温に長時間耐えることができる優れた耐熱性をもつ外壁材です。
デメリット1.傷がつくと錆びる恐れがある
素材が金属でありながら錆びにくいことが特徴ですが、まったく錆びないというわけではありません。傷がつくとメッキが剥がれてしまい、鉄が空気に触れて酸化することで錆びが発生する恐れがあります。
軽量ゆえに傷はつきやすく、小石などが当たっただけでも傷ついてしまうため注意が必要です。
デメリット2.外部からの衝撃に弱い
ガルバリウム外壁の厚みは0.27~1.2㎜と非常に薄いため、外からの衝撃に弱くへこみやすいです。一度へこんでしまうと元に戻すことは難しく、補修や張り替えといった対応が必要となります。
ボールなどでの壁打ちでも簡単にへこんでしまうため、物をぶつけたり壁を使って遊ばないように気をつけましょう。
デメリット3.遮音性・断熱性が低い
ガルバリウム外壁は非常に薄いため、遮音性や断熱性はあまり期待できません。金属は振動を伝えやすく音を反響させやすいので、強い雨音などが室内に響きやすくなります。
また、ガルバリウム外壁は金属製のため、他の建材と比べると断熱性が低いです。断熱性とは、外気の熱気や冷気を室内に入れないように遮断する力のこと。ガルバリウムは断熱性が低いため、断熱性を補う工夫が必要になります。
遮音性と断熱性は、断熱材をしっかりと施工することで機能を高めるができます。最近では、断熱材と一体となったガルバリウム外壁も販売されています。
窯業系サイディングとガルバリウム外壁の費用相場と工期
この章では、窯業系サイディングとガルバリウム外壁の費用相場と工期を紹介します。
工事中は足場を設置することにより、窓が開けられなくなるなど日常生活への影響にも注意が必要です。工期は工法により異なるため、事前に確認しておくことで工事のスケジュールも立てやすくなります。
窯業系サイディングの費用相場と工期
窯業系サイディングの費用相場は、1㎡あたり4,000~9,000円です。
外壁の施工には、重ね張り(カバー工法)と張り替え(外壁交換)の2つの方法があります。工法と工期は以下のとおりです。
工法 | 工程 | 工期 |
---|---|---|
重ね張り | 既存の外壁材の上に新しい外壁材を張る | 14~21日 |
張り替え | 既存の外壁材を全て撤去してから新しい外壁材を張る | 30日以上 |
重ね張りは、既存の外壁材を撤去しないため、外壁材が二重になることで遮音性や断熱性が向上するといったメリットがあります。
しかし、外壁の重さが二倍となるため耐震性が低くなったり、外壁材と外壁材の間に結露が発生しやすいといったデメリットもあるので注意しましょう。
ガルバリウム外壁の費用相場と工期
ガルバリウム外壁の費用相場は、1㎡あたり4,000〜6,000円です。
窯業系サイディング同様に、重ね張りと張り替えの2つの施工方法があります。工法と工期は以下のとおりです。
工法 | 工程 | 工期 |
---|---|---|
重ね張り | 既存の外壁材の上に新しい外壁材を張る | 14~21日 |
張り替え | 既存の外壁材を全て撤去してから新しい外壁材を張る | 30日以上 |
ガルバリウム外壁は軽量で建物への負担が少ないため、重ね張りに適した外壁材です。また、熱を吸収しづらい性質から、日差しによる室内温度の上昇がおさえられ夏でも快適に過ごせます。
ガルバリウム外壁の施工には板金技術が必要です。施工時の傷や切断面の鉄粉を残してしまうと錆びやすくなるため、施工する際は板金工事を専門とする業者に依頼することをおすすめします。
窯業系サイディングもガルバリウム外壁も定期的なメンテナンスが必要
外壁材を長持ちさせるためには、どちらも定期的なメンテナンスが必要です。
メンテナンスをきちんとおこなうことで、外壁材を保護したり美観を維持したりできます。メンテナンスは外壁材の種類によってサイクルが異なるため、事前に確認をしておきましょう。
窯業系サイディングのメンテナンス方法と周期
窯業系サイディングのメンテナンス方法は、外壁塗装と外壁材の目地を埋めるシーリング補修になります。メンテナンス周期は以下のとおりです。
メンテナンス方法 | メンテナンス周期 |
---|---|
外壁塗装 | 7~10年 |
シーリング補修 | 5~10年 |
サイディング表面に施されている塗料やシーリングが劣化すると、防水機能が失われて雨漏りの原因になります。窯業系サイディングの耐用年数は30~40年ほどですが、メンテナンスを怠ると耐用年数よりも寿命が早くなるため、定期的なメンテナンスを心がけましょう。
ガルバリウム外壁のメンテナンス方法と周期
ガルバリウム外壁のメンテナンス方法は、窯業系サイディングと同じで外壁塗装と外壁材の目地を埋めるシーリング補修になります。メンテナンス周期は以下のとおりです。
メンテナンス方法 | メンテナンス周期 |
---|---|
外壁塗装 | 10~15年 |
シーリング補修 | 5~10年 |
ガルバリウム外壁は窯業系サイディングよりも防水性が高いため、塗装のメンテナンス周期は比較的長めです。
ただし、錆びが発生した場合は早めに業者に相談しましょう。錆びの放置は外観を損ねるだけでなく、進行すると穴が開いてしまい雨漏りの原因となります。
ガルバリウム外壁の耐用年数は30~40年ほどですが、定期的にメンテナンスをすることで外壁材は長持ちします。
ガルバリウム外壁は、汚れの長期付着により錆びることもあります。汚れがひどい箇所は自分で水洗いをしましょう。
窯業系サイディングとガルバリウム外壁どっちがおすすめ?
ここまで、窯業系サイディングとガルバリウム外壁のメリット・デメリットや費用、メンテナンス周期などを紹介してきました。しかし、どちらが自宅の外壁に適しているのか迷う方も多いと思います。
そこでこの章では、窯業系サイディングとガルバリウム外壁のおすすめポイントをまとめました。ぜひ外壁材選びの参考にしてください。
窯業系サイディングがおすすめな人
窯業系サイディングは、以下のような人におすすめです。
おすすめポイント
- デザインや質感にこだわりたい
- 初期費用をおさえたい
- 工期を短くしたい
デザインの種類が豊富にあり、高性能にも関わらず安価なため、価格をおさえながらもおしゃれな外観にしたい人におすすめです。
ただし、防水性の低さから塗装メンテナンスは必須となります。メンテナンスの周期も短いため、メンテナンスに費用がかかることを頭に入れておきましょう。
ガルバリウム外壁がおすすめな人
ガルバリウム外壁は、以下のような人におすすめです。
おすすめポイント
- 地震に強い家にしたい
- メンテナンスの費用をおさえたい
- 無機質でスタイリッシュな外観にしたい
ガルバリウム外壁は非常に軽量なため、建物の耐震性を高めたい人におすすめです。また、耐久性の高さからメンテナンスの頻度が少ないため、メンテナンスにかかるコストをおさえたい人にも最適です。
ただし、塩害のある地域では錆びが発生しやすくなります。海岸から1~7km以内の地域は塩害が起こりやすいとされており、メンテナンスの頻度が高くなるため注意が必要です。
窯業系サイディングとガルバリウム外壁でよくある質問
-
窯業系サイディングとガルバリウム外壁の差額はいくらですか?
-
相場から計算すると、張り替え・重ね張りどちらとも30万円ほどの差額になり、ガルバリウム外壁のほうが高くなります。
-
長期的に見てコストパフォーマンスがよいのはどちらですか?
-
どちらも耐久性に優れていますが、メンテナンスの頻度を考慮すると、ガルバリウム外壁のほうがコストパフォーマンスがよいといえるでしょう。
塗装メンテナンスの頻度は、窯業系サイディングは7~10年に一度、ガルバリウム外壁は10~15年に一度となります。そのため、30年間に必要なメンテナンス回数は、窯業系サイディングだと3~4回、ガルバリウム外壁だと1~2回とガルバリウム外壁のほうが少ない回数で済みます。
塗料は、費用と耐用年数のバランスが取れているシリコン塗料を使用した場合の費用目安となります。
窯業系サイディングとガルバリウム外壁のまとめ
この記事では、窯業系サイディングとガルバリウム外壁の特徴や費用、メンテナンス方法を紹介しました。どちらもサイディングの一種ですが、特徴には以下のような違いがあります。
窯業系サイディングの特徴
- 主な原料は、セメント質や繊維質
- デザインが豊富で安価なことから外壁シェア率80%を占める
- 素材自体に防水性がないため、メンテナンスの頻度が高い
- 初期費用は安いが、ランニングコストが高い
- メンテナンスは、塗装が7~10年、シーリングが5~10年に一度
ガルバリウム外壁の特徴
- 素材は、亜鉛とアルミニウムをメッキした鋼板
- 非常に軽量なため耐震性に優れている
- 傷がつきやすく、傷がつくと錆びる恐れがある
- 窯業系サイディングより初期費用は高いが、ランニングコストが低い
- メンテナンスは、塗装が10~15年、シーリングが5~10年に一度
どちらの外壁材もメンテナンスを怠ったり、価格だけで決めたりすると「こんなはずではなかったのに……」と後悔につながる場合もあります。
張り替えまたは重ね張りをおこなうときは、見た目や費用だけではなく、外壁材の特徴やメンテナンスコストを考慮したうえで、自宅に適した外壁材を選ぶようにしましょう。