タイル外壁のメンテナンスを検討しているものの、必要かどうかわからないタイルの塗装。メンテナンスせず放置して水漏れなどのトラブルが起きないか、心配している人も多いのではないでしょうか。
今回は、タイル外壁を塗装する必要性や塗装するメリット、デメリットを解説します。タイルを塗装する以外のメンテナンス法についても紹介するので、現在タイル外壁の家に住んでいる人はぜひ参考にしてください。
おさえておくべきこと
- タイル外壁の塗装は基本的に不要
- タイルを塗装すると、タイルや目地を保護できる
- タイル外壁の塗装費用は約80万〜200万円で、使用する塗料によって変わる
- タイル塗装費用を節約するなら相見積もりが有効
- 部分的な補修であってもDIYはNG
タイル外壁に塗装は必要なのか?
タイル外壁は高耐久で劣化しにくいため、基本的に外壁塗装は必要ありません。タイルは砂や土といった自然に存在し続ける無機質の外壁材なので、紫外線や雨風に強い性質があります。変色や劣化を起こしにくく、耐傷性にも優れているので塗装は不要です。
一方で、タイル外壁の外観の美観を保ち、防水性を高めるための塗装は可能です。塗装するときは、艶出しするためのクリア塗装や防水塗装が施される場合が多いです。
塗装しなくてもタイル外壁はメンテナンスフリーにはなりません。必要なメンテナンスはこちらで解説しています。
タイル外壁を塗装するメリット・デメリット
タイル外壁を塗装するメリットとデメリットを解説します。タイル外壁の塗装を検討している人は、比較検討の判断材料にしてください。
メリット1:クリア塗装は艶出しできて美観が保たれる
タイル外壁の塗装でクリア塗料を使用すれば、艶出し効果で美観が保たれます。クリア塗料は透明なので、タイル特有の表情を残したまま美しさをキープできるのが特徴です。
ただし、クリア塗料で塗装すると、使用した塗料の耐用年数ごとに再塗装が必要になります。クリア塗料の種類別の費用相場と耐用年数は下記を参考にしてください。
種類 | 費用相場 | 耐用年数 |
---|---|---|
アクリル系塗料 | 1,200〜1,800円/㎡ | 4〜7年 |
ウレタン系塗料 | 1,800〜2,200円/㎡ | 8〜10年 |
シリコン系塗料 | 2,500〜3,200円/㎡ | 10〜15年 |
フッ素系塗料 | 3,500〜5,500円/㎡ | 15〜20年 |
メリット2:タイル外壁のデザインチェンジができる
タイル外壁は基本的に塗装の必要がないので、新築当時から同じデザインが続きます。でも塗装すればデザインを一新でき、建物を好みの雰囲気に変えられます。
また、ひび割れなどでタイル外壁の一部を張り替えたとしても、塗装すれば違和感が残りません。統一感が保たれ、美しい外観に仕上がります。
デザインの色味に迷ったら?
新しいデザインの色味に迷ったら、カラーシミュレーションの利用がおすすめです。カラーシミュレーションはツートンカラーや建物タイプなど、細かい設定で外観のデザインを決められます。
また、何回でも好きな色や配色を試せるので、こだわりが強い人にもおすすめです。
カラーシミュレーションについてはこちらで詳しく解説しています。
メリット3:タイルや目地を保護できる
タイル外壁を塗装すると、劣化しやすい目地や、タイルの色褪せを保護できます。シーリングと言われる目地は劣化しやすく、早ければ施工後3〜7年ほどでひび割れや隙間などの劣化が始まります。
目地部分も保護されるため、塗装は建物の耐久性を高める手段の一つです。耐久性が高いと、目地のメンテナンス期間を伸ばせます。
目地の劣化を放置すると隙間から雨水が侵入し、雨漏りや建物内部の腐食の原因となります。
デメリット1:永遠に再塗装し続ける必要がある
タイル外壁を塗装すると、塗装の劣化が生じる10年前後でメンテナンスをし続けなければなりません。タイルは経年劣化がほとんどない外壁材なので、塗装するとメンテナンスの手間が増えます。
また、タイル外壁は耐久性が高い代わりに、サイディングの2倍近くの初期費用がかかります。塗装を行えばメンテナンスの維持費も上乗せされるため、費用面の負担も増えることがデメリットです。
デメリット2:タイル特有のデザインが失われる場合がある
タイルは耐用年数が高く高価な外壁材ですが、タイル特有のデザインが生み出す高級感も特徴の一つです。種類も豊富で、モダンなデザインやスタイリッシュなデザイン、クラシックやナチュラルと、独特な風格が人気です。
しかし、塗装すると質感や印象が変わり、タイルの良さが失われる恐れがあります。外観の高級感やスタイリッシュさや、タイル特有の風格を好んでいる人は、タイル外壁の塗装はおすすめできません。
デメリット3:塗装してもタイルの欠けやひび割れ補修にはならない
タイル外壁の塗装は、色褪せやデザインチェンジに有効ですが、タイル自体の欠けやひび割れの補修はできません。塗装は外壁を保護するために行うもので、欠損を補修するために行うものではないからです。
もしタイル外壁に欠けやひび割れを見つけたら、専門業者に連絡して欠損箇所の補修工事を依頼しましょう。欠損箇所が少なければ、部分的なタイルの張り替えで対応できます。
タイルの欠けやひび割れを放置すると、隙間から水が侵入し雨漏りの原因になります。
タイルの塗装費用はいくら?相場価格は80〜200万円
30坪の一軒家のタイル塗装にかかる費用は、およそ80万〜200万円ほどです。価格に幅があるのは塗料の種類ごとに価格が違うからです。
下記で塗料の種類と塗料費用の節約について解説します。
塗装費用は塗料の種類によって価格差がある
塗装費用は塗料の種類によって変わります。具体的な価格相場は下記を参考にしてください。
画像
また、塗料ごとに価格が違うのは耐用年数と特徴が違うためです。下記が各塗料の耐用年数と特徴なので参考にしてください。
種類 | 耐用年数 | 特徴 |
---|---|---|
アクリル系塗料 | 4〜7年 | 低価格で発色が良いが、耐久性が低い |
ウレタン系塗料 | 8〜10年 | 木材でも金属でも塗装できる |
シリコン系塗料 | 10〜15年 | 売れ筋の塗料なので商品数が多いが、その分価格幅が広い |
ラジカル系塗料 | 12〜17年 | 耐用年数が長く、低汚染機能を備えている商品が多い |
フッ素系塗料 | 15〜20年 | 公共の建物にも多く使われており、綺麗さが長持ちする |
無機系塗料 | 20年〜25年 | 耐用年数が長いが、目地などほかの部分のメンテナンスサイクルと合わせられない |
タイルの塗装費用を節約するなら相見積もりが有効
タイルの塗装費用を節約するのであれば、必ず相見積もりをとって比較しましょう。タイルの塗装は施工が難しく価格の幅が広いので、安くて安心して任せられる業者を選ぶことが大切です。
そのほかの節約方法は下記を参考にしてください。
塗装費用の節約方法
- 自治体で住宅リフォームの支援があれば、支給される助成金を利用する
- 塗装会社のキャンペーンを利用する
- 安い塗料を使う
- 仲介手数料がかからない、地域密着型の業者に依頼する
- 火災保険を利用する
相見積もりは時間と手間を考慮して2〜3社に依頼するのがおすすめです。
相見積もりのメリットとは?
相見積もりを取れば、工事内容や金額が適切かどうか判断できます。相場価格もわかるので、無駄な出費を抑えたい人におすすめです。
また、全てが出揃うまで比較検討できるのも相見積もりのメリット。自分にとって一番合う業者を選べます。
相見積もりについてはこちらで詳しく解説しています。
タイルを塗装するときの【3つの】ポイント
タイルを塗装するときに気をつけたいポイントが3つあります。美しい外壁を維持するために、ぜひ参考にしてください。
タイルを塗装するときの注意点
- 剥がれを防ぐためにタイル用塗料を選ぶ
- タイルのデザインを保つならクリア塗料を使用する
- DIYではなく、専門業者に依頼する
剥がれを防ぐためにタイル用塗料を選ぶ
タイル外壁を塗装するときは、タイル用の塗料を選ぶようにしましょう。下地になる外壁材と塗料の相性が悪いと剥がれやすくなります。
塗料を選ぶときは適用下地にタイルが含まれているか必ず確認しましょう。適用下地の確認は、各メーカーのカタログなどでできます。
メーカーのカタログで適用下地を確認できない場合は、塗装業者に確認しましょう。
タイルのデザインを保つならクリア塗装がおすすめ
タイル本来のデザインを残したまま塗装するなら、クリア塗料がおすすめです。クリア塗料は艶だし効果があるだけでなく、経年劣化が起きても目立ちにくいメリットがあります。
メーカーによっては防水機能や撥水機能を備えているクリア塗料もあるので、塗料の性能は事前に業者に確認しましょう。
経年劣化が目立たないと劣化の進行に気づかない恐れがあるので注意しましょう。
DIY塗装はNG! 優良業者に施工を依頼する
タイルは施工が難しい外壁材なので、部分的な塗装であってもDIYはおすすめできません。下塗り材や塗料選びの難易度が高く、優良業者の施工でなければすぐに剥がれる恐れがあります。
また、DIYでの塗装は外観の美観を損ねやすく、 DIYした後に専門業者に再塗装を依頼するケースも。高所作業は落下の危険性もあるので、必ず優良業者に依頼しましょう。
優良業者はどうやって見つけるの?
優良業者を選ぶには、相見積もりをとって相場を比較しつつ、担当者の適切な対応と施工実績を確認する必要があります。
反対に、悪徳業者は利益を重視する業者です。相場価格より料金が大幅に上がっていたり、人件費を削減して手抜き工事をしたりするので、絶対に避けなければなりません。
悪徳業者についてはこちらで詳しく解説しています。
タイルの塗装以外のメンテナンス方法
タイル自体は高耐久でも、外壁全体を考えるとメンテナンスフリーとはなりません。タイルを貼り付けるための接着剤や目地は劣化するので、メンテナンスが必要です。
下記で塗装以外のメンテナンス方法について解説するので、どのメンテナンス方法が良いか症状別で確認してください。
メンテナンス方法 | 劣化症状 |
---|---|
外壁の洗浄 | 汚れ・コケ落とし |
タイルの交換 | 欠け・破損・浮き |
下地モルタルの補修 | 腐食・割れ |
シーリング・目地の補修 | ひび割れ・亀裂・剥がれ |
外壁の洗浄【汚れ・コケ落とし】
タイルに付着する排気ガスの汚れやコケ・藻などは、定期的に洗浄しましょう。タイルは親水性機能があり、汚れが浮いた状態で付着するため、簡単な洗浄で綺麗になります。
また、タイルは吸水性が低く、硬い素材でカビやコケが内部まで侵入しにくいので、根を張りにくい性質があります。定期的に洗浄すれば汚れは残りにくいので、美観を保つために外壁の掃除を怠らないようにしましょう。
汚れがひどい場合は、高圧洗浄しても問題ありません。タイル外壁は硬度が高いので、高圧洗浄しても傷つきにくい性質があります。
汚れが広範囲に及ぶ場合や2階以上の高所作業の場合は専門業者に依頼しましょう。
タイルの交換【欠け・破損・浮き】
タイルの欠けや破損・浮きを確認したら、専門業者にタイルの交換を依頼しましょう。これらの症状を放置すると隙間から水が侵入し、雨漏りやタイルの剥落を引き起こす恐れがあり危険です。
また、一部分のみのタイル交換だとしても、補修作業は専門業者に依頼しましょう。タイル外壁は施工が難しく、下地補修から行う場合がほとんどです。素人が行うと外観の美観を損ね、耐久性も低くなる恐れがあります。
下地モルタルの補修【湿式工法で必要】
タイル外壁の施工はサイディングにタイルを貼る「乾式工法」が基本ですが、モルタル下地にタイルを貼る「湿式工法」で施工している場合は、モルタルの劣化の補修を行いましょう。
下地のモルタルが劣化すると伸縮への追従性がなくなり、目地のひび割れやタイルの剥がれを引き起こします。モルタルの補修方法については下記を参考にしてください。
劣化症状 | 補修方法 |
---|---|
ヒビ割れ程度の軽度の症状 | エポキシ樹脂で隙間を塞ぐモルタルの打ち増し |
タイルの浮きなどの重度の症状 | 内部補修を行うピンニング工法 |
乾式工法の場合、下地のボードが腐食しない限り、下地補修は必要ありません。
シーリング・目地の補修【ひび割れ・亀裂・剥がれ】
タイルとタイルの繋ぎ目であるシーリングや目地は定期的なメンテナンスが必要です。シーリングの一般的な耐用年数は10年なので、10年前後で劣化具合を確認しましょう。
補修方法はシーリングの打ち増し、もしくは打ち替えです。それぞれの特徴については下記を参考にしてください。
項目 | 工法 | 相場価格 | 特徴 |
---|---|---|---|
打ち増し | 既存シーリングの上に充填する | 約500~900円/m | 使用するシーリング材が少ないので価格を抑えられるが、耐用年数が短い |
打ち替え | 既存のシーリングを撤去し、新しいシーリングを充填する | 約900~1,200円/m(シーリング撤去費用が別でかかります) | 工事価格は高くなるが、耐用年数が長く、防水性や柔軟性が復活する |
タイル外壁塗装の良くある質問
タイル外壁のよくある質問をまとめました。タイル外壁についてまだ不安がある人はぜひ参考にしてください。
-
タイルは塗装が不要ですか?
-
タイルに塗装は基本的に不要ですが、下記のようなメリットがあります。
・クリア塗装で艶出しできる
・外壁のデザインチェンジができる
・タイルや目地を保護できる
-
タイルは再塗装やメンテナンスが不要ですか?
-
タイルを塗装した場合、塗料の耐用年数によって再塗装が必要です。タイル自体は劣化しにくい外壁材ですが、塗膜は経年劣化するので定期的なメンテナンスが必要になります。
-
タイルは他の外壁材と比べて維持費が安いですか?
-
タイルは無機質の外壁材で劣化しにくいため、塗装しなければ他の外壁材と比べて維持費は安くなります。しかし、塗装するとメンテナンスが必要なので、維持費は他の外壁材と大差ありません。
タイルの外壁塗装まとめ
タイルは高耐久でメンテナンスの手間がほとんどかからない外壁材ですが、塗装すると外壁を保護できたり、デザインチェンジできたりするメリットがあります。
その一方で下記のようなデメリットも生じます。
タイルを塗装するデメリット
- 永遠に再塗装し続ける必要がある
- タイル特有のデザインが失われる恐れがある
- 塗装してもタイルのひび割れや欠けの補修にはならない
また、タイルを塗装するときは下記3つに注意しましょう。
タイルを塗装する注意点
- 剥がれを防ぐためにタイル用塗料を選ぶ
- デザインを保ちたいときはクリア塗料を使用する
- DIYではなく優良業者に施工を依頼する
タイルを塗装したら定期的にメンテナンスを行い、外観の美観を維持しましょう。