人気の外壁材であるタイル調サイディング。タイル調サイディングとは、窯業系サイディングの一種になります。軽量かつ高級感あふれる仕上がりで、なおかつ安価で施工できることが魅力の外壁材です。
そんなタイル調サイディングにリフォームしたいという方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、タイル調サイディングの特徴やメリット・デメリット、費用相場を徹底解説します。
この記事でわかること
- タイル調サイディングの特徴
- タイル調サイディングのメリット・デメリット
- タイル調サイディングの費用相場
- おすすめのタイル調サイディング
タイル調サイディングとは?
タイル調サイディングは窯業系サイディングの一種になります。
サイディング外壁には窯業系、金属系、木質系、樹脂系の4種類がありますが、窯業系サイディングはデザイン性が高いことが特徴です。
タイル調をはじめ、レンガ柄、石積柄、木目柄、ライン柄、塗り壁調など、さまざまな柄や模様が販売されています。そのうえ比較的安価なため、外壁シェア率80%を占めています。
タイル調サイディングは、その名のとおりタイルのようなデザインになっており、おしゃれな外観に仕上がるとして人気がある外壁材です。
タイル調サイディングの4つのメリット
タイル調サイディングには、以下4つのメリットがあります。
タイル調サイディングのメリット
- 初期費用が安くデザイン性が高い
- 施工が容易なため業者を選ばない
- 本物のタイルよりも軽量で耐震性に優れている
- 耐火等級最高レベルを誇る耐火性を持っている
1.初期費用が安くデザイン性が高い
タイル調サイディングは、初期費用が安いうえにデザイン性が高いことが大きなメリットです。
費用相場は3,000円~8,000円/㎡となっており、本物のタイル(13,000~30,000/㎡)よりも圧倒的に安く施工できます。
また、色や柄の種類が豊富なため、ラグジュアリーな雰囲気にしたり、モダンな雰囲気にしたりと、デザイン性の高い外壁にできるのも魅力の一つです。
デザイン性の高いサイディング外壁に仕上げるコツはこちらの記事で詳しく解説しています。
>>おしゃれなサイディング外壁を作るコツは?建物実例【37選】つき
2.施工が容易なため業者を選ばない
タイル調サイディングはタイル外壁や塗り壁と比べて施工が安易なため、業者を選びません。サイディングボードを外壁の大きさに合わせてカットし、胴縁と呼ばれる下地に留め付けていくだけです。
張り替えなら既存外壁を撤去し、必要に応じて下地材や断熱材を交換。その上に胴縁を取り付け、サイディングボードを釘や金具を使って留め付けていきます。
重ね張り(カバー工法)の場合は既存外壁の上に胴縁を取り付けて、サイディングボードを釘や金具を使って留め付けていきます。
施工方法が一定なため、ほとんどの業者で対応していることが特徴です。また、工程もそれほど複雑ではないため、人件費もおさえられます。
サイディングボードの留め付け方法は2種類
サイディングボードの留め付け方法は「釘打ち」と「金具留め」の2種類があります。
釘打ちは厚さ14mmのサイディングボードを胴縁に直接釘で打ち付ける工法。サッシ周りなども釘打ちで対応します。
金具留めは厚さ15mm以上のサイディングボードに用いられる工法です。ステンレス製の金具を胴縁に釘で固定して、固定した金具に引っかけるようにサイディングボードを張ります。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
>>サイディングの金具留め施工方法って何?メリットや注意点まで徹底解説
3.本物のタイルよりも軽量で耐震性に優れている
タイル調サイディングは本物のタイルよりも軽量な作りで、耐震性に優れているのがメリットです。
本物のタイルの重量は1㎡あたり約25~30㎏なのに対し、タイル調サイディング(16mmの場合)の重量は1㎡あたり約17.5kgと非常に軽いです。
外壁材は軽量であればあるほど、地震などの揺れに強くなります。また、タイル調サイディングの隙間に埋め込まれているコーキングには緩衝材の役割があり、外壁にかかる負担や衝撃を軽減してくれます。
実際に1995年に発生した阪神淡路大震災では、窯業系サイディングを採用していた住宅の約86%がほとんど無傷でした。(※)
本物のタイルは重いため、地震が発生したときに建物全体に負荷がかかりやすくなります。
4.耐火等級最高レベルを誇る耐火性を持っている
タイル調サイディングは、耐火等級4の最高レベルを誇る耐火性を持っています。
耐火等級とは火災時の安全を表す指標で、「住宅がどの程度火に耐えられるのか」を表しており、延焼するおそれのある部分がどれくらいの時間火災に耐えられるかを示すものです。
耐火等級 | 火災を遮る時間 |
---|---|
耐火等級4 | 60分相当 |
耐火等級3 | 45分相当 |
耐火等級2 | 20分相当 |
耐火等級1 | その他(ただし消防法の定める性能を満たす) |
タイル調サイディングは耐火等級の中でも最高レベルなため、万が一、火災が起きても被害を最小限におさえてくれるでしょう。
タイル調サイディングの3つデメリット
タイル調サイディングには、以下3つのデメリットがあります。
タイル調サイディングのデメリット
- メンテナンス時にサイディングを塗り分けすることが難しい
- タイル調サイディング自体に防水性がなく耐久性が低い
- 定期的にメンテナンスする必要があるため維持コストがかかる
1.メンテナンス時にサイディングを塗り分けすることが難しい
タイル調サイディングは、メンテナンス時にサイディングを塗り分けすることが難しいというデメリットがあります。決して塗り分け(2色塗り)ができないというわけではありませんが、非常に手間がかかるため技術力を要します。
タイル調サイディングの塗り分け(2色塗り)の手順は以下のとおりです。
タイル調サイディングの塗り分け(2色塗り)の手順
1.シーラーで下塗りをする
2.目地と同じ色の塗料で中塗り、上塗りをする
3.毛丈の短いローラーで目地を汚さないようにタイル部分のみ塗装する
技術力が必要がゆえに塗り分け(2色塗り)に対応していない業者も存在するため、塗り分け(2色塗り)を希望する場合は実績の有無を確認してから依頼するようにしましょう。
2色塗りしたタイル調サイディングのメンテナンスをするときは、高い技術を持った優良業者を選ぶことが大切です。
メンテナンスにはクリア塗装もおすすめ
タイル調サイディングのメンテナンスをおこなうとき、タイル調の雰囲気を残すためにクリア塗装でメンテナンスをする方法もあります。クリア塗装とは、無色透明の塗料を外壁に塗装する方法です。既存のタイル調デザインを生かしながら、外観の美しさや耐久性を向上させられます。
クリア塗装については、こちらの記事で詳しく解説しています。
>>外壁をクリア塗装するメリット・デメリット|クリア塗装できない外壁や費用相場、おすすめ塗料も紹介
2.タイル調サイディング自体に防水性がなく耐久性が低い
タイル調サイディング自体には防水性がなく、表面に塗装を施すことによって防水性を高めています。
しかし、長年、雨風や紫外線にさらされると表面の塗料が劣化。それにともない防水性が低下し、耐久性が衰えます。そのため、定期的に塗装メンテナンスが必要です。
塗装メンテナンスを怠るとサイディングが雨水を吸収し、外壁内部の湿度が上昇。躯体の腐食やシロアリが発生する恐れがあるため、10年に一度を目安に外壁塗装をおこないましょう。
3.定期的にメンテナンスする必要があるため維持コストがかかる
タイル調サイディングは定期的なメンテナンスが必要になるため、維持コストがかかります。
コーキングや外壁塗装のメンテナンスが必要になるほか、耐用年数が30年ほどのため、寿命を迎えたら重ね張り(カバー工法)や張り替えといったリフォームを検討しなければいけません。
初期費用が安い分、維持コストがかかることを頭に留めておきましょう。
タイル調サイディングにリフォームする方法と費用相場
タイル調サイディングにリフォームする場合、「重ね張り(カバー工法)」と「張り替え」の2つの方法があります。
1.重ね張り(カバー工法)
重ね張りは、既存の外壁の上から新たにタイル調サイディングを重ねて張る方法です。カバー工法とも呼ばれています。
既存外壁を撤去しないため、リフォーム費用が安く済むことが大きなメリットです。重ね張りをおこなう場合の費用相場は、30坪住宅で160万~240万円になります。
ただし、重ね張りは外壁の重量が重くなるため、既存外壁に合わせて張り付けるサイディングが限られてきます。
2.張り替え
張り替えは、既存の外壁を撤去し、新たにサイディングを貼り付ける方法です。
既存の外壁を撤去するときに下地の補修もおこなえるうえに新しいサイディングを張り付けるため、外壁の耐久性が高くなり、見た目も美しくなります。
既存の外壁を撤去する作業があるため重ね張りよりも費用は高くなり、30坪住宅で180万~260万円ほどかかります。
タイル調サイディングのメンテナンス方法と費用相場
タイル調サイディングのメンテナンス方法は、「コーキングの打ち替え・増し打ち」と「外壁塗装」の2つに分けられます。
1.コーキングの打ち替え・増し打ち
コーキングは外壁の隙間を埋めるもので、気密性や防水性を高めるために施されます。コーキングのメンテナンスは、「打ち替え」と「増し打ち」の2つの方法があります。
打ち替えは古いコーキングを取り除き、新しいコーキングを施工する方法です。打ち替えの費用相場は、900円~1,500円/㎡となっています。
対して増し打ちは、既存のコーキングの上から新しいコーキングを施工する方法です。増し打ちの費用相場は、500円~1,100円/㎡ほどになります。
コーキングに以下のような症状が見られたら、打ち替えまたは増し打ちのタイミングです。
コーキングのメンテナンスサイン
- コーキングの厚みが薄くなってきている
- コーキングにひびが入っている
- コーキングに隙間ができている
- コーキングに亀裂が入っている
- コーキングが欠落している
上記のような症状が見られたら、なるべく早めにコーキングのメンテナンスをおこないましょう。
サイディングのひび割れについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
>>サイディングがひび割れる理由は?補修方法や費用相場、放置リスクを徹底解説
2.外壁塗装
タイル調サイディングは、約10年ほどで外壁塗装が必要とされています。タイル調サイディングに外壁塗装をする場合、費用相場は30坪住宅で80万~100万円ほど、40坪住宅で100万~120万円です。
また、以下のような症状が見られた場合は外壁塗装のタイミングです。
外壁塗装のメンテナンスサイン
- 外壁が白い粉を吹いている
- 外壁がひび割れている
- 外壁にカビやコケが生えている
- 外壁が変色している
上記のような症状が見られたら、なるべく早めに外壁塗装のメンテナンスをおこないましょう。
コーキングと外壁塗装のメンテナンスは、同時におこなうことをおすすめします。なぜなら、別々でメンテナンスすると足場費用が2回分かかるからです。メンテナンス費用をおさえるためにも、外壁塗装のついでにコーキング補修もおこないましょう。
おすすめのタイル調サイディング3選
ここからは、おすすめのタイル調サイディング3選をご紹介します。今回おすすめしたいのは、以下3つのサイディングです。
おすすめのタイル調サイディング
- ニチハ「プレミアムシリーズ」
- ケイミュー「ドロワタイル」
- 旭トステム「AT-WALL」
1.ニチハ「プレミアムシリーズ」
ニチハのプレミアムシリーズは、高級感のあるデザインが魅力のタイル調サイディングです。
ニチハ「プレミアムシリーズ」の特徴
- 塗膜の変色や褪色を30年保証
- 超高耐候塗料「プラチアコート30」を使用
- 雨で汚れを落とす「セルフクリーニング機能」
- 環境に優しい「オフセットサイディング」
プレミアムシリーズは、超高耐候塗料のプラチナコート30を採用しており、美しさが40年以上続く外壁材です。プラチナコート30は色あせやひび割れ、紫外線に強く、メンテナンスコストを圧倒的に減らしてくれるのが大きな魅力です。
長期間美しさを保てることから、塗膜の変色や褪色への30年保証に対応しています。
また、プレミアムシリーズは雨が降るたびにきれいになるセルフクリーニング機能の「マイクロガード」も大きな特徴です。マイクロガードは、雨と一緒に汚れを洗い流してくれるため、きれいな外壁を長期間維持できます。
さらに、ニチハでは外壁材に「オフセットサイディング」を使用しています。オフセットサイディングとは、国産のスギやヒノキといった木材チップを原料にした外壁材のことです。
国産の木材を伐採して使うことで、そこに新たな木が植えられ、若い木がCO2を吸収して地球温暖化対策につながります。ニチハのオフセットサイディングにするだけで、環境問題への貢献もできます。
2.ケイミュー「ドロワタイル」
ケイミューのドロワタイルは、タイルの焼きムラのある風合いを表現したタイル調サイディングです。
ケイミュー「ドロワタイル」の特徴
- 雨で汚れを落とす撥水機能コート付き
- 地震・結露・火事に強い
- 高い断熱性と遮音性
ケイミューのドロワタイルは、雨が降ることで汚れを流してくれて、長期間綺麗な外壁を保てるのが大きな特徴です。ドロワタイルの表層は水になじみやすい親水基で覆われており、雨が降ると親水基と汚れの間に雨水が入って、外壁に付着した汚れが浮き上がる仕組みになっています。
ケイミューの外壁材は、軽量設計のため地震に強いことも魅力です。耐火等級3に対応しており、家を火災からも守ってくれます。
3.旭トステム「AT-WALL」
旭トステムのAT-WALLは、さまざまな風合いや柄のタイル調サイディングがそろったシリーズです。種類豊富なデザインの中から、お好みのタイル調サイディングが見つかるでしょう。
旭トステム「AT-WALL」の特徴
- 色あせしにくい
- 紫外線に強い
- 塗膜の変色・褪色30年保証
- 親水機能によるセルフクリーニング
- シーリングレス工法
AT-WALLは、独自の塗料「セルフッ素コート・EXE30」「セルフッ素コート・EXE」「セルフッ素コート・PLUS」を採用し、色あせしにくい外壁を実現。強力な紫外線からも外壁を守ってくれるため、紫外線による劣化を長期間にわたり防いでくれます。
独自塗料による耐久性の高さから、塗膜の変色・褪色30年保証にも対応。また、親水機能によって雨で汚れを落とすセルフクリーニング機能や、シーリングレス工法の採用で継ぎ目のないなめらかで美しい外壁も大きな魅力です。
タイル調サイディングでよくある質問と回答
ここからは、タイル調サイディングでよくある質問にお答えしていきます。
-
既存外壁がサイディングでなくてもリフォームでタイル調サイディングに変更できますか?
-
可能です。既存の外壁がサイディングでなくても、重ね張り工法と張り替え工法のどちらかでリフォームできます。
-
タイル調サイディングを一色塗りするとどんな仕上がりになりますか?
-
タイル調サイディングを一色塗りしても、見た目の美しさは変わりません。目地と表面で自然な陰影が出せます。
-
タイル調サイディングと外壁タイルの違いは何ですか?
-
外壁タイルは石や土、粘土などを高温で焼き上げた本物のタイルの外壁材です。一方タイル調サイディングは、窯業系サイディングをタイルの風合いに仕上げた外壁材を指します。
サイディングとタイルの違いについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
サイディングとタイルを徹底比較!特徴や価格、メリット・デメリットを解説
タイル調サイディングのまとめ
タイル調サイディングには、以下のようなメリットがあります。
タイル調サイディングのメリット
- 初期費用が安くデザイン性が高い
- 施工が容易なため業者を選ばない
- 本物のタイルよりも軽量で耐震性に優れている
- 耐火等級最高レベルを誇る耐火性を持っている
また、外壁リフォームでタイル調サイディングにする場合、以下2つの工法から外壁の状態に合った施工方法を選びます。
タイル調サイディングの施工方法
- 重ね張り(カバー工法)
- 張り替え
タイル調サイディングは、リーズナブルでありながらデザイン性や機能性が高い外壁材です。外壁リフォームでタイル調サイディングを検討している方は、お好みのデザインのタイル調サイディングを見つけて、家の外観をさらにおしゃれにしてみてはいかがでしょうか。