外壁塗装の業者選びにおいて相見積もりは必須です。しかし、やみくもに業者を選んで相見積もりをおこなうと悪徳業者に依頼してしまい、トラブルや施工不良の原因に繋がるリスクが上がります。
この記事では優良業者に依頼するためにおこなうべき相見積もりのポイントについて解説します。
この記事の押さえるべきポイント
- 相見積もりは工事の妥当性や検討する時間の確保のために必要
- 工期や予算など条件の条件をそろえて2~3社に相見積もりをする
- 相見積もりする際に現地調査での対応方法や保証内容を見て優良業者かどうか判断する
- 近隣の人やネットの口コミを参考に業者探しをする
外壁塗装の相見積もりをとるべき3つの理由
相見積もりをとるべき理由
- 工事内容や金額が適切か判断できる
- 見積もりが揃うまでじっくり検討できる
- ライフプランを考慮して業者を選べる
相見積もりで金額や工事内容を比較できれば納得のいく仕上がりが期待できます。
工事内容や金額が適切か判断できる
工事内容や金額が適切かどうか判断するには見積もりを比較することがおすすめです。
一社のみの見積もりでは工事内容や費用の相場を把握できませんが、複数社の見積もりを比較すると相場からかけ離れた費用や不要な工事内容にも気付けます。
見積もりが出揃うまでじっくり検討できる
相見積もりをすれば「全ての業者の見積もりが出揃うまで待ってて欲しい」と言えるので、考える時間が確保できます。
相見積もりは、業者を見極める時間を作る役割を果たします。
建物やライフプランに合った業者を選べる
相見積もりをすれば、塗料や工法・着工時期などの選択肢が増えるため、建物やライフプランに合った業者に依頼が可能です。
外壁塗装の耐用年数は、使用する塗料や工法によってさまざまです。そのため、外壁塗装はプランによって次のメンテナンス期が変わります。子供の大学進学と重ならないかなど、ライフプランを考慮して選択することが大切です。
外壁塗装の相見積もりで注意すべき4ポイント
相見積もりで注意すべきポイント
- 同じ条件で見積もり依頼を行う
- 相見積もりは2〜3社に依頼する
- 工事依頼するつもりの業者に依頼する
- 相見積もりをしていることを伝える
上記のポイントを押さえるだけで相見積もりがスムーズにできるので、ぜひ実施してください。
同じ条件で見積もり依頼を行う
バラバラの条件で見積もり依頼をすると、比較対象が合わないため金額や内容が適切か判断できません。相見積もり依頼する際は、相場を把握するために同じ条件で見積もり依頼しましょう。
同じにする条件
- 予算
- 塗装範囲
- 塗料
- 工期
また、「使いたい塗料がある」「必ず補修してほしい部分や劣化が気になる場所」はしっかり業者に伝えましょう。
外壁塗装を依頼する目的を明確にして、条件を洗い出したうえで相見積もりを依頼しましょう。
相見積もりを依頼する業者は2〜3社がおすすめ
相見積もりを依頼する業者は依頼する業者が多すぎると、現地調査の立ち合いや業者の比較検討に手間がかかるため、2〜3社がおすすめです。
見積もり算出に必要な現地調査は自宅の敷地内で行います。現地調査には1時間程度かかるので、業者数が多いとストレスになりやすいです。また見積もりの比較検討にも手間取ったり、業者との連絡に追われたりします。
業者との多くのやりとりが精神的な負担にならないために、相見積もりは2〜3社程度にしておきましょう。
工事するつもりのない見積もり依頼はマナー違反!
相見積もりは、工事を依頼する候補にあがっている業者のみに依頼しましょう。
以下の理由で相見積もりを依頼するのはマナー違反です。
マナー違反にあたる見積もりを依頼する理由
- 本命業者の値引き交渉の材料にするため
- 本命業者の金額の妥当性を把握するため
相見積もりであることを伝えるのはOK
業者に見積もり依頼をする際に「他の業者と比較検討している」と伝えるのは問題ありません。
相見積もりであることを伝えて良い理由
- 相見積もり自体はマナー違反ではない
- 業者の競争心理が働く
- 期限を待ってもらう理由になる
相見積もりをしている事実を伝えれば、業者は他の業者に取られないように、良い条件を提示する可能性があります。
ただし、相見積もりの内容を見せるのはマナー違反です。もしも「他の業者はどうでしたか」と聞かれた際は、費用の総額をざっくり伝える程度にしましょう。
外壁塗装の相見積もりで比較すべき6項目
相見積もりを数社から取った後、必ずチェックすべき6項目は以下のとおりです。
相見積もりで比較すべき項目
- 依頼内容が含まれているか
- 工事金額の総額
- 項目ごとの金額
- 塗料の種類
- 塗装箇所・面積
- 塗り回数
- 塗装以外の項目
契約後に追加料金が発生しないように、希望する工程や塗装範囲を明確にしてからチェックしましょう。
工事金額の総額を比較する
工事金額の総額を比較して、ご自身の外壁塗装の相場観を把握してください。一般的な外壁塗装の工事金額の相場は面積ごとに異なります。(建坪が増えると外壁の面積も増える)
坪数 | 費用相場 |
---|---|
20坪 | 60~80万円 |
30坪 | 80~100万円 |
40坪 | 100~120万円 |
相場より明らかに高い業者は依頼しない方が良い?
相場よりも明らかに異なる見積もり額を提示する業者は、悪徳業者の恐れがあるため注意が必要です。
高すぎる場合は費用のかさまし、安すぎる場合は塗料を薄めたり人件費を削って品質の低い施工をする恐れがあります。悪徳業者については、こちらの記事で詳しく解説しています。
項目ごとの金額も必ず確認する
足場代や塗料代など必要な工事が入っているか確認した上で、項目ごとの価格を比較しましょう。
必要な工事の金額を項目ごとにまとめました。
工事内容 | 1㎡あたりの費用 |
---|---|
足場代 | 700円~1000円 |
飛散防止ネット | 100円~200円 |
高圧洗浄 | 150円~300円 |
コーキング | 500円~1,000円 |
軒天の塗装 | 1,100円~1,400円 |
破傷板の塗装 | 600円~800円 |
雨どいの塗装 | 700円~1,000円 |
雨戸の塗装 | 2,000円~5,000円 |
下地補修 | 600円~1,000円 |
諸経費 | 全体の5%程度の金額 |
使用する塗料の種類やグレードを確認する
使用する塗料の種類によって料金や耐用年数は異なります。
塗料 | 1㎡あたりの費用 | 耐用年数 |
---|---|---|
アクリル塗料 | 1,200~1,800円 | 5年~7年 |
ウレタン塗料 | 1,800~2,200円 | 8年~10年 |
シリコン塗料 | 2,500~3,200円 | 10年~15年 |
ラジカル塗料 | 2,500~3,000円 | 12年~15年 |
フッ素塗料 | 3,500~4,500円 | 15年~20年 |
光触媒塗料 | 3,500~5,500円 | 15年~20年 |
無機塗料 | 4,500~5,500円 | 20年~25年 |
塗料の料金や耐用年数と、次のメンテナンス期を照らし合わせて適切な塗料を選びましょう。
塗装箇所・面積を確認する
必要な塗装箇所はすべて入っているか、不要な範囲が含まれていないか確認してください。費用の計算がわからない場合は業者に確認しましょう。
必要な塗装箇所は木部と金属部で分かれます。
木部塗装 | 金属部塗装 |
---|---|
破風板 | 屋根の雨押え |
軒天 | 水切り |
帯板(幕板) | ダクトフード |
縁側 | 霧よけ(ひさし) |
木製窓枠 | 雨戸 |
木製の面格子など | 戸袋など |
窓は塗装不要です。基礎部分の塗装が必須ではないため、塗装しないケースがあります。また雨戸がないのに見積もりに入っているなど、自宅にない部品の項目が計上されていないかの確認も必要です。
塗装方法や塗りの回数を確認する
塗装は下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りが基本です。ローラー塗装や吹き付け塗装など、塗装方法により価格は変化します。また極端に費用が安い場合は、塗料メーカーが指定している塗り回数よりも少ない恐れがあるので必ず確認しましょう。
しかし、塗料によっては2回で良い場合があるため、使用する塗料の塗布回数を調べてみましょう。
塗料の必要な塗布回数は、インターネットで塗料の商品名を検索すれば確認できます。
塗装以外の必要項目に漏れがないか確認する
以下の項目が記載されているか確認しましょう。
塗装以外の必須項目
- 足場
- 飛散防止ネット
- ケレン作業
- 高圧洗浄
- 養生
- 現場管理費
- 廃材処理費
- 機材移動・脱着費
塗装以外の必須項目が漏れていると、契約後に追加料金を請求される恐れがあるため注意が必要です。
相見積もりで大失敗! 後悔しがちな4パターン
外壁塗装の相見積もりでありがちな失敗・後悔事例は4パターンあります。
相見積もりでありがちな失敗事例
- 業者の提案内容に差があり比較できなかった
- 断ってもしつこく連絡がきた
- 他社の見積もりを見せてしまった
- 相見積もりを取りすぎた
事前に失敗事例を把握して、相見積もりに関するトラブルを避けることが大切です。
業者の提案内容に差があり比較できなかった
塗料や工事の条件などの内容に差があり、結局どの業者が良いのか分からなくなるのが、よくある失敗事例です。
見積もり内容を比較させるため、以下の項目は共通して業者に伝えましょう。
共通させる提案内容
- 予算
- 施工箇所
- 使用する塗料
- 外せない条件
決めきれない場合は、コストパフォーマンスを重視した場合と耐用年数を重視した場合など、複数パターンを作成してもらう方法もあります。
断ってもしつこく連絡がきた
相見積もりの結果、契約に至らなかった業者からしつこく連絡が来る事例があります。
優良業者であれば、相見積もりの結果契約を断っても、受け入れてくれる一方、中々食い下がらない業者は、依頼者の意向を尊重しない悪徳業者の可能性があるため毅然とした態度で断りましょう。
あまりにもしつこい場合「生活消費センターか警察に相談する」と言えば諦める業者がほとんどです。
他社の見積もりを見せてしまった
他社の見積もりを見せるのは、作成した業者に対して不利な状況になります。
業者が設定している単価や価格が知られると、今後営業するにあたって支障が出る恐れがあるため、他者の見積もり金額を聞かれたらざっくりと伝える程度にしましょう。
また、見積もりは業者の資料で、個人名が書かれていることもあります。個人情報保護の観点からも、見積もり資料を見せることはおすすめしません。
他社の見積もりを見た業者が、本当はもっと値引きできるものの、あえて同じ金額を提示する可能性があります。お得に外壁塗装を依頼するためにも、他社の見積もり資料は見せないようにしましょう。
相見積もりを取りすぎて対応に苦労
相見積もりは2〜3社程度におさえておきましょう。相見積もりを取りすぎて対応に苦労するケースの具体例は以下のとおりです。
苦労する対応の例
- 見積もりチェック
- 打ち合わせ
- 断りの連絡
また、多くの業者とやりとりをしていると、打ち合わせ日程の抜け漏れや、現地調査のダブルブッキングをするリスクが高まります。くわえて、現地調査のために何度も面識のない人が自分の敷地に入ることをストレスに感じる方もいます。
外壁塗装の相見積もりをとる業者の探し方
相見積もりの段階で優良業者を数社選ぶことで、より納得できる外壁塗装につながります。自分に合った外壁塗装業者の探し方を見つけましょう。
業者の探し方の例
- 地元で外壁塗装業者を聞く
- 近隣の住民に話を聞く
- ネット検索する
- 一括見積サイトを利用する
地元で評判の良い外壁塗装業者を聞く
地元で評判の良い外壁塗装業者を調査してみましょう。地元の外壁塗装業者は、地域の方と繋がりがあり評判を把握しやすいため情報収集も手間がかかりません。
地元の外壁塗装業者に依頼するメリット
- 中間マージンがなく価格を抑えられる
- 業者の評判を地域の方に聞きやすい
- 地域環境にあった塗料を選んでくれる
- 緊急事態の際すぐに家に到着できる
- 塗装したあともいろいろ相談できる
ネットやチラシ、新聞をチェックしたりすれば情報収集できますが、優良業者だけでなく悪徳業者がいる場合もあるので注意しましょう。
近隣で外壁塗装した住民に話を聞く
近隣で外壁塗装をした住宅があれば、その住民から業者の話を聞く方法もおすすめです。インターネットやSNSなどは匿名で不確定な情報が多いですが、近隣の住民からの情報は出所がはっきりしているため確実性に期待できます。
質問する際、選んだ業者以外に聞くべきポイントは以下のとおり。
質問するポイント
- 他に比較した業者
- 依頼した業者の決め手となった理由
- アフター体制
聞いた内容と自分の希望を照らし合わせて、話題に上がった業者を検討してみましょう。
ネット検索を活用する
悪徳業者を避けるためにはネット検索を活用して、口コミを確認しましょう。悪徳業者の場合、実際に施工した人の評判が良くない可能性が大いにあるからです。
ネット上は偏った主観や悪意ある口コミの掲載もあるので、正しさを判断するためには複数の口コミを確認しましょう。
口コミの母数が多いサイトの方が、多くの方が利用している証明になるため信頼性が高いです。
ネットの一括見積もりは慎重に
名前や連絡先などの簡単な情報を入力すれば、外壁塗装の紹介をしてもらえる一括見積サイトがあります。
一括見積もりサイトは無料で利用でき、紹介された業者と必ず契約する必要がないため気軽に利用できます。
ただし、以下の注意点を把握したうえでおこなわなければなりません。
一括見積サイトの注意点
- 業者から電話やメールの連絡が何度もくる
- 正確な見積価格は提示されない
外壁塗装の相見積もりで信頼できる業者を見極める6つのポイント
どの業者に相見積もりを依頼すべきか見極めるためのポイントは6つあります。
業者を見極めるポイント
- 施工実績があるか
- 事前調査は丁寧か
- 大幅な値引きがないか
- その場で契約を迫らないか
- 保証は充実しているか
- 瑕疵担保保険に加入しているか
具体的な施工実績や事例が豊富にある
具体的な施工実績や事例が豊富にある業者は、経験が多くあるため信用できます。施工実績や事例は、ホームページの「お客様の声」「施工実績」と記載されてます。
各項目に文章だけでなく写真が掲載されていると実際に工事している証拠になり、信用できます。
ホームページがない場合は「実際の施工した外壁の写真を見せて欲しい」とお願いしましょう。
事前の現地調査を丁寧に行っている
見積もりを作成する際の事前の現地調査を丁寧におこなう業者に依頼しましょう。時間をかけて正確な診断・見積もり作成をすれば追加料金の発生などのリスクを避けられます。
丁寧な現地調査の具体例
- 最低でも60分はかけて調査をおこなう
- 写真や報告書を制作して調査結果を報告してくれる
- 依頼者の質問に分かりやすく答える
見積もり提出後に大幅な値引きをしない
見積もりを作成した後に「今キャンペーン期間中なので費用を安くします」といって10万円以上の値引きをする業者は注意が必要です。材料費や人件費を削って、低品質な工事を施工する恐れがあります。
低品質な工事の例
- 塗料を薄めて使用する
- 若い職人に丸投げして人件費を削減する
- 塗布前の清掃作業を怠る
- 塗装回数を減らす
そもそも値引きを見込んだ見積もりを出して、あたかも大幅に割引きしたかのように見せる手口があるため注意してください。
その場で契約を迫る業者は断る
「外壁の状態がとても悪いから、今すぐ契約して工事を始めないと取り返しのつかないことになる」といって契約を急がせる業者は断りましょう。依頼者に不安を煽り、正常な判断をさせずに契約させる手法を試みる業者は悪徳業者である場合があります。
まずは契約を断って、相見積もりの結果からじっくりと考えて業者選びをしましょう。
クーリングオフや具体的な保証内容の記載がある
契約書に保証内容とクーリングオフが書かれているか確認しましょう。
外壁塗装の保証は業者によって異なるので、直接聞いて確認しましょう。保証がない場合、再塗装が必要になった際に別の業者を探す必要があります。
クーリングオフとは?
クーリングオフとは契約から8日以内であれば解約可能となる制度で、特定取引商法によって規定されています。契約書にクーリングオフについて記載していない業者は悪徳業者の恐れがあるため、必ず確認しましょう。
瑕疵担保保険に加入しているか確認する
業者が瑕疵担保保険に加入していると、万が一のトラブルになった際もスムーズに改修できます。瑕疵担保保険とは、塗装後の不備を補修するための保険金が業者に支払われる保険です。塗装業者が倒産していても保証されます。
また瑕疵担保保険の加入には審査が必要なので、保険機関からある程度の技術が保障されていることになります。加入されている業者かは以下のサイトから確認することができます。
>>住宅瑕疵担保責任保険協会
外壁塗装の相見積もりでよくある質問と回答
-
相見積もり後契約しない場合の断り方を教えてください
-
他社と契約したら、なるべく早くメールか電話で断りましょう。その際に費用面や工期など、理由を添えると相手も納得します。
-
もらった見積もりを他社に見せても良いですか?
-
許可なく見積もりを他社に見せると個人情報の流出などのトラブルに発展する恐れがあります。見積もりを受け取った段階で、他社に見せてもいいか事前に許可を取っておきましょう。
外壁塗装相見積もりのまとめ
外壁塗装の相見積もりを適切におこなえば、自分のライフプランに合った外壁塗装業者に依頼できます。
相見積もりをする際のポイントは以下のとおり。
相見積もりのポイント
- 工期や予算など条件の条件をそろえて2~3社に相見積もりをする
- 相見積もりする際に現地調査での対応方法や保証内容を見て優良業者かどうか判断する
- 近隣の人やネットの口コミを参考に業者探しをする
適切な相見積もりをとって、信頼できる業者に外壁塗装を依頼しましょう。