外壁の塗り替え時に便利なカラーシミュレーション。外観のイメージを湧かせるために利用したいものの、やり方がわからず困っている人もいるのではないでしょうか。
今回は、カラーシミュレーションを利用するときのポイントやカラーシミュレーションができるサイト・アプリについて解説します。
外壁塗装を検討している人や、塗り替えでカラーシミュレーションを利用したいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
おさえておくべきこと
- カラーシミュレーションはほとんどが無料でできる
- モニターによって色味が変動しやすい
- カラーシミュレーションで色味を確認したら、必ず塗料の質も確認する
- 実際に使用する塗料でカラーシミュレーションしたほうがよい
カラーシミュレーションのメリット・デメリット
事前に外観の完成図をイメージしやすい点や、複数の色や塗料が試せる点が、カラーシュミレーションをおこなうメリットといえます。
すでに色が決まっているのであれば色の濃淡を、まったく色が決まってない場合はさまざまな色を試すことができます。一色ではなくツートンカラーにしたい場合も色の相性を確かめるのに便利です。
ただし、使用するパソコンやスマートフォンの画素数によって、若干実物と色味が異なる場合があります。外壁の色味は、塗料や外壁材によって発色や質感が異なるため、カラーシュミレーションだけを頼りにすると完成時に違和感を感じることも……。
また、カラーシミュレーションは自宅の色味しか見られないので、周囲の景観とのバランスが取れません。近隣の家と極端に異なる色味の外壁にすると、地域のことを考えていないとクレームがきて、関係性が悪化する恐れがあります。
実際に施工するときはカラーシュミレーションだけでなく、サンプル板も使って色味を確認しましょう。サンプル板は業者に頼めば用意してくれます。
外壁のカラーシミュレーションで大切な3つのポイント
外壁塗装でカラーシミュレーションを使うときに、大切にしたいポイントは下記の3つです。
大切なポイント
- 塗装したい塗料でカラーシミュレーションできるか確認する
- 屋根や雨樋など詳細にカラーシミュレーションできるか確認する
- イメージしやすいよう建物タイプが選べるものを使う
塗装したい塗料でカラーシミュレーションできるか確認する
実際に外壁塗装する塗料で外壁のカラーシミュレーションができるか確認しましょう。採用を検討している塗料であれば、完成したときの色味とシミュレーションの相違が少ないからです。
使用する塗料でカラーシミュレーションできない場合は想定した色にならず、トラブルに発展する恐れがあります。実際に使用できる塗料かどうかわからない場合は、施工業者に確認しましょう。
屋根や雨樋など詳細にカラーシミュレーションできるか確認する
外壁だけイメージの色に仕上げても、屋根や雨樋などと色味が合わなければチグハグしてしまいます。そのため、細かな部分までカラーシュミレーションできるか確認しましょう。全体のバランスを見ながらシミュレーションすると、精度の高いイメージができます。
また、ツートンカラーにしたい場合も同様です。細かな設定ができるとデザインの幅が広がるので、まだ具体的なデザインが決まっていない人も細かな設定ができるカラーシミュレーションを使用することをおすすめします。
イメージしやすいよう建物タイプが選べるものを使う
完成がイメージしやすいように、建物タイプが選べるカラーシュミレーションを使用しましょう。サイトによって選べる建物タイプは異なりますが、下記のような建物タイプが選べるのが一般的です。
建物タイプの例
- 洋風、切妻屋根
- 洋風、陸屋根
- 洋風、寄棟屋根
- 和風、切妻屋根
- 和風、寄棟屋根
- 洋風モダン
- 和風モダン
- 3階建て住宅
外壁のカラーシミュレーションができるサイト・アプリ
外壁のカラーシミュレーションができるサイトやアプリを4つ紹介します。カラーシミュレーションは塗料メーカーのサイトでできる場合が多く、それぞれに特徴があります。同じカラーシミュレーションでもできることが違うので、自分に合うサイトで試してみてください。
サイト・アプリ | 特徴 |
---|---|
エスケー化研塗り替えシミュレーション | 建物タイプが豊富で詳細設定ができる |
スズカファインi Color Paint | 撮影した写真にそのまま色づけできる |
日本ペイントHANA COLLECTION | 8つの花をテーマにした塗装を提案してくれる |
関西ペイントスマートカラー | おすすめの配色を提案してくれる |
エスケー化研住塗り替えシミュレーション
エスケー化研の塗り替えシミュレーションは、集合住宅を含めると19個もの建物タイプから自宅に近い形状を選べます。ツートンカラーや屋根、雨樋、付帯部、玄関ドアなどそれぞれ違う色を選択でき、全体のバランスを見られるのが特徴です。
色味もエスケー化研の製品番号が表示されているので、気に入った色はそのまま使用できます。選択できる幅が広いため、外壁塗装のシミュレーションを存分に楽しめるサイトです。
スズカファインi Color Paint
スズカファインi Color Paintは、iPad専用のアプリです。iPadで撮影した自宅写真にそのまま色付けできるので、完成がイメージしやすいつくりになっています。
詳細設定も可能。登録されている色は700色もあり、iPadで完成したシミュレーションをメールで送れたり、印刷したりできるため、業者に要望をそのまま伝えられるのも魅力の一つです。
アプリの使用に慣れていない人は、公式サイトにアクセスすると動画でやり方を教えてくれます。
日本ペイントHANA COLLECTION
日本ペイントHANA COLLECTIONは、8つの花の色をテーマにした塗装を提案してくれるサイトです。それぞれに施工事例もあるのでイメージが湧きやすく、配色を決めるのが苦手な人やデザインが決まっていない人におすすめのサイトです。
カラーシミュレーションでも決められない人は「ハナコマイスター」という色彩と塗料の専門アドバイザーに相談もできます。
HANA COLLECTIONの特徴的な塗料
HANA COLLECTION専用の塗料にはバラの香りの芳香がつけられており、塗料臭が目立ちません。耐久性に優れ、防藻・防かび機能もある使用しやすい塗料が人気です。
関西ペイントスマートカラー
関西ペイントスマートカラーは、おすすめの組み合わせを提案してくれるサイトです。建物タイプを選んだ後に6つのスタイルから希望のスタイルを選択すると、おすすめの配色が画面に表示されます。
気になる部分は色を変更できるので、配色の基盤がある状態から修正を加えていくシミュレーション形式です。色を変えられる部分も細かく、自分好みの外壁が簡単につくれます。外壁塗装に詳しくない人や、初めて塗り替えをする人におすすめのサイトです。
外壁のカラーシミュレーションに+αしたいアイデア
外壁のカラーシミュレーションをしたら、より理想に近づけるためにできることは下記です。
カラーシミュレーションに+αしたいアイデア
- 塗料の色見本を使用する
- サンプル板を使用する
- 塗装した実物件を見学する
- 景観ガイドラインを確認する
色の確認方法はカラーシミュレーションだけではないので、失敗を防ぐために下記を参考にしてください。
塗料の色見本を使用する
外壁塗装では、一般的に実際の塗料を塗った色見本で色の確認ができます。カラーシミュレーションはモニターによって見え方が変わるため、配色を決めたら必ず色見本で確認するようにしましょう。
色見本で確認をするとき、迷った色があれば全て確認するのがおすすめです。カラーシミュレーションでは薄いグレーがいいと思ったけど、色見本を見たら少し濃いグレーのほうがよかった、ということもあります。
ただし、色見本は小さい面積に色が塗られており、目の錯覚により実際外壁に塗装したときより濃く見えるため注意が必要です。
蛍光灯と太陽光では見え方が変わるので、必ず外に出て色味を確認しましょう。
サンプル板を使用する
上記で紹介した色見本とは異なり、実際に塗装したサンプル板を使用するのも一つの方法です。サンプル板とは、A4サイズほどの大きさの色見本のこと。実際に外壁に当ててみて色味や雰囲気を確認できます。
サンプル板は色見本よりも大きいため、実際の仕上がりに近いイメージを掴めます。また、色見本と同様に蛍光灯と太陽光では見え方が変わるため、必ず屋外で確認しましょう。朝・昼・夜の3回確認することで、より完成に近いイメージが掴めます。
塗装した実物件を見学する
依頼する外壁塗装業者が過去に行った塗装工事で、自分が塗りたい色と同じ色がある場合は見学に行きましょう。近隣で外壁塗装した物件がないか聞くと教えてくれる場合があります。
実際に見て色味を確認できれば、カラーシミュレーションで選んだ色と完成が違ったという相違が生まれません。最も理想の色に仕上がる方法です。
景観ガイドラインを確認する
外壁の色は地域によって制限されている場合があるので、事前に自分が住んでいる地域に色彩に関する景観ガイドラインがないか確認しましょう。例えば京都では、色によって彩度に制限があったり、白い建具の使用が認められていません。
景観ガイドラインとは
景観ガイドラインとは景観に配慮し、良好な景観を作るための指針です。歴史的建造物が近くにある地域や、自然が豊かな地域、街並みに統一感のある地域は景観ガイドラインが細かく設定されている場合があるため、必ず確認しましょう。
外壁のカラーシミュレーションで起きやすいトラブル
外壁のカラーシミュレーションを行うとき、注意しておきたい点は下記の4つです。
カラーシミュレーションで起きやすいトラブル
- カラーシミュレーションと実物の色が違う
- 希望の色を業者にうまく伝えられず、理想の仕上がりにならなかった
- 色ばかり気になり耐用年数を見落としていた
- 外壁の立体感はシミュレーションで表現しにくい
どれもカラーシミュレーションで起きやすいトラブルの事例なので、使用する前に確認してください。
カラーシミュレーションと実物の色が違う
カラーシミュレーションは、モニターによって実際の塗料と色味が異なる場合があります。パソコンやスマホ画面、印刷によって色が変動するため、実際に完成した外壁を見てトラブルに発展しやすいです。
カラーシミュレーションはあくまで参考イメージとして取り入れるようにしましょう。色味のトラブルを回避するためには、下記のような対策が効果的です。
色味のトラブル回避対策
- 色見本やサンプル板の使用
- 理想に近い色の家を見にいく
- 塗装業者に実際の色味について尋ねる
- シミュレーションシートを業者にも渡しておく
希望の色を業者にうまく伝えられず、理想の仕上がりにならなかった
外壁塗装の色を決める際「今の色より薄く」や「真っ黒」など、抽象的な表現は禁物です。思っていた色味と違うとトラブルになりかねません。色見本やカラーコードなど、間違いなく同じ色であると施主と業者が確認できる方法で色の選択をおこないましょう。
施主が理想の外壁塗装色を指定した場合、業者は近似色を探し色見本を作成します。お互いが考える色にズレがないか、確認しながら外壁塗装の色を決めると良いです。
色ばかり気になり耐用年数を見落としていた
カラーシミュレーションは配色しか選べないので、塗料の質を見落としがちです。塗料にはさまざまな種類があり、特徴や耐用年数が変わります。
どんなに気に入った色であっても耐用年数が短ければすぐに塗り替えが必要です。手間も費用も増えてしまうため、塗料選びも慎重に行いましょう。
外壁塗装の塗料の種類については下記の記事で詳しく解説しています。
>>外壁塗装の塗料8種類|価格や耐用年数、メリット・デメリットを解説
外壁の立体感はシミュレーションで表現しにくい
自宅の外壁に凹凸や模様などの立体感がある場合、カラーシミュレーションと印象が異なる場合があります。カラーシミュレーションはあくまで色味や配色を決めるものなので、模様まで考慮することはできません。
選んだ色によっては模様が見えにくくなったり、凹凸部分が濃く見えて美観を損ねる恐れがあるため注意が必要です。
自宅の外壁に特徴的な立体感がある場合は事前に塗装業者に相談し、仕上がりイメージを共有しておきましょう。
外壁のカラーシミュレーションでよくある質問と回答
外壁のカラーシミュレーションでよくある質問をまとめました。カラーシミュレーションの使用にまだ疑問がある人はぜひ参考にしてください。
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カラーシミュレーションをすることを業者にも伝えるべきですか?
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必ず伝える必要はありませんが、スムーズな打ち合わせのために伝えておくのがおすすめです。事前に伝えておくと使っている塗料メーカーのサイトを教えてくれたり、完成イメージに相違が生まれにくくなります。
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カラーシミュレーションと実際の仕上がりが違った場合、手直ししてもらえますか?
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若干の色味の違いは出てしまうので、理想と違ったとしても手直しをしてもらうのは難しいです。色味に関するトラブルを回避するためには、シミュレーションシートを業者にも渡しておくなどの対策がおすすめです。ただし、オーダーと異なる塗料やカラーを塗られた場合は施工不良にあたるため、業者に掛け合えば対応してくれます。
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カラーシミュレーションで使いたい色が決まらなかった場合どうしたら良いですか?
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1つのサイトにこだわらず、複数のサイトで色を探しましょう。サイトによって使用する塗料や色のバリエーションが異なるため、気に入った色が見つからなかった場合は他のサイトでのシミュレーションがおすすめです。
外壁のカラーシミュレーションのまとめ
自宅の外壁に最適な塗装をするために必要なカラーシミュレーションですが、使用するときに大切なポイントが3つあります。
カラーシミュレーションのポイント
- カラーシミュレーションできる塗料か確認する
- 詳細にカラーシミュレーションできるか確認する
- 建物タイプが選べるとイメージしやすい
また、下記のようにカラーシミュレーションを使用することで起こってしまうトラブルがあります。
カラーシミュレーションによるトラブル例
- カラーシミュレーションと実際の色が違う
- 希望の色を業者にうまく伝えられず、理想の仕上がりにならなかった
- 色ばかり気にして耐用年数を見落としていた
- 外壁の立体感はカラーシミュレーションで表現しにくい
カラーシミュレーションは塗り替え時に大変便利なツールなので、注意点を確認しつつ有効活用しましょう。