
外壁の色あせやひび割れを見て見ぬふりをしていませんか?住む分には問題ないからとメンテナンスを先延ばしにしている方もいるかもしれませんが、外壁の劣化をそのまま放置するのは危険です。
なぜなら、外壁材が傷むだけでなく、外壁内部まで雨水が入り込んでカビやシロアリが発生したり躯体が腐食したりするからです。
外壁内部が劣化すると補修や塗装では対応できません。建物の強度も低下してしまい、最悪の場合、建物が倒壊する恐れがあります。
そこでこの記事では、外壁塗装のリフォームの種類と費用相場、塗料の耐用年数を紹介します。リフォームが必要なサインも紹介するので、自宅の外壁に同じ症状がないかを確認してください。
この記事でわかること
- 外壁の劣化が部分的であれば、部分補修をおこなう
- 外壁の劣化が広範囲に及ぶ場合は、全体的に外壁塗装をおこなう
- 部分補修や外壁塗装で補えない劣化がある場合は、外壁材を一新する
- 外壁塗装の耐用年数は使用する塗料により変わる
外壁塗装のリフォームの種類と費用相場
外壁塗装のリフォームには以下の2種類あります。
外壁塗装のリフォームの種類
- 部分補修:不具合や劣化症状がある部分のみを補修する
- 外壁塗装:外壁全体の劣化を補修し塗装する
劣化範囲が部分的であれば部分補修で対応できますが、外壁全体が劣化している場合は外壁塗装が必要です。この章では、外壁塗装のリフォームの種類と費用相場について詳しく紹介します。
1.部分補修

部分補修とは、劣化している箇所だけを補修する工事のこと。部分補修の工事内容は主に以下の2つです。
部分補修の工事内容
- ひび割れ補修
- シーリング補修
ひび割れに関しては、幅0.3mm未満のヘアークラックであれば補修の必要はありません。しかし、幅0.3mm以上の構造クラックの場合は補修が必要です。
構造クラックは、ひび割れ箇所をパテ(補修材)で埋めたのち塗装します。費用相場は20,000円/箇所です。

ヘアークラックは塗膜の防水性が低下しているサイン。外壁塗装を検討しましょう。構造クラックよりも緊急性は低いですが、放置しているとひび割れが大きくなります。
また、シーリングにひび割れや剥がれ、痩せなどの症状がある場合は、シーリング補修が必要です。シーリング補修には以下の2種類あり、劣化度合いにより工法が異なります。
工法 | 工事内容 | 費用目安 |
---|---|---|
増し打ち | 既存シーリングの上から新しいシーリングを充填する | 500~1,100円/m |
打ち替え | 既存シーリングを撤去してから新しいシーリングを充填する | 900~1,500円/m |
基本的にシーリング補修は強度が増す「打ち替え」がおすすめです。ですが、ひび割れがなく、サイディングの厚さが15mm以上あれば増し打ちで対応するケースもあります。
増し打ちは古いシーリングを撤去する手間がなく、打ち替えと比べて使用するシーリング材の量も少ないため、工期が短く費用が安く済みます。ただし、古いシーリングを撤去しないため、想定する耐用年数よりも早く劣化する可能性があり、耐久性は期待できません。
打ち替えは古いシーリングを撤去する手間があるため増し打ちよりも費用がかかりますが、劣化症状を根本から解決できるため耐久性が向上します。
外壁のひび割れやシーリングの劣化を放置することで雨漏りを起こす危険性があります。雨漏りは躯体を腐食させたりカビやシロアリを発生させたりするため注意が必要です。建物を長持ちさせるには適切な補修をおこない、雨漏りさせないことが大切です。
2.外壁塗装

外壁塗装は、塗膜の劣化や劣化症状が広範囲に及ぶ場合におこなう工事です。外壁塗装が必要な劣化症状は後述しますが、塗膜には寿命があるため定期的な塗り替えが必要です。
外壁塗装には以下の3つの工法があります。
工法 | 工事内容 |
---|---|
吹き付け工法 | スプレーガンで塗料を吹き付ける |
ローラー工法 | ローラーを転がして塗装する |
手塗り | 左官職人が刷毛やコテを使い手作業で塗る |
塗料の種類や工法によって異なりますが、一般的な外壁塗装の費用相場は6,000~10,000円/㎡ほどです。
塗料の機能性を十分に発揮させるため、下塗り、中塗り、上塗りの3度塗りが基本です。塗装前には外壁洗浄やひび割れ補修などをおこなうため、耐久性が高まるだけでなく新築同様の輝きが取り戻せます。

外壁塗装は部分補修と違い、外壁全体をメンテナンスできます。
塗料ごとの費用相場と耐用年数
塗り替え時期は塗料の種類によって変わり、耐用年数が長いほど費用も高い傾向にあります。塗料の費用相場や耐用年数は以下のとおりです。
塗料 | 費用相場 | 耐用年数 |
---|---|---|
アクリル | 1,200~1,800円/㎡ | 4~7年 |
ウレタン | 1,800~2,200円/㎡ | 8~10年 |
シリコン | 2,500~3,200円/㎡ | 10~15年 |
ラジカル | 2,500~3,200円/㎡ | 12~17年 |
フッ素 | 3,500~5,500円/㎡ | 15~20年 |
無機 | 4,500~5,500円/㎡ | 20~25年 |
耐用年数は目安となり、建物の立地や環境条件により異なります。塩害や台風の多い地域、日の当たりやすい南面などは劣化の進行が早いです。そのため、次に紹介する劣化症状が見られた際は外壁塗装を検討しましょう。
どんなときに外壁塗装のリフォームが必要?
外壁塗装のリフォームが必要となる劣化症状と対応方法は以下のとおりです。
劣化症状 | リフォーム方法 |
---|---|
シーリングが痩せたりひび割れたりしている | シーリング補修 |
外壁が色あせている | 外壁塗装 |
外壁を手で触ると白い粉が付く | 外壁塗装 |
外壁がひび割れている | 部分補修または外壁塗装 |
外壁塗装は雨風や紫外線にさらされることで徐々に機能性を失います。汚れが付いたり色あせたりして見た目が悪くなるだけでなく、外壁材の損傷や建物の耐久性低下につながるため注意しましょう。
1.シーリングが痩せたりひび割れたりしているとき

シーリングが痩せたりひび割れたりしているときは、早めにシーリング補修をおこないましょう。これらの劣化症状はシーリングの寿命を意味するからです。
シーリングは経年による劣化のほか、可塑剤という成分が紫外線の影響や目地の動きによって滲み出し、徐々に硬くなることで痩せやひび割れといった症状を起こします。
シーリングは外壁同士の隙間を埋めて雨水の侵入を防ぐだけでなくクッションの役割もあり、外壁材同士がぶつかって割れることを防いでいます。シーリングの劣化は雨漏りや外壁材の破損につながるため、劣化を放置するのは危険です。
シーリングの耐用年数は5~10年ほどです。劣化症状が見られたら早めに補修をおこないましょう。
2.外壁が色あせているとき
外壁が色あせているときは、外壁塗装をおこないましょう。塗膜の防水性が低下している可能性があります。
外壁が色あせる原因は塗膜の経年劣化です。主に紫外線にさらされることで劣化し、さらに塗料の成分が分解することにより色あせが起こります。また、風や雨、酸性雨なども外壁が色あせる要因です。
色あせは外観を損なうだけでなく、外壁材を傷めるリスクもあります。外壁は防水性がなければ汚れがつきやすく雨水も染み込みやすくなるため、注意しましょう。
外壁塗装をおこなうことで見た目がきれいになるだけでなく、外壁の防水性も向上して建物が長持ちします。

色あせしやすい色は、赤や黄色、紫です。一方、白や黒、グレー、ベージュは色あせしにくいといわれています。
3.外壁を手で触ると白い粉が付くとき

外壁を手で触ると白い粉が付くときは、外壁塗装を検討しましょう。これは「チョーキング現象」と呼ばれ、手に着く粉の色は外壁の色によって白じゃない場合もあります。
前述した色あせ同様、塗膜の経年劣化による症状のひとつであり、塗料の成分である顔料が分離し表面に浮き出ることで起こります。
チョーキング現象が起きたからといってすぐに外壁材がダメージを受けるわけではありませんが、防水性が低下しているサインであるため放置するのはやめましょう。カビやコケ、藻などの発生や、ひび割れを起こし雨漏りの原因となるからです。
ただし、チョーキング現象を抑制するラジカル塗料や顔料が使用されていない透明色のクリア塗料は、チョーキング現象が起こりにくいです。
4.外壁がひび割れているとき

外壁がひび割れているときは、ひび割れ補修または外壁塗装をおこないましょう。ひび割れの大きさにより対応方法は異なります。
ひび割れの大きさ | 対応方法 |
---|---|
幅0.3mm以下 | 外壁塗装 |
幅0.3mm以上 | ひび割れ補修または外壁塗装 |
幅0.3mm以下のヘアークラックは急を要するひび割れではありませんが、外壁塗装を検討しましょう。塗膜の防水性が低下しています。
幅0.3mm以上の構造クラックは、早急にひび割れ補修または外壁塗装が必要です。構造クラックは外壁内部に雨水が入り込み、雨漏りを起こす可能性が高いです。雨漏りが起こると建物の耐久性や強度が低下し、最悪の場合、大規模な修繕や建て替え、取り壊しをしなければなりません。
ヘアークラックであっても放置せずに外壁塗装をして、被害拡大を防ぎましょう。
外壁塗装で補えない劣化がある場合どんなリフォームが必要?
外壁塗装で補えない劣化がある場合は、以下のいずれかの方法で外壁材を一新する必要があります。
外壁材を一新する方法
- 重ね張り(カバー工法)
- 外壁交換(張り替え)
- 一部外壁交換(一部張り替え)
1.重ね張り(カバー工法)

重ね張り(カバー工法)は、傷んだ外壁材をそのまま残して上から新しい外壁材を張る工事です。
重ね張りの費用相場は10,000~20,000円/㎡。既存外壁材の撤去・処分代が不要なため、外壁交換よりも費用は安価です。しかし、下地や防水シートなどの劣化状態は確認できず、補修もできません。
そのため、下地や防水シート、外壁内部の劣化が予想される場合は、重ね張り(カバー工法)は適さないと覚えておきましょう。
外壁材が二重になることで防音性や断熱性が向上しますが、重量が増すため耐震性が低下します。重ね張りする際は金属製などの軽い外壁材がおすすめです。
下地や防水シート、外壁内部の劣化を確認したい場合は、剥がし検査を受けると良いでしょう。サイディングの剥がし検査については下記の記事で詳しく解説しています。
>>【写真付き】サイディングで剥がし検査すべき劣化症状は?メリット・費用・実例まで徹底解説
2.外壁交換(張り替え)

外壁交換(張り替え)は、傷んだ外壁材を撤去して新しい外壁材を張る工事です。
外壁交換の費用相場は15,000~30,000円/㎡。既存外壁を撤去・処分するため、重ね張りより費用は高くなります。
外壁材だけでなく傷んだ下地や防水シートなども同時に補修できるといったメリットがあり、劣化症状を根本から解決できるため、建物の耐久性や強度が向上します。
そのため、下地や防水シート、外壁内部の劣化が進行している場合は外壁交換がおすすめです。
サイディングの外壁交換(張り替え)については下記の記事で詳しく解説しています。
>>サイディングの張り替えは必要?費用からタイミングまで徹底解説

既存外壁材にアスベストが含まれている場合は、アスベストの処分費用が別途必要になります。
3.一部外壁交換(一部張り替え)
一部外壁交換(一部張り替え)は、劣化している箇所の外壁材を撤去し、新しい外壁材を張る工事です。外壁の部分的なひび割れや反り、剥がれといった症状に対応可能です。
一部外壁交換の費用相場は15,000~30,000円/㎡。既存の外壁材を撤去するため、張り替える箇所のみ下地の補修ができます。
しかし、下地の補修が部分的にしかできないため、外壁全体の劣化を根本的に改善することは難しいでしょう。
また、既存外壁材の生産が終了されており手に入らないケースが多いため、デザインがつぎはぎになる可能性が高くなります。
外壁塗装のリフォーム【事例2選】
外壁塗装のリフォーム事例を2つ紹介します。下地の劣化状態により工事内容が変わっています。外壁リフォームの参考にしてください。
1.M様邸:関西ペイント アレスダイナミックトップ


外壁塗装の施工事例です。使用した塗料は塗膜の劣化を抑制するラジカル制御型で、紫外線に強いことが特徴です。3回目の外壁塗装になりますが、全体的に問題がなかったため外壁塗装のみで輝きを取り戻しました。
塗料 | 関西ペイント「アレスダイナミックトップ」 |
施工面積 | 130㎡ |
工事費用 | 約80万円 ※足場代を含まず |
今回の住宅の外壁は窯業系サイディングを採用しており、10~15年に一度の頻度で外壁塗装をおこなうことが推奨されています。
しかし、窯業系サイディングの耐用年数は30年ほど。3回目の塗装となると旧塗膜が完全に除去できず、上から塗装しても剥がれてしまう可能性があります。
今回は外壁・屋根共に大きな劣化が見られなかったため外壁塗装にてリフォームしましたが、本来なら窯業系サイディングの寿命を迎える頃です。
外壁塗装をする際は、劣化具合のほかにも外壁材の耐用年数を考慮したうえでリフォームをおこないましょう。
2.F様邸:ニチハ 14mm/関西ペイント アレスダイナミックトップ


外壁の剥がれや高い水分量が測定されたため、外壁交換(張り替え)と外壁塗装をおこなった施工事例です。外壁材を一新し、紫外線に強いラジカル制御型の塗料を使用し塗装をおこないました。
既存とは違う色を選んだため、イメージがガラッと変わっています。また、バルコニーの柱は腐食していたため、交換と補強をおこないました。
サイディング | ニチハ 14mm |
塗料 | 関西ペイント「アレスダイナミックトップ」 |
工事費用 | 約100万円 ※足場代含まず |
外壁には塗膜劣化を示すチョーキング現象が見られ、バルコニー側の外壁は剥がれていました。また、外壁材に含まれる水分の割合を調査したところ、全体的に60~70%と高い測定値が出ています。北東や南東面の角部(出隅)や浮きがあった浴室側の外壁も高い数値でした。
外壁の含水率が50%以上は異常を示す数値とされており、外壁塗装はおすすめできません。下地や防水シートの劣化、躯体が腐食している可能性があり、塗装をおこなっても短期間で塗膜が剥がれてしまう恐れがあるからです。
そこでおすすめなのが、剥がし検査です。剥がし検査とは、外壁材の一部を剥がして外壁内部や下地などが劣化していないか確認する検査のこと。含水率が高い箇所は剥がし検査をおこない、劣化症状が見られた際は適切な対処をおこなうことが大切です。
サイディングの剥がし検査については下記の記事で詳しく解説しています。
>>【写真付き】サイディングで剥がし検査すべき劣化症状は?メリット・費用・実例まで徹底解説
外壁塗装リフォームでよくある質問と回答
-
外壁塗装で補助金や助成金は使えますか?
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国や居住地の都道府県・市区町村、地方自治体が補助金・助成金制度を実施している場合は利用できます。ただし、塗料の種類や目的が限定されることがあるため、要件などは必ず確認しましょう。
-
優良業者の見極め方を教えてください。
-
2~3社に見積もりを取り、業者の対応や提案、工事金額、保証などを比較しましょう。1社だけでは提示された金額や工事内容が適正なのか判断できません。見積内容が明確かつ適正価格で、説明が丁寧な業者は優良業者の可能性が高いです。
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外壁塗装リフォームをするならどの塗料がおすすめですか?
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コストパフォーマンスを重視する方にはラジカル塗料がおすすめです。現在主流のシリコン塗料と費用相場は同程度ですが、ラジカル塗料のほうが耐用年数が長いです。高耐久なうえ、チョーキング現象を抑制する効果もあるため、きれいな状態が長続きします。
外壁塗装リフォームのまとめ
外壁は雨風や紫外線から日々住まいを守っています。外壁が劣化するとカビが発生して健康被害を及ぼしたり、躯体が腐食して倒壊したりする危険性があります。経年劣化は避けられないため、劣化症状を見つけたら早めに補修や塗装をおこないましょう。
外壁の劣化度合いと補修方法
- 部分的な劣化は部分補修する
- 全体的な劣化は外壁塗装する
- 外壁塗装で対応できない劣化は外壁材を一新する
劣化が進行してしまうと部分補修や外壁塗装では対応できず、外壁材を新しくするしかありません。また、下地や防水シートの補修は外壁材を剥がす必要があり、劣化が激しいほど大がかりな工事となってリフォームにかかる費用も高くなります。
外壁の劣化は進行する前に対応することが大切です。また、定期的にメンテナンスをおこなっていれば劣化の進行がおさえられるため、建物が長持ちします。