外壁塗装において下地処理は欠かせません。しかし「下地処理って具体的に何をするの?」「下地処理の目的って何?」と疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。
下地処理は塗料の密着性を高めることや仕上がりをきれいにするための工程です。そのため、下地処理を怠ることは施工不良を引き起こす原因につながります。
そこでこの記事では、外壁塗装における下地処理の重要性や施工のタイミング、施工方法、費用相場について詳しく解説します。
下地処理の大切さを知り、質の良い外壁塗装をしてくれる業者に工事を依頼するための参考にしてください。
おさえておくべきこと
- 下地処理とひとことで言っても作業内容はさまざまなものがある
- 塗装面の洗浄や補修、凹凸をならすことが下地処理の主な内容
- 下地処理を怠ると早期の塗膜剥離や雨漏りの原因になる可能性がある
- 塗料を塗ってからでは下地処理が適切に施されているか判断できなくなる
- 下地処理を確実かつ丁寧におこなってくれる業者を見つけるためには相見積もりが必須
外壁塗装における下地処理の重要性
外壁塗装における下地処理とは、塗料の性能や耐久性を最大限に引き出し、美しく仕上げるために不可欠な作業ことです。具体的には以下のような作業をおこないます。
具体的な下地処理の例
- 高圧洗浄(汚れやカビ、苔などを落とす)
- ひび割れの補修(コーキング補修)
- 欠損部の補修(パテ補修やモルタル補修)
- ケレン(さび落としや旧塗膜の除去)など
上記は外壁塗装の品質保持のために決して省いてはいけない下地処理です。そこで、この章では外壁塗装をする前の下地処理を怠ると、具体的にどのような弊害があるのか詳しく解説します。
外壁塗装における下地処理は、料理を作る際の下ごしらえのようなものです。食材の臭みやあく抜きをしたり適切な大きさに切り分けたりとよりおいしく調理するのと同じく、外壁塗装でも下地処理は欠かせない工程になります。
下地処理を省く悪質業者に要注意!
一部の悪質業者は、工期を短縮させるためや手間をかけたくないことを理由に下地処理を省くケースがあります。しかし一度塗料を塗ってしまうと下地は隠れてしまうため、素人では下地処理を省いていることはなかなか見抜けません。
そのため、下地処理を省かずに施工してくれる優良業者を見つけることが重要です。優良業者を見つけるためには、相見積もりをして業者の質を見極めましょう。
外壁塗装の相見積もりについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
>>外壁塗装の相見積もり|賢い業者選びから比較すべきポイントまで徹底解説
下地処理を怠ると塗料の耐久性が落ちる
下地処理は外壁塗装において塗料の耐久性を確保するために極めて重要な工程です。
たとえフッ素や無機といった高耐久性の塗料であっても、下地処理が不十分だとすぐに塗膜の剥がれや膨れが発生し、塗料本来の性能が十分に発揮されません。
例えば、高圧洗浄やケレンを怠ると表面に付着した汚れや土埃、カビ、苔、さび、旧塗膜の剥がれなどが残り、塗料の密着を阻害します。
また、外壁の劣化が著しい場合は補修や下塗り塗料で調整が必要です。劣化が進んだ部分を補修せずに塗装をすると劣化箇所から塗膜が弱り、膨れや剥離につながります。
下地処理を怠ると雨漏りのリスクが高まる
外壁にひび割れが発生している場合は、ひび割れ補修をしなければなりません。下地処理の段階でひび割れ補修を怠ると、たとえ小さなひび割れであっても徐々に拡大していく可能性があります。
また、ひび割れを放置して拡大すると雨水の侵入経路になり、劣化の進行や雨漏りの原因となります。特に、幅が0.3mm以上のひび割れ(構造クラック)はコーキングでの補修が必要です。
外壁がモルタルの場合、細かなひび割れ(ヘアークラック)に対しては弾性塗料を浸透させることで対処が可能です。
外壁のひび割れに関してはこちらの記事で詳しく解説しています。
〉〉外壁のひび割れは補修が必要?症状別の補修方法から費用、原因まで徹底解説【写真付き】
下地処理を怠ると見栄えが悪くなる
下地処理を怠ると、外壁表面の凹凸や塗りむらが目立ち美観性が損なわれます。
例えば、ホコリや古い塗膜などが残っているとそのまま凹凸が浮き出てしまい、塗装の仕上がりに悪影響を与えかねません。
また、同じ建物であっても外壁の位置や劣化状況によって塗料の吸い込み具合が異なります。塗りむらを防ぐためには、下地処理の段階で下塗り材を利用し、塗料の吸い込み具合を均一にならすことが重要です。
下地処理時に使用する下塗り材は、外壁が上塗り用の塗料を吸い込みすぎないように調整する役割があります。
外壁塗装における下地処理のタイミングと方法
外壁塗装の下地処理は以下のタイミングでおこないます。
下地処理のタイミング
- 足場組み立て
- 下地処理
- 養生
- 下塗り・中塗り・上塗り
- 検査・手直し
- 足場解体
下地処理は作業内容によって方法が異なります。そこでこの章では、それぞれの下地処理の方法について解説します。
1.高圧洗浄:水圧で汚れを取り除く
高圧洗浄は下地処理の一番最初の工程であり、外壁塗装の寿命や効果を最大限に引き出すことが目的です。そのためプロの技術と専用機材を用いた高圧洗浄は、外壁塗装の品質向上に不可欠な工程といえます。
高圧洗浄には、ほこりや汚れ、カビ、苔などを取り除く役割があります。また高圧洗浄の水圧を活かして、外壁から剥がれやすくなった旧塗膜を効果的に剥離することも可能です。
また、カビや苔がひどい場合は、専用の薬剤を併用して洗浄するバイオ洗浄をおこなうことで徹底的な清掃が可能です。これにより、外壁表面が清潔かつ平滑になり塗料の密着性が向上します。
外壁塗装の下地処理に使用する高圧洗浄機の威力は家庭用の高圧洗浄機とは比較にならないほど強力な水圧があります。
高圧洗浄に関してさらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
〉〉外壁塗装の高圧洗浄は超重要!手順から費用まで徹底解説
2.ケレン:手作業でサビや古い塗料を落とす
ケレンは、錆や古い塗膜を専用の工具で取り除く工程です。
錆は放置すると周囲にも広がり、他の部分に錆び移りを引き起こす可能性があります。また、錆を残したまま塗装をおこなうと新しい塗膜が効果的に付着せず、早期に剥がれるリスクが高まり危険です。
さらに、ケレンには密着力を失った古い塗膜を剥がすことで新しい塗膜を密着させ、均一な仕上がりにする役割もあります。
したがって、ケレンは外壁への塗料の密着を向上させ、塗料本来の耐用年数を確保するために重要な工程となります。
3.コーキング補修:サイディングの目地を補修する
外壁の目地に施されているコーキングは、紫外線や雨風に晒されることで弾力を失い、ひび割れや剥がれが生じます。また、コーキングの劣化を放置すると雨漏りの原因になり、建物内部への浸水や損傷のリスクが高まります。
そのため、外壁塗装の下地処理としてコーキングの打替えは極めて重要な作業です。
サイディングの目地を打替える際は、既存のコーキングをカッターで切り取って完全に撤去してから新しいコーキングを充填します。また、新しいコーキングは充填後3~7日間ほど乾燥をさせてから塗装をする必要があります。
モルタル外壁の目地にもコーキングを充填してから外壁塗装をする必要があります。
サイディングの目地補修に関してはこちらの記事で詳しく解説しています。
〉〉【超重要】サイディングのシーリングは放置NG!補修方法や注意点まで徹底解説
4.セメント補修:モルタル外壁のひび割れを補修する
下地処理の際、外壁のひび割れを補修するためにセメントが使われることがあります。
モルタルはセメントに骨材と水を混ぜて作られています。そのため、セメントによる補修は跡を目立たなくすることができ、見た目をきれいに整えることが可能です。これにより、外壁の外観を美しく保ちつつ補修をおこなえます。
ただし、セメント以外の素材でもひび割れの補修は可能です。例えばコーキングを使用することで、外壁の動きに対応しやすく、再びひび割れが生じにくくなります。
ひび割れの補修に使用する材料は、専門業者に診断してもらったうえで選定しましょう。
5.パテ埋め:タッカーの穴や釘の頭をならす作業
外壁には様々な要因で傷や凹みが生じることがあります。その傷や凹みを下地処理の際にパテで埋める作業がパテ埋めです。
例えば、外壁の軽度な欠けや凹みの補修、サイディングを張る際に使用する釘の頭を隠すためにパテを使用します。凹凸をパテで埋めることで外壁の表面を均一に整え、塗装後の仕上がりがきれいになります。
ただし、パテは劣化が進行した箇所や深刻なひび割れには適していません。劣化している場合は、コーキングやモルタルの使用が適切です。
パテは適材適所での使用が重要であり、外壁の状態に応じて使用することが重要です。
外壁塗装の下地処理にかかる費用相場は?
外壁塗装の下地処理は作業内容によって異なり、費用としてかかるのは主に手間代と材料代になります。作業ごとの費用相場は下記のとおりです。
下地処理 | 相場価格 |
---|---|
高圧洗浄 | 200~300円/㎡ |
高圧洗浄(バイオ洗浄) | 450~850円/㎡ |
コーキングの増し打ち | 500~1,000円/m |
コーキングの打替え | 900~1,500円/m |
ケレン | 500~2,000円/㎡ |
セメント補修 | 1,500~3,000円/m |
パテ埋め | 10,000~50,000円/一式 |
通常の外壁塗装の見積書では、各項目ごとに分けて下地処理の内容を記載します。しかし、業者によっては作業内容をまとめて「下地処理」と一括で記載し、合計金額を一式で提示される場合があります。
その場合、下地処理の内訳を必ず確認するようにしましょう。なぜなら、見積書に記載されていないことを理由に、本来必要な下地処理が省かれてしまう可能性があるからです。
そのため、見積書は細かく丁寧に記載してくれる業者を選ぶようにしましょう。
外壁塗装の下地処理でよくある質問
外壁塗装の下地処理に関するよくある質問をまとめました。下地処理について詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。
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下地処理の費用は見積書に明確に書かれているものなんですか?
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通常であれば下地処理の費用は作業内容ごとに明確に記載します。しかし、業者によっては一式とまとめて表記することがあります。もし明確に記載していない場合は下地処理を省かれてしまう可能性があるため、依頼しないほうがよいでしょう。
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外壁塗装後1年もたたずに塗装が剥がれてきた。再塗装はしてもらえますか?
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工事保証期間内なら再塗装してくれます。そのため、契約前に工事保証が付いているかどうかを必ず確認しましょう。また、口約束ではなく書面で保証書を受け取るようにしてください。口頭だと後から言った言わないのトラブルになる可能性があります。
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きちんと下地処理しているか素人ではわからない。安心して任せられる業者を探す方法はありますか?
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見積書に下地処理の項目がきちんと明記されている、地元での評判が良い、施工前に工事内容を丁寧に説明してくれる、この3点を満たした業者で相見積もりを取ることをおすすめします。相見積もりは3社ほどから取るのが相場です。また、作業工程を写真で残して報告書を提出してくれる業者だと尚よいでしょう。
外壁塗装における下地処理のまとめ
外壁塗装における下地処理は、塗料本来の性能を発揮させるために非常に重要な工程です。また、きれいな仕上がりにするためにも欠かせない工程です。
おさえておくべきこと
- 下地処理は塗料を塗る前に塗装面を整えること
- 下地処理を怠ると早期の塗膜剥離の原因となる
- 高圧洗浄やひび割れ補修など下地処理には様々な種類がある
- 見積書の下地処理の欄が一式でまとまっている際は要注意
下地に塗料をしっかり密着させるためには下地処理が欠かせません。
たとえフッ素や無機などの高級で高性能な塗料を使って外壁塗装をしたとしても、下地処理を怠ってしまうと施工後数年で剥がれや膨れの原因につながります。
そのため、外壁塗装をする際は下地処理を丁寧におこなってくれる業者を選ぶようにしましょう。少なくとも、見積書で下地処理の欄を「一式」とあいまいないな表記にするような業者は避けるべきです。
また、下地処理についてさらに詳しく知りたい方や依頼した業者の下地処理が適切に施されているか不安な方などは、当サイトの専門家へぜひご相談ください。