【2023年10月より施行】外壁塗装でもアスベスト事前調査が必須に！3つの注意点も紹介

2023年10月の法改正により、外壁塗装でもアスベストの事前調査が義務化されました。

しかし、アスベストに関する法改正は知られていないことが多いです。実際に外壁塗装の見積もりを依頼したら、アスベストの事前調査が必要と言われ驚いたという方は多いのではないでしょうか？

そこで本記事では、2023年10月におこなわれたアスベスト事前調査に関する法改正とアスベスト事前調査の必要性、さらにアスベスト含有外壁に対する飛散防止対策について解説します。

これから外壁塗装を検討している方、アスベストについてよくわかっていないという方は、ぜひ本記事でアスベストへの理解を深め、納得のいく外壁塗装をおこないましょう。

そもそもアスベストとは？【飛散したら危険な有害物質】

アスベストとは、天然でできた繊維状の鉱物のことを指します。アスベストは高い耐火性と耐熱性を持っており、酸やアルカリにも強いのが特徴です。さらに加工しやすく丈夫なため、多くの工業製品で使用されていました。

しかし、アスベストは飛散すると危険な有害物質で、人体に悪影響を及ぼします。飛散したアスベストを吸い込むと、アスベストの繊維が肺に入り込み、体内に蓄積されます。アスベスト繊維の体内への蓄積は、呼吸困難などさまざまな障害を引き起こす原因となり得るのです。

アスベストを吸い込むことが原因で起こりうる主な病気は、以下の3つです。

病気	症状
石綿（アスベスト）肺	・肺が繊維化してしまう病気 ・息切れや運動能力の低下・心不全を引き起こす可能性がある ・潜伏期間は20年ほど
肺がん	・肺細胞が物理的な刺激を受けることで起こる ・潜伏期間は15年～40年ほど
悪性中皮腫	・胸膜や腹膜、心膜などにできる悪性腫瘍 ・若年期にアスベストを吸い込むと発症しやすい ・潜伏期間は20年～50年ほど

2023年10月より外壁塗装でもアスベスト事前調査が必須に！

冒頭でもお伝えしたとおり、2023年10月より外壁塗装においてアスベストの有資格者による事前調査が義務化されました。これまでのアスベストに関する法改正は以下のとおりです。

法改正日	詳細
2021年4月	レベル3建材（内装、外装、屋根、床）が規制対象に
2022年4月	発注元と労働基準監督署・自治体に対して調査結果報告が義務化
2023年10月	外壁塗装においても有資格者による事前調査が義務化

2021年4月、レベル3建材である内装・外装・屋根・床がアスベスト規制対象となりました。アスベスト含有の可能性があるレベル3建材を扱う場合、定められた作業基準を厳守しなければなりません。

2022年4月からは、アスベスト事前調査の調査結果報告が義務化されました。アスベスト含有の可能性の有無にかかわらず、すべての建物で事前調査と報告が必要です。

そして2023年10月、外壁塗装においても有資格者によるアスベスト事前調査が必須となりました。また、事前調査の方法も以下のように法改正されています。

2006年以前に建築された建物にはアスベストを使用している可能性がある

2006年以前に建築された建物は、アスベストが使用されている可能性があります。

かつてアスベストは多くの建物で使われていました。しかし、2006年に改正された「労働安全衛生法施行令・石綿障害予防規則」によって、アスベストの使用が禁止になりました。

したがって、2006年以前に建築された建物にはアスベストが使用されている可能性が考えられます。

2006年以前に建築された建物でもアスベストが含まれていない場合はありますが、アスベストの有無を素人が正確に判断するのは非常に難しいです。そのため、専門家に事前調査を依頼する必要があります。

また、アスベスト含有の建材を改修したり解体したりする場合は、アスベストを飛散させないように細かい規定に従って作業しなくてはなりません。そのまま作業してアスベストを飛散させてしまうと、作業者はもちろん、施主や近隣住民の体にも悪影響を及ぼす可能性があるからです。

そのため、外壁塗装を含んだ建物の改修や解体をする際はアスベスト事前調査が必要になります。

外壁塗装におけるアスベスト飛散防止対策について

この章では、外壁塗装において飛散防止対策が必要なケースと不要なケースについて解説します。

アスベスト飛散防止対策が必要な外壁塗装

外壁塗装において、アスベスト飛散防止対策が必要な工事は、以下のとおりです。

アスベスト飛散防止対策が必要な工事	工事内容
外壁の劣化が激しく、高圧洗浄で表面が削れる可能性があるとき	・隔離養生 ・廃水中のアスベスト処理
ひび割れ補修の際サンダーで外壁を削るとき	・隔離養生 ・HEPAフィルター付き真空掃除機での集じん

外壁の劣化があまりにも激しいと、高圧洗浄時に圧力で表面が削れてしまうことがあります。すると、外壁に含有されたアスベストが飛散する可能性があるため、対策が必要です。

飛散防止対策の一つである隔離養生は、アスベストが周囲や作業者に飛散しないように作業場の周囲をビニールシートなどで囲う方法です。

また、高圧洗浄時にアスベスト飛散対策をおこなう場合、高圧洗浄時に出た廃水の中にもアスベストが含まれている可能性があるため、アスベスト処理をする前に流すことはできません。

ひび割れ補修時にサンダーで削る際は、隔離養生に加えて、HEPAフィルター付き真空掃除機での集じんが必要です。

アスベスト飛散防止対策が不要な外壁塗装

通常の外壁塗装では、アスベスト飛散防止対策は不要です。

外壁の表面の汚れを落とすための高圧洗浄や、既存の塗装の上に新たに塗装をする場合は、アスベスト飛散の心配はありません。

アスベスト含有外壁の塗装における3つの注意点

アスベスト含有外壁を塗装するときは、以下3つの点に注意しましょう。

1.アスベストの事前調査に関わる資格を有した業者を選ぶ

アスベスト含有外壁の塗装をするときは、アスベスト事前調査ができる資格を有した業者を選びましょう。アスベスト事前調査ができる資格は以下の3つです。

前述したように、2023年10月の法改正よりアスベストの事前調査では上記の資格のいずれかが必須です。

外壁塗装業者を探す際は「一般建築物石綿含有建材調査者」「一戸建て等石綿含有建材調査者」「特定建築物石綿含有建材調査者」のいずれかの資格を保有しているか必ず確認しましょう。

2.見積書にアスベスト事前調査費用が含まれているかチェックする

アスベスト含有外壁を塗装するときは、見積書にアスベスト事前調査費用が含まれているかチェックしましょう。

アスベスト事前調査は必ず必要なので、見積もりに含まれていない場合、その業者に依頼するのは危険です。

3.調査業者に自宅の設計図や仕様書を提供する必要がある

アスベスト事前調査をする際は、調査業者に自宅の設計図や仕様書を提供する必要があります。

事前調査は「図面調査」と「目視調査（現地調査）」に分けられるのですが、図面調査で設計図や仕様書を確認する必要があるからです。

設計図や仕様書を見て、アスベストの有無をあらかじめ確認したうえで目視調査（現地調査）をすることで、より正確にアスベストが含まれているかどうか確認できます。

外壁塗装アスベストでよくある質問と回答

ここからは、アスベスト含有外壁の塗装に関するよくある質問にお答えしていきます。

外壁塗装アスベストのまとめ

2023年10月の法改正によって、外壁塗装におけるアスベストの事前調査が義務化されています。法改正にともない、アスベスト含有外壁を塗装するときは以下の3点に注意しましょう。

調査の結果、以下のような状況のときは、外壁塗装の際にアスベスト飛散防止対策が必要です。

外壁塗装をするときはアスベスト事前調査をおこない、アスベスト飛散の可能性があるときは必要な対策を講じなければなりません。

これから外壁塗装をする予定の方は、アスベスト事前調査をきちんとおこなってくれる業者に依頼して、適切な外壁塗装をおこないましょう。