外壁塗装の詐欺被害は年々増えています。外壁塗装に関する知識がない方にとっては、なおさら危機を感じる問題といえるでしょう。
悪徳業者の手口は恐ろしいものばかりです。言葉巧みに契約へとこぎつけ、高額な費用請求する業者も存在します。
また、素人であることを逆手にとって、手抜き工事をする業者も存在します。すべての塗装業者が悪徳業者というわけではありませんが、一定数存在するのも否めません。
そこでこの記事では、外壁塗装の詐欺被害から身を守るための7つの方法を紹介します。詐欺の手口や詐欺被害にあった際の対策法についても触れているので、外壁塗装を検討中の方はぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
・悪徳業者が使う7つの詐欺の手口
・外壁塗装の詐欺被害にあわないための7つの対応策
・外壁塗装の詐欺被害にあった場合の2つの対応策
外壁塗装における詐欺被害は一向に減らない【詐欺の手口を紹介】
外壁塗装におけるトラブルは年々増加しており、その中には詐欺被害も多く含まれます。
訪問販売トラブル | 点検商法トラブル | |
---|---|---|
2019年 | 8,007件 | 5,760件 |
2020年 | 8,786件 | 7,024件 |
2021年 | 9,753件 | 7,431件 |
2022年 | 10,008件 | 8,079件 |
上記の表からもわかるとおり、2019年と2022年を比較すると訪問販売・点検商法トラブルがそれぞれ2,000件以上増加しています。外壁塗装の費用相場を知らないことや、手抜き工事の実態を知らないことが主な被害要因といわれています。
「リフォーム詐欺」という言葉を耳にしたことがある方は多いかと思いますが、それでも被害件数が年々増加傾向にあるということは、それだけ悪徳業者の手口が進化している裏返しともいえるでしょう。
そこでこの章では、代表的な詐欺の手口を7つ紹介します。外壁塗装の詐欺被害にあわないためにも、ぜひ参考にしてください。
詐欺の手口1.いきなり訪問してきて不安を煽る
1つめは、いきなり自宅を訪問してきて不安を煽る手口です。
「放置していたらすぐに雨漏りが起こる」「今、外壁塗装しておかないと家が倒壊する」などと不安を煽り、契約させようとします。
いきなり自宅を訪問してきた見ず知らずの業者であったとしても、「雨漏りが起こる」「家が倒壊する」などといった危機感を迫られるような言葉を次々と並べられたら焦るのも無理ないでしょう。
しかし、実際には外壁塗装の表面、いわゆる「塗膜」が劣化している程度であれば、すぐに雨漏りが起こることはありません。
塗膜の劣化が進行し、外壁材や防水紙まで劣化が及んだら雨漏りする可能性はありますが、チョーキング現象が起きている、コケや藻が付着している程度であれば雨漏りや倒壊はしないと覚えておきましょう。
チョーキング現象とは
チョーキング現象とは、紫外線によって塗料の中の樹脂成分が分解され、顔料が粉上になって表面に浮き出てくる現象のことです。別名「白亜化現象」とも呼ばれています。
外壁を手で触ると白いチョークのような粉がつくため、自身でも確認しやすい劣化症状の一つです。チョーキング現象は塗膜の防水機能が失われている状態なため、外壁塗装をするサインだと覚えておきましょう。
チョーキングの放置リスクについては、下記の記事で詳しく解説しています。
>>外壁塗装のチョーキングを放置するリスクは?原因から対策・予防まで徹底解説
詐欺の手口2.大幅な値引きをして契約をせまる
2つめは、大幅な値引きをして契約をせまる手口です。
「本当は100万円かかるけど、80万円に値引きしますよ」と大幅な値引きをちらつかせ、契約をせまってきます。
本来、外壁塗装に定価はありません。ですが、適正価格はあります。大幅な値引きををちらつかせてくるということは、最初に言った金額が高額設定されているか、手抜き工事をする前提で価格を下げているかのどちらかになります。
また、値引き後の金額でさえ適正価格よりも高額な可能性もあるため、悪徳業者の口車に乗せられないように気をつけましょう。
外壁塗装の費用相場は、20坪住宅で60万~80万円、30坪住宅で80万~100万円、40坪住宅で100万~120万円ほどです。費用相場とかけ離れた金額を提示してきたら、疑いの目を持つようにしてください。
詐欺の手口3.足場代を無料にすると言って契約をせまる
3つめは、足場代を無料にすると言って契約をせまる手口です。
結論から言うと、足場代が無料になることは絶対にあり得ません。なぜなら、足場工事には設置・解体、部材の運搬などに必ず費用が発生するからです。
足場工事にかかる費用は、見積額のうち約20%、金額にすると20万~30万円ほどになります。仮に足場代が無料になったとしても、他の項目で上乗せしているケースがほとんどです。
足場工事は外壁塗装に欠かせない工程の一つです。足場を組まなければ外壁塗装はおこなえません。足場代を無料にすると言われても、絶対に鵜呑みにしないように気をつけてください。
詐欺の手口4.モニター価格でお得に外壁塗装できると言って契約をせまる
4つめは、モニター価格でお得に外壁塗装できると言って契約をせまる手口です。
「モニター価格でお得に外壁塗装できます」と特別感を演出して契約にこぎつけようとする悪徳業者がいますが、基本的に外壁塗装にモニター価格はありません。
そもそもモニター価格とは、ハウスメーカーなどが最新プランの住宅を建てる際に条件付きで提供するキャンペーンのことです。そのため、外壁塗装には基本的に適用されません。
それにも関わらず「モニター価格でお得に外壁塗装できますよ」と言ってくる場合は「モニター商法」と呼ばれる詐欺の手口の一つになります。
外壁塗装におけるモニター価格は、モニター価格と言っているだけで相場よりも高額な場合が多いです。お得なように感じてしまいますが、モニター商法に騙されないよう十分に注意しましょう。
詐欺の手口5.即決したら安くすると言って契約を急かせる
5つめは、即決したら安くすると言って契約を急かせる手口です。
人間は急かされると判断力が低下する生き物です。そのため、即決するという行為は非常に危険になります。外壁塗装にかかる費用は決して安くはありません。相見積もりを取り、じっくり検討して決めるのが得策です。
相見積もりを取らなければ、他社との比較検討ができません。他社との比較ができないということは、適正金額かどうかもわからないし、きちんと塗装工事をおこなってくれる業者なのか見極められないということになります。
複数社をじっくり検討することにより、費用面や対応の丁寧さ、資格の有無などを比較でき、あなたの条件や希望に合った塗装業者に依頼することが可能です。
詐欺の手口6.見積書の内容がすべて「一式」で書かれている
6つめは、見積書の内容がすべて「一式」で書かれている手口です。
外壁塗装の見積書には単価や数量を記載するのが基本ですが、中には「外壁塗装一式」とだけ書いて細かい内容を記載しない悪徳業者もいます。一式だけでは何の工事をどれくらいするのか、それぞれどれくらいの費用がかかるのかがわかりません。
外壁塗装をおこなうためには、足場工事や高圧洗浄、下地処理などといった塗装以外の工程をいくつもおこなう必要があります。
もし、工事内容や各工程の費用がわからないまま契約してしまうと、後から追加費用を請求されたり、手抜き工事をされたりする恐れがあるため、十分に注意してください。
詐欺の手口7.高耐久なオリジナル塗料を使用すると謳ってくる
7つめは、高耐久なオリジナル塗料を使用すると謳ってくる手口です。
自社オリジナル塗料はどんな成分を使用しているかも不明だし、本当に高耐久なのかもわかりません。そのうえ、価格も自由に設定できます。
そもそも塗料を作るには高い知識はもちろん、原料の調達ルート確立や試験をおこなう設備が必要になります。莫大な資金がかかるため、よほど大手の企業でなければ難しいでしょう。
では、何をもって「オリジナル塗料」と謳っているかというと、塗料メーカーの商品を自社専用のパッケージに変えて出荷している商品(OEM)がオリジナル塗料となるのです。
そのため、どんなによい条件のオリジナル塗料を勧められたとしても、大手メーカーである「日本ペイント」「関西ペイント」「エスケー化研」が販売している塗料を採用するとよいでしょう。
詐欺被害の件数は年々増加しており、詐欺手口の種類も比例して増えてきています。さまざまな手口をあらかじめ知っておけば、詐欺被害を未然に防ぐことができるでしょう。
外壁塗装における詐欺被害にあわないようにするためには?
前章では外壁塗装詐欺の手口を紹介しましたが、詐欺被害にあわないためにはどんな所に気を付ければよいのかわからないという方も多いと思います。
そこでこの章では、詐欺被害にあわないための対策を7つ紹介します。
1.訪問業者が来たらまず疑うこと
突然、塗装業者が訪問してきたらほぼ詐欺だと疑いましょう。前章でもお伝えしたとおり「放置していたらすぐに雨漏りが起こる」「今、外壁塗装しておかないと家が倒壊する」などと不安を煽り、なんとしてでも契約を交わそうとしてきます。
押し売りや点検商法トラブルに巻き込まれる恐れがあるため、十分に注意してください。
大切なのは玄関の扉をむやみに開けないこと、インターホン越しできっぱり断ること、この2点です。悪質な場合は何度も何度も訪問してきますが、その都度きっぱりと断るようにしましょう。
外壁塗装の訪問業者に依頼すべきでない理由は、下記の記事で詳しく解説しています。
>>外壁塗装の訪問販売はNG!絶対に断るべき理由と対処法を徹底解説
2.即決は絶対にしないこと
訪問業者に限った話ではないですが、塗装業者から「すぐに外壁塗装するべきだ」と言われても即決は絶対にしないようにしましょう。
塗装業者は数多く存在します。あなたが住んでいる地域だけでも何十件、何百件とあるかと思います。それだけたくさんある塗装会社。どうせ依頼するなら予算や要望を満たしてくれる業者を選びたいと誰しもが思うでしょう。
そのため、1社からの提案や見積もりで決めるのではなく、複数の塗装業者と比較検討することをおすすめします。
即決してしまったら後戻りはできません。後から人伝いに「他社のほうが工事費用が安かった」「他社のほうが親切・丁寧だった」と聞いても後悔だけが募るばかりです。
塗装業者がよい条件を提示してきたり、値引きすると言ってきたりしても、その場で即決せずに見積もりをもらってよく検討しましょう。
3.前払い金を要求されても支払わないこと
外壁塗装工事で前払い金を請求されても支払ってはいけません。前払い金を支払ってしまうと、悪徳業者だった場合にお金を持ち逃げされてしまう可能性があります。
大規模な工事であれば前払い金を払うこともありますが、住宅の外壁塗装程度の規模で前払い金が必要になることは一般的にはありません。前払い金を請求してくる業者には注意しましょう。
4.施工前の点検が1時間以内で終わる業者には依頼しないこと
外壁塗装の施工前には外壁の状態を確認するための点検が必要です。点検は時間のかかる作業なので、1時間以内に点検が終わるような業者には依頼しないほうが良いでしょう。
塗装業者によって点検の時間は異なりますが、点検にかかる時間は1時間半~2時間ほどが一般的です。1時間以内に点検が終わる業者に依頼してしまうと、外壁の劣化している部分を見逃されてしまう可能性があります。
5.見積書の内容が「一式」で書かれている業者には依頼しないこと
見積書の内容が「一式」で書かれている業者には注意が必要です。
一式で記載されてしまうと適正価格がわからないため、他の業者と比較することができません。また、材料の品質を下げたり工程を省かれたりしても気づけなくなるため、施工不良の原因にもなります。
見積もり内容が不透明だと追加費用を請求される可能性も高くなるため、作業内容ごとの単価や単位をしっかり記載している業者に依頼するようにしましょう。
外壁塗装の契約書で確認すべきポイントは、下記の記事で詳しく解説しています。
>>【必見】外壁塗装の契約書で確認すべき7つのチェックポイント【トラブル事例あり】
6.必ず相見積もりを取ること
外壁塗装をするときは複数の業者から相見積もりを取ることが大切です。相見積もりを取ることで適正価格や工事内容を比較検討できます。
相見積もりは2~3社から取るのがおすすめです。このとき塗装業者には相見積もりであることを伝えると、適正な価格の見積もりを作成してもらいやすくなります。
あわせて自分でも塗装工事の費用相場を調べて理解しておくことで、適正な価格で外壁塗装をおこなうことが可能です。
相見積もりの重要性や賢い業者の選び方については、下記の記事で詳しく解説しています。
>>外壁塗装の相見積もり|賢い業者選びから比較すべきポイントまで徹底解説
7.実績豊富な地元業者に依頼すること
外壁塗装の詐欺被害にあわないためには、実績豊富な地元業者に依頼することがおすすめです。地元業者はその地域で信頼を得ているため、アフターサービスや対応力に優れています。
また、地元業者はその地域の気候などに詳しく、適切な塗料や施工方法を提案してくれる可能性が高いです。さらに自社職人で施工する塗装業者であれば中間マージンがかからないため、ハウスメーカーや工務店よりも安価で塗装工事ができます。
ただし、地元業者だからといって安心せずに、相見積もりを取ったり実績や評判を確認したりと詐欺にあわないための注意は必要です。
詐欺の手口が増えてもこれらの対応策は有効な手段です。わからないからといって業者任せにせずに、自分で正しい知識を身につけて詐欺被害を未然に防ぎましょう。
もしも外壁塗装の詐欺被害にあったら?
ここまで詐欺の手口や詐欺にあわない方法を紹介してきましたが、もしも外壁塗装の詐欺被害にあったらどうしたらよいのでしょうか。
この章では実際に詐欺被害にあってしまったときの対応策を紹介します。
クーリングオフ制度を利用する
詐欺被害の対応策としてクーリングオフ制度が有効です。クーリングオフ制度とは訪問販売などの一定の取引に適用される制度で、外壁塗装の場合は契約書を受け取った日から8日以内であれば契約を解除できます。
クーリングオフをするためには塗装業者に対して書面やメール、電話などでの通知が必要です。工事が開始されてからクーリングオフした場合、業者は契約解除して原状復帰をする義務があります。
専門家に相談する
詐欺被害にあってしまいクーリングオフでも解決できないような状況になってしまったらすぐに専門家に相談しましょう。外壁塗装の詐欺被害の場合は以下の3つの専門家がおすすめです。
営業時間 | 電話番号 | 概要 | |
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消費者センター (国民生活センター) | 10:00~12:00 13:00~16:00 (土日祝、年末年始を除く) | 03-3446-0999 | ・トラブル相談(電話) ・裁判外紛争解決手続 ・消費者団体訴訟制度 (団体訴権)の紹介 ・医師からの事故情報 受付窓口 |
住宅リフォーム 紛争処理支援センター | 10:00~17:00 (土日祝を除く) | 0570-016-100 | ・電話相談 ・専門家(弁護士・建築士) 相談 ・裁判外の紛争処理 |
弁護士ドットコム | 10:00~17:00 (平日のみ) | 03-5549-2261 | ・弁護士への相談 ・弁護士への紹介 |
それぞれの機関で対応している内容が異なるため、自分の状況にもっとも適している専門家に相談するようにしましょう。
外壁塗装詐欺でよくある質問
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外壁塗装の営業がしつこい。どうしたらよいですか?
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まずはうやむやにせず明確に断ることが大切です。断ってもしつこく嫌がらせに近い営業をしてくる場合は、消費者センターや警察に相談するとよいでしょう。
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火災保険を使って外壁塗装ができると言われたのですが本当ですか?
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単なる外壁塗装工事の場合は火災保険は適用されません。
・被災によって外壁や屋根に破損があること
・被災から3年以内に申請をおこなうこと
・補修にかかる費用が火災保険の免責金額を超えること
以上の条件を満たしていれば火災保険を使って外壁塗装ができる場合があります。補償内容は保険証書を確認してください。
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外壁塗装の詐欺にあわないためにはどんな業者を選べばよいですか?
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見積書の内容が詳細に書いてある業者や、実績豊富な地元業者は優良業者である可能性が高いです。
外壁塗装詐欺のまとめ
本記事では、外壁塗装の詐欺の手口や詐欺から身を守るための方法、詐欺被害にあった際の対応策について紹介しました。
この記事のまとめ
・詐欺被害は年々増加している
・訪問業者や大幅な値引きは詐欺だと疑う
・必ず相見積もりを取る
・詐欺被害にあったらクーリングオフを活用するか、専門家に相談する
詐欺被害により高額な費用を支払うことや手抜き工事の被害にあわないためにも、本記事の内容を参考にしたり、塗装のプロに相談したりして対策しましょう。