訪問販売で外壁塗装の契約をした場合、契約書面を受け取ってから8日以内であればクーリングオフができます。
しかし、自身が契約した工事がクーリングオフの対象かどうかわからず、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。クーリングオフ制度が適用される期間は8日間と短いため、迅速に対処する必要があります。
そこでこの記事ではクーリングオフができる条件と、具体的な手続き方法について解説します。また、契約書面を受け取ってから8日を過ぎていてもクーリングオフができるケースについても紹介しているため、自身が契約した工事が該当しているか確認しましょう。
おさえておくべきこと
- 契約書を交わし、書面を受け取ってから8日間以内であれば無条件で契約を解除できる
- クーリングオフは書面でおこなう
- 塗装工事が始まっていて期限内であればクーリングオフは可能
- すでに材料を発注していても、材料費を負担する必要はない
- クーリングオフが適用されるか自分で判断できない場合は第三者機関に相談する
外壁塗装でクーリングオフはできる?
外壁塗装におけるクーリングオフは、消費者が契約を申し込んだり締結したりした場合でも、一定の期間内であれば無条件で契約を解除できる制度です。
この制度は訪問販売や電話勧誘販売が対象となり、外壁塗装業者との契約においても有効です。そのため、訪問販売で外壁塗装の契約を締結した場合、8日間以内であればクーリングオフができます。
ただし、一定の条件を満たしていない場合はクーリングオフが適用できません。そのため、外壁塗装におけるクーリングオフが可能な条件をあらかじめ把握しておくことが大切しです。
そこでこの章では、クーリングオフができる場合とできない場合について詳しく解説します。
クーリングオフできる場合
クーリングオフは、以下の条件を満たしていれば適用できます。
クーリングオフできる条件
- クーリングオフできる旨が記載された書面(契約書など)を受け取った日から8日以内
- 契約した場所が業者の事務所や店舗ではないこと
- 契約者が自分で業者を呼び寄せて契約をしていないこと
- 個人が法人と契約していること
- クーリングオフの内容が記載された文字の大きさが8ポイント未満(2.82mm未満)の場合
外壁塗装におけるクーリングオフは、訪問販売や電話勧誘販売などで業者側から消費者へ営業活動をおこない、契約した場合に適用されます。
また、店舗で契約をしていたとしても、無理に店舗へ行かされた場合や詐欺など強引な手法で契約させられた場合はクーリングオフが可能です。
なお、クーリングオフができる期間は8日以内で、契約書を受け取った日を1日目と換算します。
たとえ塗料の発注が完了していたり工事が始まってしまっていたりしても、8日以内であればクーリングオフが可能です。消費者は材料費を払う必要は一切ありません。
そして、業者側はすでに決済が完了している場合は全額返金する必要があり、塗装工事が始まっている場合でも無償で元に戻さなければなりません。
8日間を過ぎていてもクーリングオフができるケースがある?
クーリングオフの期間は原則8日以内ですが、契約書に不備がある、契約書をもらっていない、またはクーリングオフに関する記載がない場合は、8日間を過ぎてもクーリングオフをおこなえる可能性があります。
また、クーリングオフができないと嘘をつくなどして、業者側がクーリングオフに対する妨害行為をおこなっていた場合に関しても8日間という期限に縛られることはありません。
クーリングオフできない場合
一定条件を満たしてない場合は、クーリングオフができないことがあります。クーリングオフができない条件は以下のとおりです。
クーリングオフできない条件
- 自分から業者を呼び寄せて契約した場合
- 業者の事務所や店舗などに自ら出向いて契約を交わした場合
- 過去1年の間に取引したことがある業者と契約した場合
- 正しく作られた契約書で契約を交わしてから8日間を過ぎた場合
- 取引の総額が3,000円未満かつ現金取引の場合
- 日本以外で契約した場合
クーリングオフは、通常は訪問販売の営業で契約した場合に適用されます。そのため、自ら業者を呼び寄せたり、ショールームや事務所に出向いたりと、自らの意思で業者にコンタクトをとっている場合、クーリングオフは適用されません。
また、たとえ訪問販売であっても、過去1年以内に取引をしたことがある業者に対してはクーリングオフの対象外です。例えば、屋根修理を以前依頼した業者に再び外壁塗装の契約をした場合、クーリングオフができないため注意しましょう。
クーリングオフは消費者を守る制度なので、法人として契約した場合は対象外です。例えば、会社の事務所や倉庫などの外壁塗装をするために契約したものは法人同士の契約になるためクーリングオフできません。
クーリングオフできるかどうかわからない場合は専門機関に連絡を!
外壁塗装の訪問販売の場合、契約内容や勧誘手法が不透明であったり、消費者にとって不利な条件が含まれていることがあります。しかし、自分が交わした契約がクーリングオフの対象となるか判断が難しい場合もあるでしょう。
もし、外壁塗装の契約に関するクーリングオフの可否を自分で判断することが難しい場合は、国民生活センターへ迅速に相談することが賢明です。
国民生活センターは、消費者機関として商品やサービスに関する苦情や相談を受け付けています。また、国民生活センターは中立かつ独立した機関であるため、消費者を守る観点から客観的かつ信頼性の高い情報を提供してくれます。
外壁塗装のクーリングオフ手続き方法は全部で3つ
クーリングオフは原則書面でおこないます。そのため以下のいずれかの方法で業者に申告しましょう。なお、クーリングオフをおこなうには、以下のうち一つの方法だけで構いません。
外壁塗装のクーリングオフができる3つの方法
- ハガキ
- FAX
- 電子メール
クーリングオフをする方法として電話はおすすめしません。たとえ電話で業者側がクーリングオフを受け入れたとしても、後になって言った言わないのトラブルに発展する可能性があります。そのため、必ず形に残る書面や電子メールでクーリングオフをしましょう。
1.ハガキ
クーリングオフをおこなう際は、ハガキを使用するのがもっとも一般的な方法です。ハガキには以下の内容を記載しましょう。
クーリングオフの際に記載する内容
- 契約書した日付
- 契約した工事名(商品名)
- 契約金額
- 契約業者の社名、住所、代表者名
- 担当者名
- 契約解除を申し出る文面
- クーリングオフを申し出た日付
- 契約者の住所と氏名
また、ハガキでクーリングオフをおこなう際は、郵便局の窓口で「特定記録郵便」や「簡易書留」を利用し、発信の記録を残すことをおすすめします。そして念のため、発送前にハガキの両面をコピーして保管しておきましょう。
発送と受け取りの証拠を残すことで、もし企業側が「クーリングオフの書面が届いていない」といった言い逃れをされるトラブルを防げます。
2.FAX
FAXでクーリングオフをする場合もハガキと同じ内容で作成します。
FAXを送信した後、クーリングオフを申請した証拠として送信記録を残しましょう。また、契約会社への受信が正常におこなわれたかを確認するため、相手先に電話で連絡を取るのもおすすめです。
通話時には、担当者の名前や受付日時をメモに取りましょう。FAXが届いていない場合は再送するか、うまく送信できないようであればハガキか電子メールで申請しましょう。
3.電子メール
2022年6月1日の特定商取引法の改正により、電子メールによるクーリングオフも可能になりました。電子メールの場合でも記載内容はハガキと同様に作成します。
契約会社のホームページにクーリングオフ用の申請フォームがある場合は、それを利用することもおすすめです。
クーリングオフの電子メールを送信した後は、送信記録や受信確認メールを保存しましょう。
また、契約会社のウェブサイトでクーリングオフ用の申請フォームを使用した場合は、画面を写真に撮ったり、端末のスクリーンショット機能を活用して画面の記録を残しておくことが大切です。
契約会社からの受理確認の返信があれば、そちらも保存しておきましょう。
クーリングオフを拒否する悪徳業者に要注意!【事例つき】
クーリングオフをする権利は特定商取引法で守られています。しかし悪徳業者は、クーリングオフを拒否や無視するケースがあります。
もしもクーリングオフの権利を拒否された場合は、国民生活センターや自治体の消費者相談窓口に連絡して助言を受けましょう。
この章では、クーリングオフの機会を逃さないためにクーリングオフを拒否する悪質業者の手口を紹介します。
ケース1.解約金や違約金が発生すると言い張る
クーリングオフを申し出た際、悪質業者は解約させないためや少しでもお金を支払わせるために、解約金や違約金を請求してくるケースがあります。
しかし契約解除に際して、業者に違約金や解約料を請求する権利はありません。また、外壁塗装が進行中であっても、クーリングオフにより事業者は現状復旧に伴う費用を負担する義務があります。
そのため、もし解約金や違約金を請求されても決して支払わないようにしましょう。
ケース2.材料を発注した後だからキャンセルできないと言い張る
クーリングオフの際、業者がすでに材料発注済みのためキャンセルができないと主張してくることがあります。また、キャンセルする場合において材料代を請求してくることもあります。
しかし、特定商取引法に基づきクーリングオフをする権利は、商品やサービス提供後にも適用されます。そのため、たとえ材料が発注済みであっても、契約日から8日以内であればクーリングオフができます。
そのため、不当な要求には応じる必要はありません。安心してクーリングオフの手続きを進めましょう。
ケース3.弁護士を立てると脅してくる
悪質業者は何としてもクーリングオフをさせないために、弁護士を立てると脅してくることがあります。しかし、クーリングオフを申し出た際に脅して妨害することは違法行為です。
弁護士や裁判といった言葉を聞くと怖くなってしまい業者の言いなりになってしまいそうですが、毅然とした態度で対応するようにしましょう。
妨害行為が原因で期限を過ぎてしまった場合は、8日間を過ぎてもクーリングオフを適用することができます。
外壁塗装クーリングオフでよくある質問と回答
外壁塗装のクーリングオフに関してよくある質問をまとめました。クーリングオフを考えている方はぜひ参考にしてください。
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外壁塗装の工事中でもクーリングオフはできますか?
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契約を交わし、書面を受け取ってから8日以内であれば、工事が始まっていてもクーリングオフが可能です。また、すでに費用を払っている場合は全額返金してもらえます。
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外壁塗装をしている途中にクーリングオフした場合、元の状態に戻してもらえるのでしょうか?
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可能です。特定商取引法に基づいてクーリングオフされた場合、業者は原状回復を義務付けられています。また、原状回復にかかる費用は業者が負担する必要があるため、契約者が費用を払う必要はありません。
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クーリングオフを申し出てもしつこく営業してくる。どうしたらよいですか?
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断っても営業を続けてくるようであれば、消費者センターなど第三者機関に相談してみましょう。その際、期日を守ってクーリングオフ申請した証拠や申請内容のコピー等を準備しておくことをおすすめします。
外壁塗装クーリングオフのまとめ
訪問販売で外壁塗装の契約を交わした際は、特定商取引法のクーリングオフ制度が適用できます。不当な契約をしないためにも契約業者に少しでも怪し点がある際はクーリングオフを検討しましょう。
なお、クーリングオフをする際は以下のことを覚えておいてください。
おさえておくべきこと
- 外壁塗装においてクーリングオフが適用されるのは訪問販売や電話勧誘された場合のみ
- クーリングオフをさせないように妨害された際は8日間を過ぎてもクーリングオフができる
- トラブルを防ぐため、クーリングオフを申し出た日や内容に関する証拠を残すことが重要
- クーリングオフをした場合、契約金はすべて返金され、現状回復や発注済みの材料の費用を負担する必要はない
たとえ、もっともらしい理由でクーリングオフができないといわれても決して屈する必要はありません。クーリングオフをする意思が固まっているのであれば毅然とした態度で対応するようにしましょう。
また、業者による妨害でクーリングオフの期間を逃してしまった場合は8日間を過ぎていたとしても、クーリングオフができます。そのため、焦らずにクーリングオフの申請をしましょう。
もし業者がクーリングオフを受け入れず、工事を進めようとしてくるなど自分では対応しきれないような場合は迷わず国民生活センターといった第三者機関に相談することをおすすめします。